2013-04-01から1ヶ月間の記事一覧

ビッグデータの覇者たち

ビッグデータについての解説書、と言っていいのかどうか・・・。まあこの分野をあまり知らない人なら読んでも損はないかも。

くまモンの秘密

熊本県庁の「チームくまモン」が、くまモン人気の秘密を明かす。小山薫堂が大きく関わっていたのだね。

思考停止社会

元検事、弁護士の郷原信郎氏が、「法令遵守」「コンプライアンス」の名の下に、「思考停止」に陥りがちな日本社会を批判する。むしろ法律が苦手な人ほど、恐れて法律遵守に躍起となってしまうのかもしれない(個人情報保護法の過剰反応などその典型だろう)…

奈良で「デザイン」を考えてみました。

「デザイン論」の本かと思うと失望するかも。とはいえ、奈良の美しい写真が多数掲載されているので、奈良についての観光写真集と思えば腹は立たないはず。

生命起源論の科学哲学

著者はケベック大学教授(哲学)。「創発」を「説明できないこと」とする観点から、生命起源論を論じるものだが、正直言って私には、よく分からないところが多く、十分に咀嚼できなかった。

十津川水害と北海道移住

明治22年の十津川水害を表した「吉野郡水災誌」の現代語訳が中心。

自立をめざす村

長野県の北端、栄村の村長を務めた高橋彦芳氏と、京大の地域経済の教授である岡田知弘氏の共著。小さな自治体がいかに生き残るべきかのヒントとなる。

離散数学「数え上げ理論」

野崎昭弘氏の数学エッセイの一冊だが、内容は意外と手堅い。順列組み合わせのさまざまなパターンの解説から説き始め、道順の問題、分割の問題、カタラン数、包除定理、差分方程式、「Nクイーン問題」まで。「Nクイーン問題」とは推理小説で言うクイーン問…

謎の独立国家ソマリランド

この本は素晴らしい。 ソマリアと言っても、日本人で興味を持つ人は少ないだろう。アフリカにそんな国があったな、程度の認識ではないだろうか。私もそうだった。 しかしソマリアは今、随分と変なことになっている。「ソマリランド」というのは、ソマリアの…

国際通信史でみる明治日本

著者は長らくKDDに勤務した経験を持つ。国際通信から明治という時代を描く。具体的には、ちょうど電信の黎明期に重なる岩倉使節団の電信利用や、台湾出兵・樺太千島交換交渉での暗号利用、日露戦争時の無線電信利用など。特に興味深いのは第四章の「大北…

週刊東洋経済 増刊 「鉄道」全解明 2013

毎年出ている。青函トンネルでの「新幹線減速運転」の事情や、廃止が取りざたされる三江線の話題など。全路線の収支の推計も出ているのだが、2005年から2010年にかけて、後藤寺線の利用が約10分の1に減っているのが気になる。何か理由があるのか…

珍名さんのいろいろ

著者は高知県のはんこ屋さん。その経験から珍名を紹介するもの。「日日日」「悪七」「皿良」「菊巒」「鯨臥」「息」「姓億」等々。

都筑道夫ポケミス全解説

昔懐かしいハヤカワ・ミステリのような装幀だが、実はフリースタイルから2009年に出版されたもの。都筑道夫がハヤカワミステリに書いた解説を中心に、欧米のミステリ論を集めた。都筑さんと言えどコンピュータではないし、また、当時はインターネットのよう…

日本文化の論点

若手評論家、宇野常寛氏による新書。クールジャパン戦略や、本・CDへのノスタルジー的な回顧への批判は、なるほどと頷かされるところが多い。特に、新美南吉「おぢいさんのランプ」を使った第4章「情報化とテキスト・コミュニケーションのゆくえ」は読ま…

Googleの72時間

東日本大震災の直後にグーグルが何をしたのか(ヤフーなど他のIT企業の話も一部含まれているが)をテーマにしたルポ。グーグルが「パーソンファインダー」を立ち上げて人々の安否確認に資したことは割と知られているが、他にも、すぐさま航空機を飛ばして航…

見て見ぬふりをする社会

原題は「wilful blindness」で、「社会」は入っていないが、「わざと見ない」ということ。人は周囲の価値観に合わせるため、あるいは恥をかかないため、見ているものを見ていないと思い込む。そうした例が多数紹介されている。27ページに紹介されている、…

数学的推論が世界を変える

小島寛之・帝京大学教授の数学エッセイの一つで、副題は「金融・ゲーム・コンピュータ」。コンピュータでの金融取引の話が中心だが、さらにゲーム理論、人工知能論、数理論理学、不完全性定理などの説明を加える。

博物館情報・メディア論

日本教育メディア学会というところが編纂した、大学の学芸員課程「博物館・情報メディア論」の教科書。特に悪いところはないようだけれど、17ページで「ユビキタス」を「偏在」と書いているのは大きなミスだ。正しくは「遍在」で、これでは意味が逆になっ…

上海から来た女

オーソン・ウェルズ監督主演作品(1947)で、当時の妻であったリタ・ヘイワースがファム・ファタールを演じる。ウェルズの役は、弁護士およびその妻(リタが演じる)の諍いに巻き込まれる船員。ウェルズの作品の中では、それほど目立つ方ではないが、ラ…

東大の数学入試問題を楽しむ

著者の長岡亮介氏の授業は、私も予備校時代に受講したことがある。兎に角頭の良い人向けの授業だった。 本書は、その長岡師(駿台での呼び方)が、東大の数学入試問題をサカナにして、数学教育、さらには教育全般や日本社会全体につながる意見を述べるもの。…

フェルメールのカメラ

フェルメールが絵を描く際に「カメラ・オブスクラ」を使用していたのかどうかは、美術史家の中ではかなり大きな問題であるらしい。本書は、「使用していた」という立場に立つフィリップ・ステッドマンが、その理由を説明したもので、少なくとも私は説得され…

専門性の政治学

この本の編者の内山融君は、駒場時代の同級生。本書は、科研費基盤研究B「先進諸国の経済政策形成における専門性の役割」に基づくもの。医薬品行政、金融政策など各分野で、専門家が政策形成にどのような役割を果たしているかを論じた論文集。内山自身の論…

漂白される社会

「フクシマ論」で世に出た開沼博氏の著作。「周縁的な存在」から現代社会を読み解くもので、いくつかの文章は既にオンラインで読んだことがある。 例えば、「売春島」、「ホームレスギャル」、「シェアハウス」「生活保護」「違法ギャンブル」「脱法ドラッグ…

国の死に方

音楽評論家としても知られる片山杜秀・慶応准教授が、震災後に『新潮45』に書いた文章をまとめたもの。「権力は放っておくと低い方に流れてゆく」「ヒトラーは国家を麻痺させようとした」など、目からウロコの評言に心が動く。第十一章は「東北が叩きのめ…

東スポ黄金伝説

東スポと言えば、あることないことを書き散らす下級新聞だが、一体どのような人たちがこの新聞を作っているのかは、興味のあるところだ。本書は、東スポの記者だった著者が、「事実に基づいて」書いた物語。オーナーが大映の永田社長から児玉誉士夫へと移り…

Silently Silenced

タイトルは、「静かに黙らされる」といった謂いだろう。著者のトーマス・マシーセンは、「シノプティコン」(パノプティコンの逆)という言葉を作ったことで知られる、ノルウェーの社会学者。本書の核は、実は1970年代に書かれた論文や時事評論であり、…

チューリングの大聖堂

コンピュータの発達を、プリンストン高等研究所の人間関係を軸に描く書。タイトルは本書の13章から取られているが、主役はチューリングよりむしろフォン・ノイマンである(チューリングの万能機械がコンピュータの発達に果たした重要な役割を考えるならば…

漢字雑談

高島俊男氏が、講談社のPR誌『本』の連載していた記事をまとめたもの。『大日本国語大辞典』の犯した間違いが、そのまま他の辞書に受け継がれてしまったことを論じた「「調査」の由来」が面白い。調査という明治期に作られた新しい言葉を、あたかも唐の時…

ウクライナ100の素顔

東京農業大学の「100の素顔」シリーズは、日本の離島についてだけ出ているのかと思ったが、意外にもウクライナについて出ていた。妻が興味を持っている「ピサンキ」について記述がないのが残念。農大の本だけに、やはり農業や食品関係の記述が厚い。きの…

飾窓の女

フリッツ・ラングの作品。ふとしたことから「飾窓の女」に誘われ、うかうかとその家に遊びに行ってしまう大学教授が、図らずも殺人を犯してしまう。担当する刑事は教授の友人で、うっかりと犯人しか知らない事実を口走ってしまう。また、被害者の「用心棒」…