2012-07-01から1ヶ月間の記事一覧

図解スマートフォンのしくみ

これはちょっと不思議な本だ。タイトルは「スマートフォンのしくみ」なのに、中身はほぼ携帯電話の仕組みについて書かれていて、スマートフォン固有の話(例えばさまざまなアプリなど)についてはほとんど出てこない。携帯電話について知りたい人には良い本…

biobanks

上記のニュースと偶然重なる形になったけれど、ここ数日間夢中で読んでいるのはこの本。国家間の比較という観点から、バイオバンクの統治形態を考えるもの。編者は2人で、Herbert Gottweisはウィーン大学で社会学の、Alan Petersenはメルボルン大学で政治学…

慶応大学の富田勝教授が、日本人として初めて、全ゲノム情報を公開したそうです。詳しくはこちら。 http://www.keio.ac.jp/ja/press_release/2012/kr7a4300000aubbx.html

まちの見方・調べ方

副題に「地域づくりのための調査法入門」とあるように、積極的に「地域づくり」に関わるためのノウハウ本という性格付けも持っている調査法の本。「事実を知る」「現場に立つ・考える」「現象を解釈する」の3部構成で、特に第3部は、統計分析や産業連関分…

2015年のIDビジネス

野村総研によるビジネス本。IDビジネスの処理ステップを、1識別、2認証、3認可、4登録、5蓄積、6利用、7提供・決済とに分ける。総花的な中身だが、どうも野村総研はOpenIDを推しているようだね。そこにビジネスチャンスがあると見ているのだろうか。

ぜんぶわかる脳の事典

美しいグラフィックスで脳の形状や機能が説明されている。内容豊富でとうてい覚えきることなどできないが。

封印されたアダルトビデオ

タイトル通り、さまざまな理由で販売中止に追い込まれたアダルトビデオについて紹介する。例えば、現場サイドはOKしていたのに、上層部からの圧力でお蔵入りした、自衛官出演のAVとか。障害者を男優にした『ハンディキャップをぶっとばせ』(V&R)な…

おとし穴

勅使河原宏監督の長編第一作で、脚本は安部公房。炭鉱を舞台に、元坑夫で子連れで放浪している主人公(井川比佐志)が、白いスーツを着た謎の殺し屋(田中邦衛)に刺殺されてしまう。その現場は、山の下に沼地が広がっており、白黒ながらなぜか恐山を思わせ…

教養としてのゲーム史

いわゆるコンピュータゲームの歴史をコンパクトにまとめたもの。私はあまりこの分野に明るくないので、知らないゲームの名前が出てきてちょっと困った。ポン、ブロック崩し、インベーダ、ゼビウスくらいまでは友人と付き合って多少遊んだことがあるのだが、…

ビッグデータの衝撃

「ビッグデータ」という言葉は、日本ではどうも野村総研がはやらせようとしているようだ。私が読んだビッグデータ関連本はすべて、著者が野村総研関係者。これは偶然ではないだろう。 本書もビジネス利用を中心としたビッグデータ本。イーベイ、ジンガ、セン…

Media Accountability

副題はWho will Watch the Watchdog in the Twitter Age? (ツイッター時代に誰が番犬を見張るのか?)。2010年にブリガムヤング大学で行われた「メディア倫理コロキウム」に提出された原稿を核とした論文集。編者のウィリアム・バブコックは南イリノイ大学の…

燃えつきた地図

安部公房が原作の小説の映画化で、脚本も安部自身が行い、監督は勅使河原弘。探偵として失踪者を探すうちに、自分を見失う主人公を勝新太郎が演じるのだが、ちょっと小説のイメージと違うかな。原作は昔読んだのだが、河原での乱闘場面などすっかり忘れてし…

ソーシャルメディア炎上事件簿

ソーシャルメディアのもたらす危険を具体例とともに紹介する。例えば、飲食店店員による勝間和代氏への中傷、ウェスティンホテルアルバイトによる大物Jリーガーカップルの名前の暴露、東電社員のミクシー記述の炎上、ドミノピザや吉野家の店員による悪ふざけ…

臨海副都心物語

もっと早くこの本に会っていればよかった(特に『東日本の地域情報化政策』の執筆中に)。三菱総研で、この臨海副都心構想に深く関わった著者が、それがいかに歪められたかも含めて、その内幕をかなり詳しく書いている。丹下健三の介入や、バブル崩壊による…

Castells and the Media

Polityが出している「理論とメディア」シリーズの一冊。思ったより薄い本で120ページ程度。カステルのメディア論について手軽に知るにはよい。巻末にはなぜか、ネットワークを充実させるためのハウツー的な文章もついている。同シリーズには、キトラー、…

ルパンの消息

「シネマ」としたけれど実はWOWOWによるテレビドラマのDVD化。テレビの2時間もののミステリーは、失望することが多いけれど、これは傑作だった。細かなトリック(というか、死体の状況)には疑問もあるのだけれど、偶然に翻弄された人間のドラマが…

イマイと申します

架空請求や振り込め詐欺が話題となった時に、日本テレビの「報道特捜プロジェクト」は「イマイ記者」を先頭にして果敢に業者と対決して話題となった。その単行本化で、2005年の刊行だが、いま読んでももちろんおもしろい。

ドラゴン・タトゥーの女

デヴィッド・フィンチャー監督作品。スウェーデン財閥系企業の総帥から、40年前の姪の失踪事件の調査を以来されたジャーナリストのミカエルは、事件の真相解明へと乗り出すのだが、一族はみな仲が悪く非協力的である。「ドラゴン・タトゥーの女」こと天才…

女の子を殺さないために

あまり期待しないで読み始めたのだけれど、この本は文芸批評として、大変な傑作だった。村上春樹と庄司薫の関係、そして川端康成とのつながりなど、当然気づいていてしかるべきだったのに、この書に教わるまで全くわからなかった。なぜ小説が、「女の子を殺…

本当にわかる現代思想

玉川大学の岡本裕一朗教授の著作。「現代思想の開拓者」「フランス現代思想」「ドイツ現代思想」「社会学の思想」「正義の思想」「この思想家を見よ」の6章構成で、約50人の思想家が、一人2ページから4ページで、分かりやすく解説されている(もちろん…

失われざる十年の記憶

副題は「1990年代の社会学」。90年代の映画(『スワロウテイル』『CURE』)や、小説(『空中庭園』)、アニメ(『セーラームーン』)、アイドルなどの表象から、90年代という時代を読み解く論文集。中堅から若手の研究者8名が分担執筆している。

絶海の孤島

沖縄や離島を中心にした旅行作家・カベルナリア吉田氏の新作。タイトル通り、遠隔離島が対象。私が行ったことがあるのは、青ヶ島、飛島、見島、南北大東島の4ヶ所のみ。他は舳倉島、鵜来島、悪石島、硫黄島(三島村)、父島・母島。三島、十島、小笠原諸島…

子育てが終わらない

引きこもりが高齢化し、いつまでも「子育てが終わらない」家庭で親はいかにするべきなのか、小島貴子・斎藤環の両氏が朝日カルチャーセンターで行なった対談に加筆訂正して本にしたもの。

インターネットに自由はあるか

なんとも壮大なタイトルだが、中身は副題の「米国ICT政策からの警鐘」の方がよく表している。要は米国の情報通信政策のレビューが中心。 特に、FCCが打ち出した「ネットワーク中立性」の議論は、オバマとマケインの大統領選挙においても、争点の一つと…

表裏 井上ひさし協奏曲

井上ひさしももう故人となって2年が経つが、本書によって私の「井上ひさし像」は大きく打ち砕かれた。何となく優しそうな人という印象があったのだが、元妻がここで描いている井上像はそうではなく、家庭内で暴君として振る舞い、妻への殴る蹴るは日常茶飯…

日本語は死にかかっている

水村美苗の『日本語がほろびるとき』を思わせるような大仰なタイトルだが、中身は、「林望の話し方教室」。要約すると、「表情豊かに、感じのよい話し方をしなさい。相手の言うことを、よく聞きなさい。等身大の自分を受け入れ、謙虚になりなさい」という程…

一夜漬け日本美術史

タイトルが示す通り日本美術史入門書。「一夜漬け」が効くかどうかは措くとして、多数の図版も掲載されているし、最初の一冊としてお薦めできる。

Too Big To Know

著者はハーバード大学の研究員で、ダニエル・ピンクやクレイ・シャーキーも褒めているから期待して読んだが、残念ながら期待外れだった。テーマはいわゆる「情報爆発」だけれど、著者のオリジナルな研究はほとんどなく、記述もだらだらしている。http://www.…

ヒトはなぜほほえむのか

薄い本ですぐに読み終わる。新生児の微笑および笑い(声を伴うものが笑い、伴わないものが微笑)についての研究書で、第1章と第2章はレヴュー、第3章が著者たち(家族であるそうだ)の研究のまとめ。「ヒトはなぜほほえむのか」というタイトルへの端的な…

物語 近現代ギリシャの歴史

タイトル通り、近現代ギリシャ史の本だが、特に序章と3章が興味深かった。序章で取り上げられているのは、大英博物館との遺物の返還交渉である。われわれ東洋人からすると、イギリスがギリシャ文明の遺物を盗んだのは明らかなのだから、ギリシャに返すのが…