2005-10-01から1ヶ月間の記事一覧

人間コミュニケーションの語用論

あまり期待しないで読み始めたが、意外に面白かった。原書は1967年のけっこう古い本。ベイトソンの教えを受けた著者3人による、パラドクスを含んだ人間コミュニケーションへの洞察の書。精神分析(ユング派)の影響が強い。まあユング派は悪名高いのだ…

今日の夕食は長芋入り明太子スパゲッティ。料理の本を見ながら作ったのだが、長芋のシャキシャキ感がパスタとよく合ってうまい。

NHK

ジャーナリズムの本旨をないがしろにして商業主義に走り、政府・自民党に擦り寄ってきたNHKの体質を厳しく批判。一貫した姿勢が小気味よいが、やや教条的か。

新書3冊

『義務教育を問い直す』悪い本ではないのだろうが、議論が総花的かつ予定調和的で物足りないことはなはだしい。 『人名用漢字の戦後史』私は漢字大好き人間だが、人名用漢字の話はこれまであまり考えて来なかった。人名用漢字の制定(や拡張)の背後に、漢字…

A・トフラーの未来教育

トフラー(編)、徳山二郎(訳)『A・トフラーの未来教育』実業之日本社、1976年。 トフラー(編)の未来学の一冊。原著は1974年の"Learinig for Tomorrow。ISBNなし。あまり知られていない本のようだから、章立てを紹介しておこう。 1 未来意識 2 未来の…

精神・自我・社会

G.H.ミードの代表作(といっても、死後に弟子によって編纂された)。恥かしながらちゃんと通読したのは初めて。日本を代表するミード研究者である船津衛さんの教科書『コミュニケーション・入門』の前半部分に出てくる特殊な用語は、たいていミードが作…

ひまなし

朝から授業2コマ、昼は立て続けに校務、夕方はゼミ、夜はゼミコンパ。まったくひまなし。本も読めない。

ライブドア資本論

この本もまたとても分かりやすい。ライブドア騒動を題材に、日本資本主義の変容(あるいは、戦後護送船団体制の崩壊)を説く。ソフトバンクの北尾さんのこと、ネットバブル崩壊のこと、ソニーとフジテレビとの提携話など、その時は覚えていてもちょっと時間…

映画の論理

ニコラス・レイ論、ジョーゼフ・コーネル論を中心に、映画に関する論考を集めたエッセイ集。講演原稿や新聞での連載がもとになっているためきわめて読みやすい。末尾は「サンフランシスコ論」です。

視覚とヴァーチャル世界

屏風図やパノラマから、ヴァーチャル・リアリティなどの最新技術まで、視覚と文化の関わりを探った、視覚社会学の第一人者による一冊。新たな正典となる可能性あり。

京都メディアアート週間2005(於京都ドイツ文化センター)に行き、ドイツのものを中心とした映像作品を鑑賞。まず、マルルビデオアート賞(ドイツのマルル市で行われるビデオアートコンペ)の入賞作品が上映されたのだが、正直なところ、邦訳字幕がない…

技術の論理・人間の立場

中岡哲郎『技術の論理・人間の立場』筑摩書房、1971年。 論文集。70年代初頭の本だが、既に情報化に対する懐疑的な思想が展開されている。特に清水幾太郎『現代思想』への批判として書かれた「電子計算機は何をもたらすか」は、機械化・情報化を哲学的に論じ…

テレビのエコーグラフィー

デリダによるマスコミ論、現代社会論であり、スティグレールとのスリリングな対話である。アクチュアリティが人工的に作られている現代において、われわれはどのように対抗すればよいのか。特に対話部分は読みやすく、晦渋といわれるデリダ像が一変する。貴…

授業のあと、キャンパスの草取り(涙)。毎年の義務なのです。そして教授会。こうして人生の一日が暮れてゆきます。

マゾヒスト

「いらっしゃいませ、お一人様ですか?」 「はい」 「おタバコはお吸いになりますか?」 「いいえ」 「じゃあ禁煙席にご案内します」 「いえ、喫煙席にしてください」 「タバコは吸われないんですよね?」 「私、マゾヒストなので・・・」あ、これは逆パター…

授業2コマです。しかも、科研費の書類作成に加えて、来期の時間割に関する調整をしなくてはならず、(通常は前年通りなのだが、来年度は、学科再編に伴って旧カリキュラムと新カリキュラムが並行して走る、会議の日程が水曜から金曜に変わる、大学教育セン…

組織のなかの人間 オーガニゼーション・マン

ホワイトが1956年に書いた、現代社会学の古典の一つだが、恥ずかしながら初めて読んだ。読んでみて、現代日本にもあてはまるところが多いのに驚いた。例えば、当時のアメリカ人学生の気質を書いた次のような一節。 学生は現状に対して反抗しようとは考え…

オルターナティヴズ

イヴァン・イリイチ(尾崎浩訳)『オルターナティヴズ』新評論、1985年。脱学校論、脱病院論で知られるイヴァン・イリイチの1971年の処女作。既に公教育のはらむ矛盾を指摘(例えば、子供よりも大人に対して、はるかに効率的に読み書きを教えることがで…

マスコミ学会

東京女子大で日本マス・コミュニケーション学会。インターネットはテレビを代替するのか、をテーマにした午後のワークショップに参加。橋元良明先生を初め、石井健一氏(筑波)、高橋利枝氏(順天堂大)、是永論氏(立教大)といった旧知の人びとと会う。し…

相模原と厚木

地域情報化政策の取材で、神奈川県相模原市と厚木市へ。相模原は、「マルチメディア街中にぎわい」で立てられた橋本図書館を再訪し、市役所では昔の「ハイビジョン・コミュニティ」政策の遺物について調べる。厚木市は「ハイビジョン・シティ」構想に関して…

久世エスパス

地域情報化政策(リーディング・プロジェクト「地域情報化対策」)の取材で、岡山県久世町(今では合併で真庭市)を再訪。姫新線で行くのだが、この路線は、景色はいいのだが遅い上に本数が少ない。往路については岡山回り(津山線経由)で行った。なおかつ…

国勢調査、再考が必要な時期に来ているようだ。 締め切り迫る国勢調査 回収に苦悩 (朝日新聞) - 全国一斉に行われている国勢調査。調査員たちは各世帯に配布した調査票の回収に全力を挙げているが、プライバシー意識の高まりなどから回答拒否が増加するな…

授業2コマにゼミ。他には特になし。

art

昼下がりに姫路市立美術館へ。水越松南展。日本画の鑑賞は久しぶりだ。狸や虎児たちの絵がかわいらしい。

写真を「読む」視点

写真史を語る一番ありふれた語り方は、19世紀についてはニエプスやダゲール、タルボットといった発明家の列伝を、それ以降においては、スティーグリッツやウェストンといった、いわゆる表現者としての「偉大な写真家」の列伝を語る、というものだろう。多…

ホントかしら

こんなニュースが・・・ 中国の文字史書き換えか 甲骨文字より数千年古い? 【北京7日共同】中国寧夏回族自治区の岩の上で発見された中国最古のものとみられる絵文字について、これまでの鑑定結果で、同国で最古の文字とされてきた甲骨文字よりさらに数千年…

PFF(ぴあフィルムフェスティヴァル)を見に梅田へ出かける。本当は全部見たいのだが、スケジュールの都合で最初の招待作品「ほほえむ魚」「ハート・オブ・ザ・シー」のみ。前者は台湾の短編アニメーション。孤独な男の優しさがいい。後者はドキュメンタ…

cinematic body

身体を中心にした映画論。一章は理論で、これまでのフロイトやラカンなどの精神分析一辺倒から、それを超えた映画理論の構築を目指す。二章から七章まではロメロ、ルイス、クローネンバーグ、ウォーホルなどの各論。一章の末尾で論じられている、ドゥルーズ…

授業+会議。また学校に縛られる日々が続きます。

小津安二郎と戦争

著者が小津の足跡を尋ねて書いた前半部分よりも、小津が秘密裏に書いていた手記や(拾った)戦記中国側のプロパガンダ文書をそのまま掲載し後半部分の方が(失礼ながら)おもしろい。特に、火野葦平の『麦と兵隊』『土と兵隊』に対する小津の酷評は一読に値…