2015-01-01から1年間の記事一覧

リスク

丸善の「パレット・サイエンス」の一冊。入門書としてはさほど悪くないのかもしれないが、それなりに知識のある人にとっては新味はないと思う。

フューチャー・デザイン

未来の世代のことも考えましょうという論集で、「将来省」の提案なども含むが、正直なところ、大した本と思えない。明らかな毒物は減らす方が良いが、温暖化など人間が適応・移住する方がコストが安いのではなかろうか。

地図の世界史 大図鑑

本書は素晴らしい。歴史上重要な役割を果たした地図を、大判で紹介。怪物が描いてある古代の地図から伊能図や、コレラの発生源を突き止めたスノウの地図、ダイマクションなどまで。見飽きない。

知の不確実性

ウォーラステインの2004年の著作。「思想の自由市場」と訳すべきところを、「アイデアの自由市場」としているのはいただけないな。

2030年のIoT

野村総研のコンサルタントが、業界別にIoTの現状および今後について語る。「これ以上、人と会社からの収入が増えそうにないなら、機械と社会から収入を得る」というのが、IT産業の本音だそうだ(笑)。

分裂と歴史偽造の真相

「新しい歴史教科書をつくる会」は、まあ私の感覚からすると異常者集団であまり興味もなかったが、本書を読んで激しい内ゲバを繰り返していたことを知った。極左集団かよ。小石川中等学校はまだつくる会の歴史教科書を使ってるのだろうか?

生命の星の条件を探る

これは良書。ホーキング博士と同様に難病をかかえた東大教授が、生命が発生する条件について、最新の研究成果を分かりやすく教えてくれる。水は多くても少なくてもダメで、火山が二酸化炭素を放出するためプレートが動いているのが必要というのも面白い。

さよなら、インタフェース

インタフェースなどのが一番のインタフェースという主張を、ユニークなレイアウトで展開する。副題に「脱画面の思考法」とあるように、何でもかんでもスマホやスクリーンに頼りがちなわれわれの生活に反省を迫る。

朝日新聞オピニオン 日本がわかる論点2016

文春のオピニオンに対抗して(?)、朝日新聞の編集委員クラスの記者が、政治、経済、安全、国際といった問題を解説する。安倍政権の政策にはほぼ批判的な立場が取られている。

日本の論点 2016-2017

大前研一氏がプレジデントで連載している「日本のカラクリ」の単行本化。全てが正しいわけではもちろんないが、アベノミクス批判、TPPでも変わらないだろう日本農業、G型L型大学論批判など、大前氏の意見は傾聴に値する。

誰が「橋下徹」をつくったか

橋下徹と、視聴率や話題が欲しいメディアとの共犯関係を暴く。橋下氏はテレビ向きのおいしい言葉を放ち、メディアを操る。現場の記者は、橋下氏の空疎な多弁を文字起こしすることで疲弊し、批判精神を失ってゆく。

郵便をゆく

郵便というシステムの全体像に迫るムックで、情報通信に関心のある人には面白く読める。メディア論の中でも、郵便論は比較的手薄に思われるので、研究するには狙い目かもね。あ、デリダは別として(笑)。

青年と雑誌の黄金時代

「青年雑誌研究会」による共同研究で、「蛍雪時代」「non-no」「現代思想」「ぴあ」「百万人の英語」などが取り上げられている。「ロードショー」って結構あぶない雑誌だったのか。

レトリックと詭弁

詭弁の例をいろいろと知りたい向きにはいいかも。

入門マイナンバーの落とし穴

エコノミスト編集部の編だが、マイナンバーの制度自体がまだ流動的という側面を差し引いても、これはダメ本だろう。まさに表面をなでているだけだし、巻末にはマイナンバー対応9社の見積もり(広告)まで入っている。ただ、福田峰之・内閣府特命担当補佐官…

IoT ビジネスモデル革命

Internet of Thingsの事例紹介が中心。企業人へのインタビューもあります。トロントの「定量化トイレ」(センサ付き公衆トイレ)の話はフィクションか、騙された・・・。

もういちど読む山川哲学

「ことば」(格言、箴言)と「用語」の2部構成。たいていは高校倫理で習う範囲だが、たまに知らない用語も出ている。日本の思想もけっこう手厚い。ちなみに最後は(マイケル・)サンデル。

ネット社会と忘れられる権利

ちょっと期待はずれかな。忘れられる権利が興味深い話題であるのだが、短い論集の寄せ集めであって重厚さにかけ、また、第三部で国ごとに分けて論ずるというやり方は、著者の一人である江島氏も言うように、このテーマにあまりそぐわないのではなかろうか。

幸福の構造

「幸福学」は各所で話題になっており、本書もその一つ。元は有斐閣『書斎の窓』の連載記事だが、東日本大震災のために単行本化は遅れた。海外文献の紹介が多く、ややまとまりにかけるきらいはあるが、活動と幸福、心理と幸福、宗教と幸福など興味深いトピッ…

シリコンアイランド九州の半導体産業

シリコンアイランド九州という言い方は、私の若い頃はよくされたものだが、今の若者には馴染みがないだろう。著者はテクノポリス地域の研究で知られる人だが、本書はタイトル通り、長年にわたって著者が行ってきた九州の半導体産業についてまとめたもの。冒…

地形工学入門

土木・建設・保全工学という立場から、いかに地形を見るかを解説した専門書だが、もとは中央大学での授業用教科書で、さほど難解ではなく読める。ブラタモリでのタモさんの知識に追いつきたい人は是非どうぞ。

悪夢のエレベーター

堀部圭亮氏の監督第一作。 あまり期待しないで見始めたのだが、なかなかの佳作。内野聖陽氏の演技に違和感があったのだが、それが「演技内演技」(登場人物が演技をしている)であることがのちに分かる。エレベーター内に閉じ込められた、4人による悲喜劇。…

天才・勝新太郎

勝新太郎というと、豪放磊落な役者バカという印象が強い。確かにそのような側面もある(例えばカネに糸目をつけずに撮影する)が、本書を読むと、人への気遣いや繊細さも持ち合わせていたことが分かる。黒澤『影武者』の降板騒動についても、どうも黒澤が偏…

文藝春秋2016年の論点

毎年出ているシリーズ。一部変な執筆者もいるが、基本的には粒そろい。特に、論者によって意見の違う論点があるのが良い。例えばアベノミクスの評価について、プラス評価の竹中平蔵氏とマイナス評価の野口悠紀雄氏の違いは熟読に値する。 国立大学改革につい…

物欲なき世界

なんというか期待はずれな本だ。テーマは資本主義経済の未来。著者は編集者だそうで、前半はまだ自分の経験なども出てくるが、後半になるとほとんど、他の本の簡潔な紹介文に終始し、オリジナルな考察は皆無と言っていい。

スマートマシン

AI,ロボット、ドローン、自動運転といった、ITの先端技術の現状についてまとめた書。すぐ記述が古くなりそうだが、現状を短時間で概観するにや有益。

からくり人形の夢

中身が期待したものとやや違ったのだが・・・。中心は自動演奏楽器の話で、第4章になってゴーレムや、リラダン『未来のイヴ』などの話題が出てくる。

山陰駅旅

JR西日本米子支社管内(ほぼ鳥取・島根県の範囲と一致)のJR全駅、および、若桜鉄道や智頭急行の主要駅について、カラー写真入りで解説。三江線や木次線の小さな駅にもきちんとスポットライトが当てられているが、当初は行き違い可能な駅であったり、駅…

福井モデル

なぜ北陸三県は住みやすいのか?本書ではまず、富山市のコンパクト・シティ構想や岩瀬地区でのまちおこし(第二章)を取り上げ、続いて鯖江のオープンシティを(第三章)、そして福井の教育を(最終章)話題とする。 ただこの最終章、どうにも論理がつかみに…

日本の財政はどうなっているのか

著者は日銀や東証理事、杏林大学教授を経て、現在は衆議院調査局に勤務する専門家。日本の財政のありさまが、教科書的にバランスよく記述されていると思う。