2011-07-01から1ヶ月間の記事一覧

震災恐慌

田中秀臣氏と上念司氏の対談本。主張は単純で、震災復興のこの時期「増税するな」「金融引き締めするな」「復興資金の逐次的な投入はするな(やるなら一度にどかんとやれ)」という三点に尽きる。インフレの危険などほとんどないのだから、日銀はデフレ退治…

テーマ別時事英単語集

手にとってみたら国連英検用の本だった。まああえて気にせず通読した。政治・法律、経済・ビジネス、医療、社会・文化、軍事、犯罪、科学・IT,環境の8章構成で、章によっては厚かったり薄かったりする。cliffhanger election(接戦の選挙)、garrison(駐屯地…

トーテムとタブー(岩波版フロイト全集第12巻)

私はフロイトの本を、あまり網羅的には読んでいない。読んだのは「精神分析入門」「夢診断」「モーセと一神教」「文化への不満」くらいか。この「トーテムとタブー」も代表作であるので、おくればせながら読んだ。 正直な印象を言うと、「トーテムとタブー」…

リスク・リテラシーが身につく統計的思考法

あなたが難病の検査を受け、残念ながら「陽性」という結果が出たとする。この難病にかかる人は1000人に1人程度だ。しかし救いはある。難病でないのに難病と診断される間違いが1割くらい、また、難病であるのに難病でないと診断される間違いが1割くら…

セックスメディア30年史

荻上チキ氏の新作。 メディアの普及には、エロが大きな役割を果たしているとはよく言われるが、エロ系のメディアについて真正面から研究した著作や論文は、ないわけではないが、少ない。別段「タブー」にはなっていないと思うが、端的に恥ずかしいのだろう。…

情報時代の到来

いわゆる「情報時代」がいつ到来したのか、本書ではそれを20世紀や19世紀にはおかず、18世紀としている。その根拠は、各章において論じられる知の変動が起きたのが主として18世紀であるからだ。情報システムにおける文化的革命(ソフトウェア)が、…

日中国交正常化

1972年の日中国交正常化には、私は(というより私の生まれた家は)特別な思い入れがある。父は中国専門のジャーナリストとしてこの過程を取材し、同年に生まれた妹はそれにちなんだ名前をつけられた。しかし考えてみればこれももう過去の歴史になりつつ…

「フクシマ」論 原子力ムラはなぜ生まれたのか

副題から勝手に、もっと地理的な話を期待していたのでその点については多少期待はずれであったけれど、修士論文としては非常に高水準で素晴らしい(もちろん本論は3,11以前に書かれたもので、震災が起きたのはまったくの偶然である)。吉見俊哉先生の門…

原子炉の暴走 第2版

原子炉の第一人者で、原発推進派の論客でもある石川迪夫氏の著作。原子炉の基本的な仕組みから、チェルノブイリ事故の顛末まで、詳しく書かれていて勉強になる。が、原発への信頼はもはや信仰の域に達しており、3.11で福島原発が大変な事態になろうと、…

森喜朗・元首相の長男の森祐喜・元石川県議が亡くなったらしい。政治家二世の悪行については色々と耳にするが、この男の評判は最悪だった。こんな男が代議士の一角を占める事態を心配していたが、その可能性がなくなって一安心だ。日本の県議は、おそらく年…

理想 No.688

特集は「生命倫理と人間の尊厳」で、それに関する和論文8本、洋論文1本という構成。残念ながらあまりめぼしいものはなし。巻末には、評判を呼んだ長谷川宏氏のヘーゲル翻訳を批判する論文が載っていた。「大量に販売され大勢の学生や市民に読まれることで…

ワケありな映画

「上映禁止になったワケありな映画」「悲劇に彩られたワケありな映画」「ソフト化を封印されたワケありな映画」「トラブル続きのワケありな映画」の4章構成で、一つの作品について4ページづつ、46作品が紹介されている。映画という非常にお金のかかる作…

思考訓練の場としての英文解釈 1

これは著者がオリオン社で通信添削した教材を基にしているもので、本来は受験生用のものなのだが、これを使いこなせる受験生は少ないだろう。英文の内容がよく言えば高級、普通に言えば難解で、それなりの読書歴がないと何を言っているのかも分からないので…

東近江市、甲賀市、湖南市

いずれも「平成の大合併」でできた自治体で、特に前二者は面積がかなり広がった「広域合併」であり、地域情報化にも熱心だ。多額の費用をかけて公設民営のケーブルテレビを行おうとしているが、特にこれから整備する甲賀市の方はやや遅きに失した感があり、…

今日は神戸大学「映像論」の試験。教科書くらい買ってくれればよいのに、買わずにすます学生の多さにがっくり来る。午後は、地域情報化政策の取材で滋賀県へ。初めて近江鉄道に乗った。

TOEFLテスト250点突破のための英単語と英熟語

しばらく前に、おなじ「こう書房」から出ている、TOEIC用の英単語の本を紹介したが、それと比べると、英単語の水準はやや平易なのではないだろうか。不思議なことに重複している単語は少ない。単語・例文はこんな感じ。 I have to stay in a dingy hotel roo…

中山間地域は再生するか

現在は「平成の大合併」によって、郡上市の一部となった岐阜県和良町をフィールドとして、集落・家族、産業・労働、健康・暮らしを中心に人々の生活のありさまを詳細に記述した書で、単位はしばしば家族であり、個人の生き様である(特に第4章「ある家族の…

私はカルスタ系の研究者ではないのだけれど、せっかく神戸にカルスタの祭典「カルチュラル・タイフーン」が来ているので、行ってみた(妻には参加費5000円は高過ぎると文句を言われたが仕方がない)。目当ては、小倉利丸、毛利嘉孝両氏による、バンクシ…

下北・プルトニウム半島

そしてこちらはタイトル通り、下北半島・六ヶ所村において展開された、放射性廃棄物処理施設建設をめぐるゴタゴタを書いたもの。推進側の「札束で頬をひっぱたく」やり方で、いったいどのくらいの人が幸福になれたのか、できれば追跡調査をしてみたい。著者…

幌延

幌延のことは、もはや忘れられているが、80年代から90年代にかけて、放射性廃棄物処理施設を誘致する話が持ち上がり、住民および近隣自治体の反対によって潰したという経緯がある。このてんまつについてまとめられたのが本書。著者は1954年北海道生…

人間行動に潜むジレンマ

京大で理学と心理学の両方を修めた著者が、ゲーム理論を使って、「自分勝手」とは何かを解き明かそうとする。年配者が若者を「自分勝手」と見るのは、ひとつには他人は自分勝手と見えるバイアスもあるのだが(「第三者効果」にちょっと似ている)、それより…

「地デジ化」の大問題

著者の坂本衛氏は「GALAC」「放送批評」などの編集長を務めたジャーナリストで、氏のブログ「すべてを疑え」は本ブログのアンテナにも入れてある。いよいよ地上波のアナログ停波まで秒読み段階となったが、確かに坂本氏の言うように、拙速な停波にはさまざま…

逆パノプティコン社会の到来

パノプティコンとは、ベンサムが考案した一望監視型刑務所のことで、フーコーが近代の権力構造の比喩(権力側が「見られずに見る」)として使って話題を呼んだ概念だが、著者はウィキリークスなどのネット型暴露メディアによって、現代はむしろ権力側が監視…

ケースメソッド憲法 第二版

「住基ネットとプライバシーの権利」「署名活動と表現の自由」「放送の「公平」と舗装の自由」「捜査手段としての電話盗聴」など、特に情報やメディアに関わる論点について、興味深く読んだ。著者の市川氏が特にリベラルなのか、それとも憲法学の主流に位置…

映画のどこをどう読むか

ドナルド・リチーの映画解説書。「戦艦ポチョムキン」「裁かるるジャンヌ」など10作品を扱う。たいへんな名著という感じはしないけれど、それなりには面白いです。

公共広告は社会を変える

日米を中心に、公共広告のこれまでの歩みについて書かれた概説書。電通の本だけに、やや内容にバイアスがかかっているのではと思われるところもあるが、勉強にはなる。

線形代数学

高木貞治の『解析概論』ほどではないが、この本も何回か読もうとして挫折し、今回やっと最後まで読み終わった。線形代数はけっこう用語がやっかいで、ユニタリ行列とかエルミット行列とか核空間とか、その時は覚えていても暫く経つと忘れてしまうorz。ま、固…

核のゴミがなぜ六ヶ所に

こちらはタイトルから分かるように、放射性廃棄物再処理施設を六ヶ所村に置くことを批判した1996年の著作。もう古いものだが、資料として読んだ。

地球の論点

Whole Earth Catalogで著名であったスチュアート・ブランドの著書。邦題は「地球の論点」だが、原題はWhole Earth Disciplineだ。中身はといえば、「なぜ私は心配することを止めて原発や遺伝子組み換え食物を愛するようになったか」といった感じ。つまりは原…

祝日なのに・・・

祝日なのに、関学の非常勤授業「プライバシーの社会学」の試験監督のためにはるばる西宮まで出かける。天気もよくないのにつらい。で、採点も始めたが、どうにも出来が悪い。満点の答案があり、満点に近い答案も数枚あったから、授業で話したこと以外からは…