2009-07-01から1ヶ月間の記事一覧

にぎやかな外国語の世界

両者とも黒田龍之助氏の外国語エッセイ集。特に後者は中高生向けで平易に書かれている。前者には、氏が明治大学を辞めた経緯も触れられてある。「今の大学社会には様々な疑問がある。どうして次から次へと組織の改変をするのか。どうして広報にはあれほどお…

ポケットいっぱいの外国語

民族とネイション

著者はロシア現代史が専門だが、この著作では、アジア、新大陸まで含めて民族、ナショナリズム、エスニシティ等に関する問題を幅広く概説しており、勉強になる。

Free Riding

公共的な問題に費用を負担しない、いわゆる「ただ乗り」を扱った著作だが、新しさを期待してずるずると読んでいるうちに読み終わってしまった。この著作でも、オルソンやベンサムと共に、ヒュームが頻出する。やはりヒュームを読むことにしよう。情報社会論…

読売新聞ニュースより 阿久根市長、人件費張り紙はがした職員を懲戒免職 7月31日13時20分配信 読売新聞 鹿児島県阿久根市の竹原信一市長は31日、市役所内に掲示していた職員人件費の張り紙をはがしたとして、40歳代の男性職員を懲戒免職にした。 竹原市…

バオバブの記憶

KAVCに見に行った。セネガルを舞台にしたドキュメンタリー。バオバブと共に生きる現地の人々の生活が描かれる。バオバブは、幹も葉も実も、衣食住さまざまな用途に使われ、さらに怪我や病気を治す神秘的な力もあると理解されている(プラシーボ効果が大きい…

サイバーシティ

翻訳の新刊が出ました。 http://www.nttpub.co.jp/search/books/detail/100001990ずいぶん待たされました。

新刊のご案内

長くなりますが、毎日新聞ニュースから引用します。 孤独死 発見遅れ8件、個人情報保護が壁に 東京・檜原村 7月30日15時0分配信 毎日新聞 災害時に備え要援護者情報の共有化を模索している東京都檜原村が、個人情報保護条例の壁に直面している。村では1〜…

沖縄の都市と農村

文部省の科研費による研究をまとめたものだが、研究自体は1990・91年度に行われたものなので(本の出版は95年)、残念ながらややデータとしては古くなってしまっている。けれども、当時の問題が解決されたわけではなく、ある意味ではさらに悪化して…

数学おもちゃ箱

難易度は大学初年度程度か。著者は千葉大学の教授。第一章は整数論、第二章は「結び目」論で、「ライデマイスター移動」「ドウカーの表示法」「タングル」「コンウェイの有限結び目」「ジョーンズ多項式」といった聞きなれない用語が頻出する。連分数表示が…

「歹」(ガツへん、もしくはいちたへん)は、ただでさえおそろしい字の集まりです。「骨」や「咼」の上部と共通し、要するに人骨から出来た象形文字のため、このヘンを含む文字は、「死」とか、「殉」とか、「残」(もともとは、バラバラになった骨が残って…

橋の上の「殺意」

鎌田慧氏による、秋田連続児童殺傷事件のレポート。もちろん主役はあの畠山鈴香である。本書は、極刑を主張する世論に抗する立場から書かれており、「売春婦だった」「子供を虐待していた」といった証言を、根拠のないものとして退けている。確かにあの不幸…

数学でわかる100のこと

数学に関連する、100項目のショート・エッセイ集。多くはネットマガジンに連載されていたものらしい。仲には他愛も無いものもあるが、取り上げられている数学は代数・幾何・確率など幅広い分野にわたっている。

今日のおやつ 野菜屋さんのパフェ。果物は日により異なるが、今日は桃、メロン、オレンジ。野菜のシフォンケーキ二種と枝豆?のアイス、クリーム入り。

廃道をゆく

廃線マニアは知っていたが、廃道マニアもいたとは。いずれにしても、かなりアブナイ道を歩いているのはすごい。落ちそうな橋とか、出られなくなりそうなトンネルとか・・・。群馬・長野の県境である毛無峠を通る県道112号線の「廃線」(公式上には未開通…

社会学入門

稲葉振一郎氏が明治学院大学での授業をまとめたもの。ごく全うに書かれており、例えばヒュームの先駆的役割を強調するなど、教えられるところも多かった(私はヒュームをちゃんと読んでいない)。思想に偏していて、具体的な社会問題や連字符社会学の中身に…

数学最前線をになう挑戦者たち

「数学を切りひらいた人びと」の最終巻で、とりわけ現代に近い10人が取り上げられている。ゲーム理論のナッシュ、ライフゲームのコンウェイ、御存知ホーキング博士などだが、最後のセエア・フラナリーは1982年うまれだからまだ20代。高校時代に暗号…

の取扱い説明書

多作で知られる金沢大学の仲正教授の著作。「哲学・思想」「政治学・政治思想」「経済学・経済思想」「社会学・社会理論」「法学・法哲学」の5章構成で、学生の素朴な疑問に答える形になっている。ちょっとサヨク系への点が辛いように感じるのは気のせいか…

档案の世界

タイトルにある档案というのは、中国の官文書のこと。中央大学の研究チームによる報告書だが、やや毛色の違うものが混じっていてちょっと変。第一章はもっともオーソドックスで「周文王の碑」の解釈の試み。第二章がもっともおもしろく、中山王徐達(朱元璋…

弋・戈・戊・戉・戍・戌

この辺の漢字が紛らわしいので、一度まとめて調べてみました。弋・・・ヨク、くい これを含む漢字としては代、杙、弐、忒、式、拭、弑など。戈・・・カ、ほこ これを含む漢字は多い。戔(浅、桟、銭など)我(蛾など)や義(儀、議など)戊・・・ボ、ほこ、…

中国古典と漢字の精神病理学

これはとても面白い本だ。厳密な科学かと言えばそうではないのだけれど、一つのエッセイとして。 全体は大きく二部に分かれている。前半の第一部は「中国古典の精神病理学」と題され、特に「紅楼夢」の登場人物の精神分析に重点が置かれている(そのほか、李…

イノベーションと政治学

副題にもあるように、いわゆる情報化、IT革命における政治・行政の役割を検証したもので、とりわけ郵政省と通産省の動きを中心に描いている。著者は東大法学部卒業後、ソニーに入社したが、そこから内閣官房IT担当室に出向した経験を持つ。郵政省が80…

今日のおやつ 丸井商店の最中。猫。

検証、鹿児島・奄美の戦後大型公共事業

著者は沖永良部出身で、鹿児島県立短大の教員。志布志湾開発、喜界島、瀬戸内町(奄美大島)などを事例として、大型公共事業がどのような効果・影響をもたらしたのかを検証するもの。細部に時折面白い個所もあるのだが、やや記述が平板で迫力に欠ける。さら…

チェコとスロヴァキアを知るための56章 第2版

チェコおよびスロヴァキアについて、歴史、政治、経済、芸術など細かな56章構成に分けて、24人の執筆者が論じたもの。特に放送制度のところなどが興味深い。チェコの放送も、公共放送と商業放送の二本立てで、前者は「チェスカー・テレヴィゼ」が、後者…

僕が2ちゃんねるを捨てた理由

2ちゃんを謎の会社「モンスターズ・インク」に「譲渡」した西村博之氏の著書(著書といっても語り下ろしだが・・・)。こちらもまた、身も蓋もない発言が多いけれど、前掲書とはやや色合いが違う。「ウェブはバカと暇人のもの」では、やはりテレビが最強の…

ウェブはバカと暇人のもの

なんとも身も蓋もないタイトル。著者はネット上のニュースサイト編集者で、実感からこうしたタイトルになったようだ。確かに著者が挙げている事例、具体的には、ニュースサイトにコメントをつけたり、電話で文句をつけたりしてくる人々は、何かというと揚げ…

巴・色・卩

巴と色とは似ていますが、字源的には無関係で、巴が取手の部分を示す象形文字であるのに対して、色の下部は人間が屈曲した姿を表します。したがって、どちらかと言えば卩(セツ)と近い。つまり、巴には二系統あり、巴や把は取手の方、色や邑は卩と近いので…

なぜセブンでバイトをすると3ヶ月で経営学を語れるのか?

セブンイレブンの経営者である鈴木敏文の発言を、分かりやすく解説したもの。鈴木氏が消費者の心理を熟知していることはよく分かった。経営者としては優秀なのだとう。が、すでに各所で批判されているように、「廃棄ロス」よりも「機会ロス」を重視する考え…

リーマン予想は解決するのか?

ゼータ関数がゼロになる値が、負の偶数以外の場合はすべて、0,5×鄯(虚数単位)+実数という形になるというのがリーマン予想だが、これだけではなんとも難しい。本書は数学者の黒川信重氏に、数学科出身の経済学者である小島寛之氏が質問をする構成の第一…