[book}ドローンの哲学

著者はフランス人で、原題は「ドローンの理論」。ここで言うドローンは、観光地の撮影といった牧歌的な用途のものではなく、軍隊が敵国で殺傷を行うために飛ばす兵器としてのドローンである。そうした兵器を使うことには倫理上どんな問題があるのかという厳しい問いかけが本書のテーマ。もちろん簡単な結論などあろうはずもないが、著者が真剣に問うていることは表現の端々から伝わってくる。
 例えば、ドローンを使って殺傷する兵士を讃えるために、彼らは自分の命を危険には晒していないが、PTSDなどの深刻な精神疾患に陥る危険があるから英雄なのだ、とする論があるらしい。そんなのは嘘だと著者は一蹴する。

ドローンの哲学――遠隔テクノロジーと〈無人化〉する戦争

ドローンの哲学――遠隔テクノロジーと〈無人化〉する戦争