2011-04-01から1ヶ月間の記事一覧

とんでもなく役に立つ数学

「渋滞学」で有名な東大教授・西成活裕氏が、都立三田高校1年生を相手に4日間、数学の魅力を語った特別講義を書籍化したもの。氏の専門である「渋滞」に関する記述が多い。数学は浮世離れした学問と思われがち(であるし、実際にそのような性質はある)が…

まぎらわしい「夫夫」

「夫夫」という部分を含む字がいくつかありますが、元を辿ってみると、これがどうにも紛らわしい。 この下に「曰」が付いた字に「替」があり、さらにサンズイをつけた字に「潜」がある、ように見える。しかしどうも、「替」と「潜」とは、字源的には無関係の…

小屋丸 冬と春

KAVCに出かけて映画「小屋丸 冬と春」を見た。越後妻有トリエンナーレの舞台ともなった、新潟の小さな集落「小屋丸」の雪深い冬、そして春を見つめるドキュメンタリー映画。今では住む人は13人で、その中には移住してきたブルガリア人の音楽家もいる。…

※に似た部首

※(こめじるし)に似た漢字の部首が二つあります。どちらも、あまり多くの字には使われていませんが。 一つは「鬯」(チョウ)で、酒壺に香草をひたしている形に由来する象形文字です。これを使った字は、まあ「鬱」くらいしかありません。そういえば、鬱の…

環境問題の科学社会学

昨日取り上げた「環境社会学」の執筆者の一人でもある立石裕二氏の、博士論文を基にした著作で、やはり一人の著者が存分に持論を展開しているためかこちらの方が読み応えがある。前半で理論的枠組みを述べ、後半では事例としてイタイイタイ病、長良川河口堰…

官のナゾ

昨日取り上げた「宮」とよく似た字に「官」があります。館、菅、管、棺といった字が、「官」を音符にしてできていることは間違いないでしょう。しかし、この「官」という字自体のなりたちについてはナゾが多く、論者の間で見解が分かれています。「宀」の下…

環境社会学

環境社会学の概説書。10人程度の執筆者による14章構成で、他にコラムが多数収められているのだが、正直どうも「物足りない」感がつきまとうのはなぜなのだろう。

中国とインドの情報産業

中国とインドの情報産業(ソフトウェアおよびハードウェア)を比較した、世界銀行の報告書。記述が単調でやや読みにくい。

バイオ・キャピタル

インド生まれで現在はシカゴ大学人類学科准教授の著者が、MITに提出した博士論文を基にした浩瀚な著作。現代のバイオテクノロジー企業およびその周辺領域を対象とした、フーコー的なエスノグラフィー。米国のみならず、特に、著者の出身であるインドにつ…

呂と宮は関係があるのか?

呂という字と宮という字には関係があるのか?これは微妙な問題です。 「呂」という字は、説文では「背骨の連なった形」と説明されている。呂を含む字は少なからずあり、例えば「伴侶」の「侶」は、人と人とが連なること、「梠」は柱と軒の間をつなぐ木のこと…

ネットワーク・ヘゲモニー

ネットワークと権力に関する論文集。第4章の中国論と、第6章の環境技術(ET)論が興味深かった。

新ソーシャルメディア完全読本

タイトル通りソーシャルメディアの本だが、どちらかといえばビジネス向け。グルーポンがかなり好意的に書かれているが、執筆時は「おせち問題」の発覚前かしら。

映画とネイション

ミネルヴァ書房から刊行が始まった全10巻の「映画学叢書」の一冊目で、8本の論文が収められている。私が最も面白かったのは、ヴェンダースの「パリ、テキサス」を論じた第7章。

静のナゾ

「静」がなぜ「しずか」という意味なのか、結構私はナゾに思っています。なにせ右側は「争う」という字ですから。 この字は説文解字では、「青」を意符、「争」を声符としているようですが、「セイ」という音は「争」より「青」に近い。では「青」が音符で「…

ウィキリークスでここまで分かった世界の裏事情

ウィキリークス本かと思ったが、ウィキリークスをダシにして偏った持論を述べるだけのもので、ほとんど読む価値はない。

「過疎列島」の孤独

何の気なしにタイトルを見て図書館から借りてしまったのだが、よく見たら10年前の本だった。第2章では震災後の神戸がテーマ(著者は私と同じように、震災直後に神戸に赴任している)、第5章で、具体的な村おこしの例を挙げている。

バラエティ番組がなくなる日

フジテレビ時代にプロデューサーとして、「おれたちひょうきん族」や「笑っていいとも」などを育てた著者の経験談。全体的に、「いい気なものだ」というのが読後感だが、まあところどころには参考になる話もある。「いい気なものだ」というのは、まあ著者の…

ウェブ×ソーシャル×アメリカ

新刊だが、いろいろと懐かしい感じのする本だった。米国の情報文化を、スチュアート・ブランドや「ホール・アース・カタログ」といった1960年代文化にさかのぼって説き始め、現在のフェイスブック、ツイッターまでつなげてゆく。昔ベイトソンも読んだは…

凋落

この世には悪縁というものがあるらしい。本書で扱っている木村剛と大島健伸もそれに当たるだろう。日銀エリートの座を捨てて独立し、日本投資銀行の経営に深入りして行く木村。帰化した在日韓国人一家に生まれ、商工ローンという金貸しビジネスでのしあがっ…

メディアと日本人

東大社情研時代の恩師の一人と言っていい橋元良明先生の著書。メディアの歴史と現状、メディア悪影響論、デジタル・ネイティブなどについて分かりやすくさらりと書かれており、学生や社会人が何か一冊メディアについて基礎知識を得るために読むには最適だろ…

全貌ウィキリークス

これまたウィキリークス本の一つだが、原書はドイツ語で、原題は「国家の敵・ウィキリークス」とおどろおどろしい。これまで読んだ本との重複はもちろんあるのだが、ウィキペディアのジミー・ウェールズとの確執や、「アノニマス」の活動について割と詳しく…

鬲と鼎

鬲と鼎はいずれも訓読みは「かなえ」と読み、中国古代で使われていた、3本足の器を模した象形文字です。この両者とも、大きな漢和辞典では部首に立てられていますが、その属する字はあまり多くはありません。 鬲では、かゆを意味する「鬻」(ひさぐ、と読む…

日本の「ダメ英語」を叩きなおす

私は知らなかったが、著者の「平岡塾」というのは、東京にある名門高校生のための英語塾らしい。書いてあるのは、まあごくまっとうな正論で、とりたてて目新しいことはない。英語の前に国語が重要、とか、文法も大事、流暢にしゃべれることより、話す中身、…

「発達科学への招待」終了。うーん、ちょっと早く終わりすぎた、反省。私は普段の授業では、パワーポイントを使わず、基本板書にしているのだが、それと同じくらいの内容をパワポのファイルにすると、どうも早く終わってしまう。本当はスライドを止めて余談…

事件現場清掃人が行く

タイトル通り、事件現場の清掃(他にも、ゴミ屋敷の清掃なども請け負う)を仕事にしている男性の手記。なぜこの仕事を始めることとなったのか、そして、この仕事を通じて見えてきたさまざまな事柄が書かれている。自殺にしろ事故死にしろ、一人暮らしで亡く…

夕方、大阪・難波に出向き、モリサワ本社で阿辻哲次氏の講演会を聞いた。テーマは「常用漢字」だが、残念ながら目新しい情報はほとんどない。聴衆はよく暴動を起こさなかったものだ。唯一得られた情報は、阿辻氏を初めとした審議会のメンバーが、いかにいい…

男が病気にならない生き方

最近どうにも疲れが取れないので、珍しくこうした実用書・健康書を読んでみた。言っていることは単純・簡明で、すぐに読み終わる。 曰く 下半身の筋肉を鍛えよ(スクワットなど) 体温を上げるべし 肥満にならないように、朝食を抜いて一日二食にせよ 水分も…

早と草

早についても、字源説は分かれています。 説文では、日(太陽)が甲の上に乗った字体が源とし、そこから「早い」という意味になったとしている。加藤説はこれを踏襲しながら、+は甲であるとし、「甲」の音がソウに変化したとしている。 藤堂説は全く違い、…

飆風

車谷長吉の小説3編(+エッセイ「私の小説論」)。いやまあ相変わらず、真実とも虚構とも分からぬ虚実の間を、毒づきながら表現する。家族・友人のみならず、他の小説家や編集者の名前まで登場し(編集者が実名なのか仮名なのか分からないが、新潮社の編集…

ウィキリークスの内幕

何冊か出ているウィキリークス本の中でも本書は異色で、ジュリアン・アサンジの片腕として働いてきた著者が、初期のウィキリークスの貧弱な設備や人員体制(基本的に二人ですべて行っていた)を暴露している。以下のような事実も興味深い。 ジュリアンは、米…