2014-12-01から1ヶ月間の記事一覧

言語天文台から見た世界の情報格差

言語天文台とは聞きなれない概念だが、長岡技術科学大学に勤務する著者たちが行っている、インターネット上の言語活動を観測する研究プロジェクトで、特に、少数言語の問題など、言語間の格差に焦点を当てている。それだけでも興味深いのだが、本書は言語だ…

現代日本の「社会の心」

社会調査でいったい何が分かるのか、著者は自らの立場を「計量社会意識論」と名づけ、見田宗介や宮島喬などの研究の流れの後に位置づけ、SSM調査などを丁寧に読み解いてゆく。著者が見出したものは明確で、高度成長期に「中流意識」が蔓延したのは、自らの相…

右傾化する民意と情報操作

著者は元・毎日新聞記者で花園大学文学部教授。憲法の「他殺」とマスメディアの「自殺」(第五章タイトル)といった表現で、メディアによる権力へのすりよりや癒着を厳しく断罪する。批判的なメディア・リテラシーの涵養に好適。

ソーシャルマシン

モノがインターネットに接続するIoT(Internet of Things)がテーマの本だが、正直あまり面白くはなかった。

経済政策で人は死ぬか?

米国の大恐慌の際に死亡率が減ったのはいったい何故なのか?という興味深い謎の謎解きから説き始め、アイスランドやギリシアの事例から、不況の際に緊縮財政をとって医療や福祉の削減を行うと、まさに死亡する人が増えてしまうことを数値で実証する。また、1…

週刊ダイヤモンド 2014年9月20日号 特集「JR・鉄道」

JR各社の経営方針の違いや、厳しいローカル線経営、LRTからリニアまで、鉄道ファンなら楽しめる記事が多く組まれている。ほとんどなくなった食堂車も、各地の観光列車で復活しているのだね。

クーリエ・ジャポン 2015年1月号

「知的デジタルライフ」を謳った特集や、巻頭で長く取り上げられている「日本のサービスのすごさ」を称えた文章よりも、米国人記者ジェームズ・フォーリー氏がイスラム国で惨殺されるまでが記された記事が最も心に残った。イスラム国って、何なんだろうな?…

映画とは何か

大上段に構えたタイトルだが、中身は(副題にあるとおり)フランス映画思想史で、ジャン・パンルヴェ、アンドレ・バザン、ロベール・ブレッソン、ジル・ドゥルーズの映画論を一章づつていねいに紹介する。パンルヴェの名前はあまり知られていないが、数学者…

次の本へ

神戸に今年新しくできた出版社、苦楽堂から出た最初の本。八十数人による、若者向けのブックガイドで、「次に読む本」「続けて読む本」を紹介するといった形に、おおむねなっている。が、文章としては玉石混交。加護野教授が、岡山県の会社「林原」の倒産劇…

韓国のホンネ

在特会などを取材しているジャーナリストの安田浩一氏と、在日3世に生まれた朴順梨氏の共著。良く言えば臨場感のある、悪く言えば行き当たりばったり的な取材で生まれた本。例えば、竹島に行こうとして韓国から鬱陵島に渡り、結局竹島に行けないとか・・・…

京都 千年の都の歴史

平安京から始まり、近代までの京都の歴史を概説する啓蒙的な新書だが、知らなかったことを多数教えてもらった。平安京は完成していなかった(左京の東南部や右京の北西端、南西端はまったく市街地化されていない)ことをはじめ、平城上皇による奈良遷都で、…

知識ゼロからの経済指標

景気や金融に関する経済指標を分かりやすく解説する。

世襲だらけの政治家マップ

日本にどれほど世襲政治家が多いか、具体的に詳述する。データだけならウィキペディアに出ていることも多いけれど、まとまって読むには便利。鳩山家って勝山藩の貧乏武士だったんだな。

反逆の神話

「反体制」はそれ自体が商品となり、また、さまざまな内部矛盾を含んでいることを指摘するものだが、書きぶりが皮肉っぽく、嫌う人もいるだろうな。

サウスパーク 無修正映画版

米国のちょっとブラックでお馬鹿なアニメーション。主人公は子どもたちだが、R-15指定となっている。子どもたちは下品な言葉を繰り返し、それを子どもたちに教えたカナダのタレントを母親たちが拉致、アメリカとカナダの戦争に発展する。地獄の赤鬼の愛人は…

文化を実験する

フロンティア実験社会科学シリーズの一冊だが、期待が大きかったせいか、正直失望した。何とも中途半端。これを読むなら、山岸俊男氏の単著を読んだ方がよいと思う。

この映画を観れば世界がわかる

「東京フィルメックス」のスタッフが、小学館のSAPIO誌に連載した記事を集成したもの。日・アジア・欧州・米州のさまざまな映画を紹介する。映画の世界は多数の作り手がいて奥が深いことを実感する。

週刊東洋経済 2014/10/25日号 「鉄道異変あり!」

特集の「鉄道異変あり!」を読んだ。面白かったのは「売れば売るほど赤字膨らむ中国のジレンマ」。中国は安値を武器にして外国に拘束鉄道を売り込んでいるが、とにかく受注するためにダンピングを行い(国有企業だから可能)、また、「中国北車」「中国南車…

敗者の身ぶり

立教大学教授(映画論)の中村秀之氏の著作。中村さんには、氏がまだ桃山学院にお勤めの時に、確か一度だけお会いしたことがある。大変な学識の方だった。本書は、副題に「ポスト占領期の日本映画」とあるように、その時期の日本映画、具体的には黒澤明の『…

大前研一 日本の論点2015−16

大前研一氏が「プレジデント」誌で連載している「日本のカラクリ」をまとめたもの。氏自身が語るように、日本の最大の問題を財政赤字問題としているが、それについての記述はほぼプロローグのみで、また鍵が道州制にある、というのは納得できない。むしろ、…

ディープな政治・経済

東大の入試問題を解説するシリーズの一冊と言ってよいと思うが、「政治・経済」が東大入試の選択科目からなくなって既に久しい。本書は、一橋や早稲田、明治、中央などの入試問題を解説する。第一部が政治で、第二部が経済。「日本史」「世界史」と比べると…

マッチスティック・マン

リドリー・スコット監督、ニコラス・ケイジ主演の詐欺コメディ。「騙したつもりが騙されて・・」とまで書いていいかしら。

代数と数論の基礎

「初等整数論」「群」「環と体」の3部構成に、「基礎事項のまとめ」を付す、標準的な代数論の教科書。

世界教育戦争

著者は米国のジャーナリスト。米国でPISA(学習到達度調査)の結果がなぜ芳しくないのかという問題意識を持ち、フィンランド、韓国、ポーランドに留学した高校生たちに、詳しくこの3国の高校教育について取材、どこが米国と違いがあるのかを探った。フィン…

書物の夢、印刷の旅

活版印刷術の発明からほどなく、出版業の中心は地中海貿易で栄えていた都市ヴェネツィアに移る。現在の出版業ほどの規模ではないにしろ、そこにはベストセラーを夢見て出版を企画する者たちがいた。中には貴重な写本を印刷のために借り出しておいて、そこに…

最貧困女子

タイトル通りなのだが、なんともうんざりした気持ちになってしまう。もっとも困っている女性に共通しているのは、もちろん収入の低さもあるのだが、友達と仲良くやっていける人が何とかなっているのに対して、家族との縁を切り、家族には頼りたくはなく、そ…

理不尽な進化

進化論がテーマなのだが、むしろ、われわれがいかに進化論を受け取るかを問題にしている。ダーウィンの唱えた本来の進化論と、われわれが想定する進化論との間に懸隔があることは何となく気づいてはいたが、それを明確に示し、また、分かりにくいドーキンス…

ビッグデータの罠

ビッグデータのもたらす監視社会を批判し、プライバシー意識の高揚を説く。ウェブページではなくインターネットに接続されている機器を検索する検索エンジンSHODAN(http://shodanhq.com/)は確かに気持ち悪いし、ロンドンで問題となった、wi-fiがビーコンを発…

ニッポンの謎87

日本地理に関するトリビア集。明治村が全国に25箇所もあったという話や、佐渡の金鉱の坑道が400キロ以上ある、だが菱刈鉱山の金の埋蔵量が佐渡よりはるかに多いという事実など、いろいろと面白い。

STAP細胞に群がった悪いヤツら

やや過剰な表現に傾きがちな点はあるけれど、それでもSTAP細胞問題や理研問題に関心のある人には必読書と言っていいのではないだろうか。悪いのは小保方氏や笹井氏だけではない。報道で名前が出ることは少ないが、元はセルシード取締役の岡野光雄氏や、その…