ネコとネズミと帽子 ネコがネコ用生成AIのCatGPTに話しかけていた。 ネコ「なあ、どこに行ったらネズミが取れるかな」 CatGPT「ねらい目はこの場所です」 ネコ「これはどこだ?」 CatGPT「通りの向こうの駐車場の側溝です」 ネコ「そうか、ありがとう」 一方…

ゴミ屋敷の資源回収

はじめに ゴミ屋敷が社会問題化して既に久しい。 ゴミ屋敷の何が悪いのか、多くの人には自明であろうが、改めて確認しておく。まずは美観であろう。ゴミ屋敷は外から見ても「ゴミ屋敷」であることが多くの場合露わとなっており、都市・村落の景観を損ねるこ…

風嫌い 作者:田畑 暁生 鳥影社 Amazon

[book]日本の映画産業を殺すクールジャパンマネー ヒロ・マスダ『日本の映画産業を殺すクールジャパンマネー』光文社新書を読みました。 最近は下火になったが、ひところ「クールジャパン」という言葉特に政府から盛んに発信され、日本が「誇る」文化を外国…

平田知久『ネットカフェの社会学』を読みました。

平田知久『ネットカフェの社会学』慶応義塾大学出版会、2019年を読みました。 著者は社会情報学会の中でも「期待の若手」だったが、現在ではすっかり中堅の研究者となり、おそらく学界を背負って立つことになるだろう。学会でも何度かご一緒したが、その…

ショートショート「ボケと介護」

[ショートショート] ボケと介護 「どうもー、『ボケと介護』です。老人と孫でコンビを組んで、まだ結成1年目です。車椅子に乗っているのが僕のおじいちゃん、高森庄吉75歳です。おじいちゃん、あいさつして。・・・。ああ今日はちょっと調子が良くないよ…

『アベノミクスによろしく』『国家の統計破壊』を読みました。

明石順平『アベノミクスによろしく』集英社新書、2017年、同『国家の統計破壊』集英社新書、2019年を読みました。 著者の明石氏は労働関係を専門とする弁護士。この2冊を読む限り、経済統計の扱いもプロ裸足と言える。 前者は「太郎」と「モノシリン…

[book]ミヒャエル・ハネケの映画術 ミシェル・スィユタ、フィリップ・ルイエ『ミヒャエル・ハネケの映画術 彼自身によるハネケ』水声社、2015年、を読みました。 映画ファンでミヒャエル・ハネケの名前を知らない人はまれだろう。『白いリボン』と『愛 …

「ちいさいあきみつけた」殺人事件

*[ショートショート]「ちいさいあきみつけた」殺人事件 「ちいさいあきみつけた」の歌詞はこわい。なぜ怖いのか?何度か読んでいるうちに、これは事件を告発した詞ではないかと思い至った。 歌はこんな風に始まる。 「だれかさんが だれかさんが だれかさん…

*[book]サイレント映画の黄金時代 翻訳が出たのは最近だが、原書は1968年に出版された。著者は1938年生まれだから、原書の初版が出たときにはまだ30歳くらい、執筆は当然20代ということになるだろう。若者の特権を生かしてか、著者は当時まだ生…

*[book]『映画と文藝』 清水純子『映画と文藝』彩流社を読んだ。映画化された日本文学の名作を論じるものだが、特に海外で映画化されたものに焦点を当てている。 第一章はピーター・グリーナウェイの枕草子が論じられる。酷評されることもある「野心作」だが…

[book]精密への果てなき道 原題は「The Perfectionists :How Precision Engineers created the Modern world」。原題が示す通り、この本の主役は精密な機械作りに生涯を捧げた技術者たちであると言っていい。航海時の経度を正確に測定する機械を作った時計職…

[ショートショート]鳩 憎い男の首を締めて殺した。奴は苦しげな声を上げ、口から血を吐いて死んだ。俺は返り血を浴びたシャツを脱ぎ捨て、部屋に戻り、窓を閉め切り、布団をかぶって寝た。人を殺すと眠れないというのは嘘だ。俺はよく眠った。ただ、悪夢を三…

障害者用駐車スペース

*[ショートショート]障害者用駐車スペース 茶髪の若者が、駐車場の障害者用駐車スペースにクルマを停めて、さっと建物に入ろうとしたところを、中年の、恰幅の良い警備員が呼び止めた。警「君、そこにクルマを停めてはだめだよ、障害者用だから。車椅子の絵…

青ひげ赤ひげ

[ショートショート] 青ひげ赤ひげ アルバイトでお金を貯めて、世界を放浪するのが、その頃の僕の生き方だった。ヨーロッパを気の向くままに旅していた時、まるで絵本のような、森に囲まれた小さくて美しい湖畔に出た。小さいといっても野球場くらいの広さは…

理髪店にて

[ショートショート]理髪店にて 一か月ぶりくらいに近所の理髪店に行った。家族経営の店ではなく、若い衆を何人も使った、椅子も五脚ある比較的大きな店である。 髪を切ってもらう間、私は黙って目を閉じ、瞑想に耽っているのが常だが、左の方の客と理髪師は…

9時からゴディバで

[ショートショート] 9時からゴディバで 隆は早足で駅から会社に急ぎながら、地下街の一角にあるゴディバの店舗にちらりと目を向けた。最近は仕事に追われて、ゴディバのショコリキサーも飲んでない。昼休みに抜けて来ることは不可能ではないが、おそらく混…

新作『風嫌い』

『風嫌い』、鳥影社さんのサイトで詳細情報出ました https://www.choeisha.com/pub/books/57343.html

はりま文化

先月、短篇小説集『あの頃、バブル』(鳥影社)が、毎日新聞に「はりま文化」として紹介されました。私が姫路に住んでいるだけで、舞台ははりま地方ではないのですが(笑)。姫路を舞台にした小説は、これから書きます。

ギリギリになってしまいましたが、はてなダイアリーからはてなブログに引っ越しました。今後ともよろしくお願いいたします。

人体実験の哲学

先月に触れたシャマユーの博士論文 ふだんの生活で意識することはあまりないけれど、私たちが享受している医療の進歩の影には、人体実験に供された多数の人々がいる。本人が納得しているならまだましだが、必ずしもそうとは限らない。本書は、そのような医学…

{book]植物は未来を知っている

正直なところ、私は植物への関心の薄い人間で、私の母は花好きでいろいろなことを教えてくれたのだが、さっぱり頭に残っていないほどだった。 本書を読んだのもたまたまなのだが、読み始めて興奮した。とにかく面白いのである。植物の持つ様々な能力が、美し…

インビジブル・ゲスト

最近は忙しくて映画館に行くことはむろん、DVDを自宅で見ることもなかなかできないが、やっと時間を作ってミステリー映画をひさしぶりに見た。これは当たりだった。密室に愛人の女性の死体と二人きりでいるところを発見された男性。彼は犯人なのか?何者…

VRは脳をどう変えるか?

著者はVR研究の第一人者で、フェイスブックのザッカーバーグも著者の研究室を訪れてVRシステムを体験した。私は実際に本格的なVRシステムを自ら体験したことはないが、本書を読むだけで、それがいかに臨場感があり、有効(危険な任務のシミュレーショ…

[book}ドローンの哲学

著者はフランス人で、原題は「ドローンの理論」。ここで言うドローンは、観光地の撮影といった牧歌的な用途のものではなく、軍隊が敵国で殺傷を行うために飛ばす兵器としてのドローンである。そうした兵器を使うことには倫理上どんな問題があるのかという厳…

イギリス人はおかしい

映画監督リドリー・スコットの家でハウスキーパーを務めていた著者が、スコット家での経験や、その他イギリスで感じたこと、考えたことをまとめたエッセイ。 著者は割とぶっとんだ経験の持ち主で、姫路生まれ、調理師となり、料理修業のためヨーロッパに渡る…

book[世界一幸せな子どもに親がしていること]

著者2人はそれぞれ米英出身の女性だが、結婚してオランダに住み、2人の子の母となった。ユニセフの2013年の調査では、オランダの子どもたちが最も、そして突出して、幸福を感じていたのだという。しかしオランダでの子育ては、彼女たちには驚きの連続だっ…

歴史と統計学

著者の竹内啓氏は日本を代表する著名な知識人の一人だから、もはや説明の必要はないのかもしれない。若くして大著『数理統計学』を表し、東大経済学部教授を務めた。80年代に岩波書店から『無邪気で危険なエリートたち』『情報革命時代の経済学』を出版、こ…

一昨日と昨日は、筑波大学大学院で集中講義「比較情報社会」を行ってきました。17名の履修者のうち、過半が中国人留学生だったのですが、彼らがみな一番後ろに座り、授業中何も発言してくれないのでがっかりしました。数が多くて互いに牽制しているのか、…

生ける屍の結末

「黒子のバスケ」脅迫事件(「黒子のバスケ」の連載中止や関連イベントの中止を求めて、掲示板での脅迫や、上智大学での毒ガス発生や、食品への毒物混入)の犯人が自ら書いた手記。一読して分かる通り、相当な性格の歪みもあるけれど、検事が漏らしたとおり…