2017-12-01から1ヶ月間の記事一覧

いかにして民主主義は失われていくのか

新自由主義が民主主義を掘り崩すさまを描き出す。特に第4章で、イラクの戦争と旱魃の乗じ、それまで自立的に行われてきたイラク農業に対して、米国のアグリビジネスが襲い掛かり、結局モンサントの種子がなければ農業を営めなくさせてしまうさまは衝撃的と…

ビッグデータ・リトルデータ・ノーデータ

データの研究への活用が主題で、特に第6章「社会科学におけるデータの学問」は、インターネット研究に多くの紙幅が割かれていて有益である。ただ、有名な「マタイの法則」を「マシューの法則」と訳してはダメだ。

はじめて地理学

タイトル通り、地理学の入門書。主として大学生向けだと思うが、意欲ある高校生にも進められる。ただ、内容は自然地理学に偏していて、人文地理学については手薄。

今度は愛妻家

鬼子母神のそばにスタジオを構える写真家の夫(豊川悦司)は、口うるさい妻(薬師丸ひろ子)に怒られてばかり、時に浮気の虫も騒ぎ出す。とうとう妻は腹に据えかねて、離婚を口にするが、実は妻はすでに一年前に・・・。はっきり言って2時間10分は長く感…

22年目の告白 私が殺人犯です

1995年、阪神大震災の年に起きた残虐な連続殺人事件の犯人が、時効を迎えて自ら名乗り出て、告白本を書き、それを出版社が大々的に売り出す。しかし彼がテレビに出演すると、今度は真犯人を名乗る人間が、動画投稿サイトに、犯人にしか撮れなかったと見られ…

テヘランから来た男 西田厚聰と東芝壊滅

西田厚聰氏の名前は前から知っていた。東大大学院で政治学を学んでいたが、やはり東大大学院で学んでいたイラン人の奥さんとともに学究の道を去り、東芝に人より約10年送れで入社。その類まれな能力と努力でのし上がり、特にパソコン部門で頭角を現す。そ…

母性のディストピア

宇野常寛氏の長編評論。宮崎駿、冨野由悠季、押井守のアニメーションが核だが、現代の日本社会そのものを「母性のディストピア」として厳しく批判する言辞がその前後にあり、特に、情報社会批判としても読める。 右派、左派の両方をバッサリと一刀両断にする…

ロボット

MIT(マサチューセッツ工科大学)出版局が出している、エッセンシャル・ナレッジ・シリーズの一冊で、ロボットについて広範囲に書かれているが、訳者が専門外らしく、あまり訳はよくない。たとえば、222ページでは、「メカニカル・ターク」を「メカニカル…

[book}動員のメディアミックス

大塚英治氏が代表で行われた共同研究「おたく文化と戦時下・戦後」の集大成的な論文集。良くも悪くも雑多な印象を受ける。