2006-03-01から1ヶ月間の記事一覧

ネットワーク・ダイナミクス

勁草書房が新しく出した、数理社会学シリーズの第3巻。第2章「ネットワークにおける情報伝播と自己卑下的自己提示」(なぜ日本人は卑下した自己像を提示するのかを、長期にわたる利益という点から解明)と、第6章の「社会関係資本と勢力」(夫婦の意思決…

『イメージ・ファクトリー』

日本映画の評論家、映画作者として知られているリチー氏の日本文化論。だが、日本人にはつまらない。まあ知日派のある欧米人が、ファッション、マンガ、ケータイ、コスプレなどの現代日本文化をどう見ているのかを知るためには役に立つが、まあ総じてこんな…

『死ぬ自由という名の救い:ネット心中と精神科医』

ネット心中本と言えば渋井哲也氏のものがよく知られているが、そこに参入した一冊。自殺志願者を食い物にして金儲けをしている精神科医を批判し、「ココロ系からカラダ系」、簡単に言えば、体を鍛えて体で気持ちいいことしよう、と提案する。この処方箋は基…

ICタグのすべて

タイトル通り、ICタグの概説書。例えばミューチップを入れた紙「ミューペーパー」を作れば、チケット等の偽造を防げる。自転車にICタグを付ければ、駐輪場での管理が容易になる。図書館の蔵書にICタグをつければ、盗難などを防げる。技術は進んでいる…

『電子自治体の○と×』技報堂出版

珍しい出版社だなあ。月刊e-Gov の編集長による、電子自治体についての取材記録。章題はだいたいダジャレで、対談も多く、中身はやわらかめ。

『生き残るフランス映画』希林館

例えば「テレビ産業が映画産業を支えている」「僅か数万円の授業料で入学できる国立映画学校がある」「一ヵ月2100円で映画見放題のパスがある」「地方の映画館不在都市解消のため、無償でプリントが貸与されている」といった、フランスの映画産業を支え…

メール問題については、マスコミもかなり悪い。あんなどうでもいい問題を「これを解決しなければ政治に信頼を取り戻せない」などとあおり、本当に重要な問題(例えば、年金問題、財政赤字問題、耐震偽装問題、牛肉の安全性、など)から目をそらさせている。そ…

卒業式

卒業式でした。卒業生のみなさん、幸多かれと祈ります。

]book]『シャノン・ノイマン・デジタル世界』

広島大学の名誉教授が書いた情報科学の教科書なのだが、ところどころで政治批判や政権への揶揄が入っていたり、ちょっと変な本だ。それに「ユビキタス」を「偏在」と書いているし(それでは意味が逆です)。

技術経営

ムーアの法則というのがある。半導体の情報集積度は指数関数的に増大してゆくという経験則だ。本書は、デジタルカメラ、家庭用テレビゲーム、電気通信産業、マスメディア、記録メディアを対象とするケーススタディだが、山田氏は、現代の情報産業の盛衰の根…

『グローバル・スタンダードと国家戦略』

坂村健氏の新作。タイトル通り国際標準と作家戦略がテーマだが、国家戦略論はむしろ凡庸というかあまり面白みはなく、坂村氏の専門のITに関する細かな知識(たとえばICタグ、ユビキタスなど)の方がずっと役に立つ。「機能の一部もしくは大部分をネット…

『現代思想』2006年3月号 特集「メディアは誰のものか」 NHK問題など、現在のメディアの抱える問題に焦点を当てた論文・談話・対話が16本という構成。中身は多様で、海外における制度の紹介などもある。9・11選挙での小泉自民党大勝の要因につ…

Winnyの罪と罰

最近、ウイニーに寄生するウィルスによる情報流出事件が、盛んに騒がれている。自分に関する「知られたくない情報」が流出するのは、確かにあまり気持ちのいいものではないだろう。 金子勇氏の「ウイニーの技術」は読んだ。残念ながら、完全には理解できなか…

オリジナル・パラダイス

映画と原作との比較を行ったエッセイ集。著者は劇団ショーマを主宰する劇作家。とりあげている作品はいいのだが、ひとつひとつの論が短すぎて物足りなく、残念だ。

高校へ出張授業

朝早く起きてJRに乗り一路和歌山へ。宮前駅で降り、桐蔭高校へ向かう。高校への出張授業なのだ。一人寝ている生徒がいたが、さすが進学校、どの生徒もまじめに聞いてくれた(と思うが、内面まではもちろん分からない)。しかし、高校生の机の小ささはかわ…

日本発映画ゼロ世代

フィルムアート社の津田さんからいただきました。ありがとうございます。行定勲などの新世代日本人映画監督を、作家別、そして、テーマ別に論じた論集。

尾道市

地域情報化政策の取材で尾道市へ。 尾道は瀬戸内のほぼ中心に位置する港町で、広島県では広島市についで2番目に市政施行した。現在は福山、呉、東広島より人口は少なく、県下5番手程度の都市である。昭和61年に旧通産省のニューメディア・コミュニティの…

後期入試終わる

ああ、終わった終わった。入試業務、盛りだくさんでした(詳細は書かない)。へとへと。 この後しばらくのんびりできるかと思いきや、金曜に行かなくてはならないのだな、某高校への出張授業。遠いし、手当ても出ないし(涙)。まあ仕方がない。

1985年

1985年と言えば、私の専門である情報化にとっても非常に重要な年である。オーウェルの予言の書『1984年』の「翌年」であり、NTT民営化、情報社会論の流行、地域情報化構想の高まりなど、トピックには事欠かない。だが、個人の記憶としては、この…

加山又造展

art

神戸大丸で加山又造展を鑑賞。日本画もいいものはあるよねえ。

パラサイト・ミドルの衝撃

パラサイトという言葉は、社会学者の山田昌弘・東京学芸大学教授が、いつまでたっても親の家で寄生的に暮らしている若者を「パラサイト・シングル」と呼んで人口に膾炙した言葉だが、本書ではパラサイトを、むしろ会社に寄生する中高年男性の意味で使ってい…

『デジタルメディア時代の「方法序説」』

昨年末、同じ著者の本に感銘を受けたことはすでに記したが、この新著もよかった。きわめて分かりやすく、かつ、水準を下げていない。船木氏は優れた哲学者であるだけでなく、一級の教育者である。中身はタイトル通り、デジタルメディアの普及した時代におけ…

美はなぜ乱調にあるのか

大澤社会学の応用編の一冊。特に、クレーリーなどを手がかりとした、視覚と近代に関する論考が力作。その他、映画、音楽、スポーツなど、話題は幅広く飛ぶ。最後の、「イチローの三振する技術」というのは、野球を知らない私にも面白かったが、イチロー自身…

ブルックスの知能ロボット論

SA理論で人工知能研究に新たな画期をもたらした、MITのブルックス教授の啓蒙書。哲学批判(サール、ドレイファスなど)の箇所はやや物足りないものの、実際に機械を作ってきた人の持つ言葉の重みが感じられる。

久しぶりに三宮で献血しました。もちろん400cc。錯覚でしょうが、少し体が軽くなった気がします。もっと取ってくれたらいいのに(死なない程度に)。

巨額脱税事件

<相続税脱税>創業者の遺産50億円隠した元社長逮捕 大阪 大阪地検特捜部は3日、タクシー会社「トモエタクシー」(大阪府守口市)を創業した父親の遺産のうち約50億円分を隠し、相続税約24億円を免れたとして同府寝屋川市国守町、長男の同社元社長、…

辞書の政治学

著者・安田敏朗氏は、まだ30代であるのに多数の単著があり、言語・言語学の政治性を鋭くえぐる学者として注目されている。私も敬意を払っている。 本書は辞書の持つ政治性について多面的に論じた本だが、残念ながらやや食い足りないし、これで2800円は…