2008-09-01から1ヶ月間の記事一覧

社会科学における数学的モデル

1966年に出版された古い本だが、数学者・自然科学者向けなので骨があり、読み進めるのに難渋した。練習問題に解答がついていないのも辛い。

沖縄列島

東大の人類学者、松井健氏の編による論文集。とくに環境問題をテーマに、沖縄文化の重層性を描き出す。

毎日新聞ニュースより <自治体財政>3市村「破綻」扱い 40市町村「警告段階」 9月30日19時56分配信 毎日新聞 総務省は30日、自治体財政健全化法に基づき全都道府県と市区町村計1857団体の07年度決算の財政状況をまとめた。北海道夕張市のほか同…

数量化革命

数量化および視覚化の発展が、西欧文明による世界支配の大きな要因であったのではないかとする歴史書。とくに、14世紀末の機械時計の発明に、大きなポイントを置いている。音楽における楽譜の発達や、簿記会計技術を「視覚化」に含めているのも興味深い。

CONTENT'S FUTURE

小寺信良と津田大介の二人が、さまざまな分野のクリエイターと鼎談する内容。

ゆらぐ脳

30台の若手研究者ながら、2004年に『サイエンス』誌に論文を掲載し、世界のトップレベルの脳科学者として認められた池谷裕二・東大准教授の著作(というより語り下ろし)。自然科学は実験の「再現」が前提だが、脳には再現性がない(「非エルゴード性…

大量監視社会

タイトルから分かるように、監視を告発する監視社会論の一冊。アクセンチュア社の話など、ところどころハッとする指摘もあるが、情報のほとんど全てをウェブに頼っていて、その点でかなりあやうい。

沖縄文化論

私のいる大学院でも、岡本太郎を修士論文のテーマに選ぶ学生が複数いる。再評価の流れと見ていいのだろうか。 本書はもともと、岡本太郎が1959年の暮に行った沖縄取材旅行を基に『中央公論』誌上に発表され、61年に本になった。さらに1966年の久高…

Vol.3

以文社から出ている「政治運動雑誌」Vol.の第3号で、特集は「反資本主義/アート」。確かに今のアートは、全体的にラディカルな部分が消えつつあると思う。アジテーションに満ちた一冊。京都精華大学の学生が、学費値上げに反対して(確かに京都精華大の学…

モダン都市の系譜

大阪市立大学の水内教授とその教え子2人(立命館大学、神戸大学に就職)による、京阪神を中心とした関西の地理を地図や文学作品などから読み解いた著作。大阪市立大学の「大阪の地理学」の講義内容とかなり重複しているそうだ。 あまり期待せずに読み始めた…

拒否できない日本

アメリカの「年次改革要望書」が、日本政府に大きな影響を与えていることに光を当てて話題になった書。遅ればせながら読んだ。著者の経歴はやや変わっていて、慶應の法科を出て14年間銀行員生活を送ったあと、早稲田の建築の大学院に入り直している。冒頭…

へんな数式美術館

ハミルトンのクォータニオン、グレイヴズ&ケイリーのオクトニオンなど、おもしろい数式を集めた本だが、ちょっと解説が物足りない。ゼータ関数の解説を何度も読んだが、どうにも理解しにくい。チャイティンの「Ω=?」というのは、数式なのか?宇宙人と交信…

大衆音楽史

若手の地理学者の手による大衆音楽の概説書。

なぞの子守唄

むかしむかし、僕がまだ幼かったころ、眠れない夜に母方の祖母がよく歌ってくれた歌がある。ずっと忘れていたが、さきごろなぜか思い出した。意味がよく分からないが、祖母はもちろんもう故人だから、訊くわけにもいかない。こんな歌だ。 あのじ あっさいこ…

道路行政

東大出版会の「行政学叢書」の一冊。したたかな道路役人たちの手口など、教えられたことはいくつかあった。だが、全編を通して「素人くささ」を感じるのはなぜだろう。書き方の問題なのか。道路公団の民営化問題についても、たとえば当事者である猪瀬直樹、…

健康診断。最後の胸部X線撮影の現像で待たされ(それまでは思いのほか順調に進んだのだが)、結局一時間くらいかかる。やれやれ。閣僚の顔触れを見ても、麻生内閣には期待できない。小沢民主党の方がいくらかマシか。

朝から晩まで入試業務に追いまくられ、ついに一冊の本も読めず。トホホ・・・ 夜は夜で人間表現学科の学生用推薦図書のリストアップ。114万円分特別な予算が組まれている。学術出版社や芸術系出版社のサイトおよびアマゾンから目ぼしいものを選び、神戸大…

姓の継承と絶滅の数理生態学

「姓」がどのような条件で「絶滅」するのか、数理生態学の手法を使って分析した、ユニークな研究書。このような本が京都大学学術出版会から出るのも面白い。ただ、使われている数学が高度な割りには、導き出される結果が、直感的に人々が考えている域をあま…

ブラック・プロパガンダ

あからさまに行われるホワイト・プロパガンダに対して、正体を隠した形で行われるのがブラック・プロパガンダ。メディア史研究者の大家である著者は、アメリカ国立公文書館で公開され始めた、大戦中のブラック・プロパガンダに関する資料を使い(それでも、…

トカラ列島

本当はトカラは漢字だが、カの字(口ヘンに葛)が出ない。トカラは離島の中でも本当の秘境で、港が整備されていない島もある。船は週に2便、鹿児島から奄美へという形で順々に島を渡ってゆくが、欠航や遅延は日常茶飯事。温泉は出るけれど、なにか観光施設…

プラチナタウン

友人の喜多克尚に薦められて読んだ。楡周平の、まちおこしをテーマとした小説。やや楽観的であるし、絵空事的な部分もあるけれど、以前読んだ『バカをあやつれ』などに比べれば遥かにリアルに、上手に描かれている。

中日新聞ニュースより 新たに「刹」「椎」「賭」「遡」 常用漢字に4字追加案 2008年9月22日 夕刊 社会生活でよく使われる漢字の目安「常用漢字表」の改定作業を進めている文化審議会の漢字小委員会は22日、188字を新規追加し、現行の常用漢字から5字…

ルポ 正社員の若者たち

若者のワーキングプアは最近よく話題になるが、たとえ正社員になっても、安月給と過酷な長時間労働が待っている。本書はそうした若者たちに取材し、彼らの苦境を伝えた本。特に「やりがいのある」福祉関係の職場で、そのやりがいにつけこむような形で、低賃…

ひたすらショウジョウバエ

姫路市郊外の日本玩具博物館へ妻と出かけ、「ジンバブエの親指ピアノ ムビラの音色」を聴いてくる。パフォーマーは日本人のグループだが、歌詞が現地のことばなので歌っている意味が分からない。「ひたすらショウジョウバエ」と聞こえる部分は、いったい何と…

ジャーナリズム崩壊

フリージャナリストの上杉隆氏の著。批判されても改まらない記者クラブの件など、日本のジャーナリズムにおける排他性、横並び性、権威主義的性格といった病巣が、著者の体験をもとにこれでもかと暴かれる。日本の政治記者は、取材対象が出世すると自分も社…

地図もウソをつく

マーク・モンモニアの『地図は嘘つきである』(ISBN:4794962185)とよく似たタイトル。特に第2章「ウソツキな地図」では、戦時における撹乱などのために、地図にわざと不正確な情報を書き込んだ例が紹介されているが、他の章は地図・地理関係のトリビア集とい…

統計学の思想と方法

北大出身の統計学者たちが中心となった「統計と社会経済分析」(全4巻)の第2巻で、10編の論文から構成されている。私が興味深く読んだのは、バリー・ヒンデスの統計論と、蜷川虎三(元・京都府知事として知られているが、元は統計学者)の所論を比較し…

奄美の多層圏域と離島政策

鹿児島大学の研究グループがまとめた著作。中でも、発表時に激しい議論を巻き起こしたという第7章「市町村合併と群島内の経済モデル」(萩野誠氏が執筆している)が面白い。奄美群島の各市町村ごとの経済シミュレーションだが、与論町の生産高が2020年…

CIOの新しい役割

CIOというのはChief Information Officer(最高情報責任者)のこと。企業や役所において、情報化投資等に責任を持つ人。CIOがどのような能力を持っているべきなのかを研究する「国際CIO学会」なるものまであるそうだ。 本書は、そうした「CIO学」…

江戸の切口

高山宏氏の、江戸文化を話題にした対談集。服部幸雄、高橋克彦、田中優子、荒俣宏といった面々が相手。