2008-01-01から1ヶ月間の記事一覧

ロンドンの見世物Ⅰ

高山宏氏が講演で褒めていたので読んでみた。16世紀ころから19世紀までのロンドンでは、後の博物館や、映画の前触れになるようなものもあれば、まったく何にもならなかったものまで、山っ気のある興行主たちによって、さまざまな出し物が繰り広げらてい…

金では済まない

共同通信ニュースより 殺人時効に4200万賠償(共同通信) 東京都足立区立小学校で78年、教諭石川千佳子さん(当時29)を殺害して遺体を自宅に26年間隠し、殺人罪の時効成立後に自首した元警備員の男(71)に遺族が1億8000万円の損害賠償を求…

租税法

第一人者による著作。ひどく厚いが、中身は緩慢だ。例えば次のような記述がある(185頁)。 もっとも、雇用関係ないしそれに類する関係において支給される金銭または経済的利益がすべて給与所得となるわけではく、出張旅費・赴任費・制服の支給など、職務…

地方財政システム論

地方財政の概説書。著者の一人、諸富氏は「環境税」関係の業績で名高い。

新しい階級社会 新しい階級闘争

マルクスの言う「資本家ー労働者(無産階級)」という2階級論に代えて、現代日本においては5つの階級が成立していると明確に論じている第4章が白眉。具体的には、従業者総数6245万人を、資本家階級(経営者) 335万人 新中間階級(専門職、管理職…

うちの大学でライセンス契約をしている数学ソフトMathematica6をダウンロード。うまく使いこなせればよいのだが。数日前には地図作成用のフリーソフトMandaraもダウンロードした。こちらも使いこなさないと。

くせもの英単語帳

名著「スーパー英単語」(ISBN:4752500566)の著者佐久間治氏が、まぎらわしい単語の覚え方を語った実用書。

京都花街の経営学

京都のお茶屋さんや置屋さんの商売の方法についてわかりやすく解説している。元は経営学の博士論文だそうだが、難しい理論は一つも出てこないし、極めて平易だ。「一見さんお断り」といったしくみのウラには、長期での利益を考える合理性がある、というもの。

社会学入門一歩前

若林幹夫氏による社会学入門書。きわめて平易。

力の論理を超えて

副題にある「ル・モンド・デプロマティーク」とは、フランスの高級紙「ル・モンド」の子会社の出している、外交や国際関係に特化した月刊誌で、その1998−2002年の記事から選んで単行本化したもの。 http://www.diplo.jp/ 執筆者には、サイード、ブル…

戦争の経済学

訳者も解説で述べているように、この本で戦争の経済効果についてすっきりとした結論を出してくれるようなものではなく、むしろ読者に考える材料を豊富なデータとして提供した、ということだろう。テロなどにも使われる、超ローテクな国際資金移動ネットワー…

東インド会社とアジアの海

講談社「興亡の世界史」シリーズの一冊。著者の羽田氏はイスラム史が専門のようだが、本書では幅広い領域に挑戦している。いくらかは知ってはいたことだけれど、ヴァスコ・ダ・ガマなど、大航海を行った探検者は、実態は海賊のようなもので、彼らは異教徒で…

平凡パンチの三島由紀夫

平凡パンチの三島担当編集者であり、プライベートでも親交のあった著者が振り返る「スター」三島。三島といえば文豪の一人だけれど、当時の三島は文豪というよりは、スターだったということが分かる。写真集の出版、映画への主演、自ら作詞して歌ったレコー…

マトリックスの哲学

久しぶりにマトリックス3部作を見返したのでこれも読んでみた。ジジェクなど20数人の哲学者が寄稿しているわりには、映画自体の絢爛さに負けている感じ。

移りゆく「教養」

教養が大事、読書が大事という結論はその通りだが、中身が薄くて失望した。教養自体について考えるならば、阿部謹也、竹内洋、筒井清忠といった人びとの既に定評ある教養論を読めばよい(原宏之さんの教養論は出ないのかな)。著者は、サントリー学芸賞も受…

日式韓流

韓流ドラマを主題とした文化研究が中心だが、「やまとなでしこ」とその韓国版リメイクである「窈窕淑女」の比較なども含まれている。

職務著作制度の基礎理論

著作権は創作者に与えられるのが原則だが、その例外として職務著作制度がある。この制度の意義について、一冊を費やして語り尽している。もっとも、比較法の部分が多いので、素人にはややつらい。

例外状態

アガンベンの本も読まなくてはと手に取った。法が一次停止した「例外状態」が常態化している現状を描く。いや、遠い時代のことではなくて、911テロ後の米国のことです。

日本の地方政治

日本の地方政府は、中央政府の意向を強く受けるため、自立性に乏しいものと思われてきた。確かに、歳入の面で中央依存は強いのだが、歳出面ではそれなりに、自らの政策を打ち出すことができる。本書は、地方政治の特色を、革新自治体隆盛期(60年代から7…

総動員帝国

ニューヨーク大学在職の歴史家が描く、日本の満州侵略のメカニズム。軍部、政府、経済人、知識人といった各主体の動きが生き生きと書かれている。

歯医者さんとお医者さん

こんなニュースを見た。歯科医の5人に1人が、年収300万円以下だそうだ。 http://www.cabrain.net/news/article/newsId/14151.htmlさらにググると、こんなニュースも見つかった。 http://www.j-cast.com/2007/07/22009512.html本当に歯科医が過当競争に…

黄土色に決定

『東日本の地域情報化政策』の表紙は、黄土色に決定しました。やや薄い茶色といった感じです。

東日本の地域情報化政策

全国にわずかに散らばる地域情報化政策マニアのみなさん、やっと出ましたよー ただし、哀しいお知らせがあります。書店の店頭に並ぶのはもう少し先になります。表紙の色が、あまりにも前著の『地域情報化政策の事例研究』に似ているので、北樹出版さんと話し…

サイバースペースと表現の自由

猥褻情報、名誉毀損情報、差別情報の3つにほぼ絞って、ネット上での表現の自由の問題を整理した良識的な本だが、ケイネット事件についてそれなりに詳しく触れられていたのが、私にはありがたかった。

法の現象学

コジェーヴの本で邦訳があるのは3冊だけで、私にとってはこれが3冊目。 法の存立を原理的に解き明かそうとしたもので、引用文献も少なく、(ヘーゲルの訓詁学ではなく)コジェーヴが自分の頭で考えようとした著作と言える。今村仁司氏の訳者あとがきによれ…

著作権法と民法の現代的課題

日本の著作権法の第一人者・半田正夫教授の古稀記念論文集。門外漢にとっては砂を噛むような論文が多く、通読するのに多大の忍耐力を要したが、その中で岡邦俊弁護士の、ときめきメモリアル判決を批判した論文が目を引いた。

googleとの闘い

グーグル・プリント(出版物のデジタル化)やグーグル八分、中国での政治への服従などを題材にグーグルを批判する本だが、残念ながら中身が薄い。1600円のハードカバー単行本だけれど、200円のブックレットにした方がよいのではないか。著者はフラン…

捨てられるホワイトカラー

失業したホワイトカラーたちが、別の職を見つけることがいかに困難か、コラムニストである著者が自ら別人格を作って仮想の職探しを試みることで体験取材する(「捨てられるホワイトカラー」というと、企業内のリストラ話のようだが、そうではなく、その意味…

抵抗の場へ

今年80歳になるマサオ・ミヨシへのインタビュー。ミヨシ氏は日本生まれだが、東大の英文科を出たあとニューヨーク大学で博士号を取得し、米国では日本人として初めて英文学の教授として長年教鞭を取ってきた。私生活では、実子のほかに、白人・黒人1人づ…

ポスト韓流のメディア社会学

私も韓国映画はある程度の本数は見ているが、「冬のソナタ」などは見たことがなく、韓流文化にも関心はなかった。だが本書は、韓流をより広い文脈の中で捉え返す論文が集められており、有益だった。実質200ページで4000円という価格設定はちょっと高…