{book]植物は未来を知っている

正直なところ、私は植物への関心の薄い人間で、私の母は花好きでいろいろなことを教えてくれたのだが、さっぱり頭に残っていないほどだった。
 本書を読んだのもたまたまなのだが、読み始めて興奮した。とにかく面白いのである。植物の持つ様々な能力が、美しい写真とともに解説してある。章題を紹介すると、「記憶力」「繁殖力」「擬態力」「運動能力」「動物を操る能力」「分散化能力」「美しき構造力」「環境適応能力」「資源の潤環能力」となる。これだけでもワクワクしませんか?
 たとえばオジギソウの記憶実験。鉢植えのオジギソウを落下させると、最初のうちは葉を閉じて反応するのだが、七、八回も繰り返すと、もう閉じなくなる。安全だからわざわざ閉じませんよ、というわけだ。
 ハマミズン科のリトープスという植物は、石に擬態する。地中に暮らし、葉だけが地面の上に出るのだが、その葉が完璧に石を擬態しているのだ。もちろん捕食されないために。
 著者は、人間が植物から学べることは多いとする。例えば建築の分野ではすでに、オオオニバススイレン科の植物で、人間が乗っても沈まない大きくて丈夫な円い葉を水面に浮かべる)を模して作られた建築物が作られている。
 著者はイタリア人の植物学者。第8章では無重力実験に参加した際に、著者の犯した失敗談が赤裸々に語られていて笑ってしまう。
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