2010-06-01から1ヶ月間の記事一覧

なぜツイッターで日本が変わるのか

フリージャーナリスト上杉隆氏の対談集。政治家との対談もそれぞれ興味深いが、最も面白かったのは岩上安身氏とのもので、テーマはほぼ「記者クラブ批判」。ここに書かれたことが事実とするなら、記者クラブという既得権益を守ろうとするマスコミのあざとさ…

ネットワーク社会と空間のポリティクス

全体を貫く筋は「グローバリゼーション批判」で、第一部は「転移」、第二部は「変容」、第三部は「超越」と題されているが、ほとんどはこれまで共著などに著者が書いた文章を集めたもの。カステルを初め、さまざまな欧米の学者の言が引用されているが、正直…

読売新聞ニュースより 厳しい経営・JR四国、今秋29駅を無人化 2010年6月30日(水)9時6分配信 読売新聞 JR四国は、社員か契約社員の駅員を置いている80駅のうち、29駅を10月1日までに無人化すると発表した。 高知県内は豊永、土佐久礼など6駅。…

高砂コンビニ奮闘記

乱歩賞を受賞した推理作家として知られる森雅裕氏が、編集者との対立(? 本書ではあまり詳しく書かれていない)から出版界を干されて仕事ができなくなり、生活のために仕方なくコンビニで深夜バイトを始めた、その体験を語ったもの。 まず驚くのが、コンビ…

空虚の時代

1944年生まれのフランスの哲学者・社会学者であるジル・リポヴェツキーの著作。邦訳は初らしい。「第二の個人主義革命」を経て、Personalization「個性化」の時代に入ったというのが基本モチーフ(本当に「個性化」という訳語が適切なのかどうかはやや疑…

ワークライフバランス

シカゴ大学教授の山口一男氏の著作。海外で活躍する日本の社会学者というと、私はまず山口氏の名前が思い浮かぶ。「少子化」「夫婦関係」「男女の賃金格差」「ワークライフバランス」などを扱った個別の論文を集めたもの。特に読みどころは第3章「女性の労…

複雑ネットワーク

ネットワーク科学の解説書。グラフ理論や「スケールフリー」「スモールワールド」の話ばかりでなく、感染伝播モデル、ネットワーク上の同期まで、テーマは幅広い。扱っている数学はそれなりに難しく、理解するのに骨が折れる。

日本経済「ひとり負け」

復活した高橋洋一氏の著作。まず需要ギャップを埋めよ(そのために財政政策と金融政策を行え)というのが根本的な主張。これまでの氏の本と比べて、さほど目新しいことがあるわけではないが、例えば「民主党の行末は大増税か」という文章は、民主党が消費税…

ダダ漏れ民主主義

ジャーナリスト日垣隆氏の新刊。第一章では情報化の進展による「ダダ漏れ」が各所で広がっているさまを描き、第二章では何事も経験することが大事と説く。特に、現代において「読書会」を復活させていることに感服した。日垣氏は、百人規模の読書会を70回…

私はなぜ麻原彰晃の娘に生まれてしまったのか

著者は麻原彰晃の4女で、1989年生まれ(麻原には、妻に産ませた4女2男の他、愛人に生ませた者を含めると15人くらい子どもがいるらしい)。これまでの辛い経験を語っている。部外者として興味があるのはやはりオウム真理教の実相で、例えば麻原の妻…

進化の存在証明

有名な生物学者リチャード・ドーキンスが、進化が幻想ではなく事実であるということを、さまざまな証拠を挙げて論ずる本で、大変勉強になるのだが、むしろショッキングなのは、付録で述べられているように、西洋社会では未だ「進化論」を否定し、生命は神が…

岩瀬式 加速勉強法

ライフネット生命創設者の岩瀬大輔氏による勉強法の本。「全体を眺めて構造を見切る」「作業は小さく切り分ける」「インプットした情報はしばらく忘れる(=寝かす)」といったノウハウが書かれている。他人の力を借りるために「隙」(つっこまびりてぃ)を…

風景の裂け目 沖縄、占領の今

著者の田仲氏は沖縄生まれで、米国留学、沖縄国際大学勤務を経て現在はICUの准教授という経歴。沖縄人による沖縄を対象としたカルチュラル・スタディーズ「奴隷(沖縄県民)解放をやってくれるアメリカ大統領はいないのか」というコザの張り紙写真が心を…

チェコアニメ傑作選

先週に引き続いて、KAVCでチェコアニメを見た。今週はCプログラムとDプログラム。チェコアニメ傑作選I・II [DVD]出版社/メーカー: コロムビアミュージックエンタテインメント発売日: 2009/08/19メディア: DVD クリック: 10回この商品を含むブログ (5件) を見…

図書館情報学検定試験問題集

司書の資格とは別に、図書館情報学検定というのがあるらしい(公開試験は今年秋が最初)。本書はその自習用問題集。私はきちんと図書館情報学を勉強したことがないが、まあ隣接領域を専攻しているわけだし、好奇心から読んでみた。全部で50問で、7割くら…

岩手日日新聞ニュースより “格差”解消へ通信環境整備 西和賀町今年度着手 (02/17) 全世帯つなぐ光ファイバー網 西和賀町は2009年度、町ブロードバンド(高速大容量)整備事業に着手する。町内全域を網羅する光ファイバー網を独自に整備。インターネッ…

廃道をゆく2

山中の道路などは、使われなくなり、整備されなくなるとどんどん劣化する。路肩は崩れ、橋は落ち、隧道は埋まってしまう。そうした「廃道」をテーマにした2冊目。一番感動したのは「誰にも看取られずに朽ち果てようとしている」六厩川(むまいがわ)橋。そ…

イマココ

これは邦題でかなり得をしている。人間および他の動物の空間認知がテーマ。第9章の「都市空間」では、自動車の多用によって環境が悪化することに懸念を表明、昨日紹介した増田悦佐氏の著書とも論点が共通している。

昨日触れた増田悦佐氏は、自民党の集会でコスプレをしたらしい。やはり変わった人だ。http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1006/22/news080.html

内向の世界帝国 日本の時代がやってくる

増田悦佐氏の著作は面白いが、どこまで信じてよいのか・・・。エリート(といってもオルテガ流に言えば「大衆」だろうが)よりも大衆の方が賢い日本を称揚、独自の循環史観から、米国の次の経済覇権国は日本と予想する。エリートが英語を苦手であるために、…

チェ 39歳 別れの手紙

キューバ革命の戦士、チェ・ゲバラの生涯を描いた2部作。合わせて約4時間の大作だが、そのかなり(8割くらいか?)の部分が行き詰るゲリラ戦のシーン。迫真性はあるが、ちょっと長過ぎてうんざりする気持ちにもなる。メディオロジーのレジス・ドブレもち…

チェ 28歳の革命

常用漢字の事件簿

戦後の世相と重ね合わせる形で、漢字の問題を述べる。著者は私とほぼ同世代であり、私自身漢字には多大な関心を寄せているから、既によく知っていた事柄が多かったけれど、それでもいくつかは知らなかったことを教えられた。たとえば大分県南部の洞窟に描か…

沖縄の海兵隊はグアムへ行く

沖縄出身・在住のジャーナリストが、公開されているのにあまり利用されていない米側の資料を読み解き、米海兵隊は結局グアムに行くことを考えているのだ、と主張する。特に「抑止力論」は幻想だとし、沖縄に多数の海兵隊が駐留しているのは、「多分に「そこ…

沖縄の発展とソフトパワー

沖縄国際大学の富川盛武学長を中心に、同大学の教員が中心となって行われた共同研究。産業、人口、基地問題など全10章構成。よく言えば中庸を得た提言となっているが、悪く言うと公務員がソツなく作った文章のようで、これが沖縄県庁から出されたものだと…

毎日新聞ニュースより 姫路独協大:教員退職勧奨 学長「苦渋の決断」 労組、雇用継続を申し入れ /兵庫 姫路独協大(姫路市上大野)が外国語学部の教員10人に退職勧奨していることについて、奥村勝彦学長は18日、姫路市内で会見し、「学科の統合に伴い退…

沖縄読谷村 「自治」への挑戦

子どものころ、沖縄には人口が多い村があるのが不思議だった。逆に合併してうるま市になるまでの石川市など、市であるのに人口の少ない市があるのも奇妙であった。市町村で、最も人口の少ないのが村という固定観念があったからだ。そうした、人口の多い村の…

上級マクロ経済学 第3版

奄美出張の時から読み始めて、やっと読み終わった。マクロ経済学の本を教科書を読むのは、学生のころに中谷巌の本を読んで以来である。著者はデビッド・ローマーだが、なんとなくポール・ローマーと混同していた。 冒頭が経済成長論で、ソローによるモデルを…

iPhoneの本質 Androidの真価

日経が主催したセミナー「オープンモバイル・コネクションズ2008」の、12のセッションを収録したもの。エンジニアや専門家たちの講演や対談などが中身。Androidの出荷以前に、グーグルは目的を達したという第7章の指摘が興味深い。多くのメーカーが、…

タナカヒロシのすべて

妻に勧められてDVDを借りてみた。かつら工場に勤める32歳の平凡な主人公タナカヒロシを、怪優鳥肌実が演じる。両親の死を皮切りに次々に不幸に見舞われるというストーリーだが、主人公が女性に結構モテるためか、さほど不幸にも見えない(笑)。タナカ…