2008-05-01から1ヶ月間の記事一覧

語学はやり直せる

ロシア語およびスラヴ諸語を専門とする黒田龍之助氏が、語学を上達する秘訣を明らかにする。といっても、魔法のようなことが書いてあるわけではなく、ごく全うな提案だ。「辞書は語学の王道」「DVDは語学の味方」(最近の映画のDVDには、日本語・英語のみな…

電子的個人データ保護の方法

まだ若手の研究者による博士論文を本にしたもの。個人データの流出問題に対して、パブリシティ権や著作権契約で用いられるような形のライセンスを用いて消費者と業者が契約関係を結び、それを実効化するためにコンテンツのカプセル化技術を使うことを提案す…

友だち地獄

子供たちは「個性化を煽られている」というのが、前著に引き続いた著者・土井氏の問題意識だ。教師は教師らしさを失い、役割よりも「裸の人間関係」が奨励される中で子供たちは、今所属している小さな集団内での関係にとにかく気を遣わざるを得ず、必死で「…

永続革命論

トロツキーの書。私は「光文社古典新訳シリーズ」は好きだが、この本はむしろ論争の書で、トロツキーが他の論者を論破する部分が大半なので、ソ連社会主義前史に相当通じていないと楽しめない。

国立国際美術館へ

大学での業務・会議終了後、久しぶりに大阪に出、金曜は午後7時までやっている国立国際美術館で「液晶絵画」展を楽しむ。その後は堂島で沖縄料理を食べたが、はっきり言ってハズレの店で、味付けがまずい上に量も少なく、不満の残る夕食だった。

プライバシーがなくなる日

日弁連の編集した、住基ネット反対のための書。既に5年前の本なので多少古くなっているところもあるが、資料としてはまだ役に立つ(500ページを超える本だが、後半は条文などの資料編だ)。住基ネットの業者に正面から取材を申し込んで、警戒され、あっ…

日本『島旅』紀行

タイトル通り、さまざまな島への旅行記だが、屋久島や奄美といったメジャーな島だけではなく、寒風沢島、櫃島、蓋井島など相当マイナーな島も含まれていておもしろい。カッパドキアのような縦長のカルストの見られる神島(鳥羽市)や、まるでエーゲ海のよう…

常用漢字のための頻度調査の偏り

今日は妻がチキン南蛮を作ってくれた。おいしい。それはともかく。朝日新聞のサイトを見ていたら、次のような記事を見つけた。執筆者は朝日新聞東京校閲センターの福田亮氏。 今回も新しい常用漢字表の話です。26日に文化審議会の国語分科会漢字小委員会が…

CEOvs.取締役会

CEOが強大な権力を握っていたはずの米国企業で、取締役会によるCEOの解任が相次いだ。ヒューレット・パッカードのカーリー・フィオリナ、AIGのハンク・グリーンバーグ、ボーイングのハリー・ストーンサイファの事例を解説する。それにしても、米国…

テレビ的教養

佐藤卓己氏の新作。テレビと教育との関わりを歴史的に振り返る。あとがきによれば著者は、『日本の教育』『放送教育』『視聴覚教育』の全巻に目を通したとのこと。大変な労力だ。「放送教育」派と「映画教育」派の対立とか、VTRにの家庭での利用が普及す…

時計じかけのハリウッド映画

著者二人は米国の大学で、映画脚本を学んだ経験を持つ。教官もみなプロの脚本家だそうで、やはり米国の大学の映画教育は実際的・実用的だと実感。中身は、ハリウッド作品がいかにセオリーに基づいているか実例を元に説明するもの。

お金の使い方が間違っている

「日刊スポーツ」より 33歳派遣社員容疑者、タクシー通勤月12万 東京都江東区潮見のマンションで会社員東城瑠理香さん(23)が行方不明になった事件で、住居侵入容疑で逮捕された派遣社員星島貴徳容疑者(33)が、タクシーで通勤し、毎回チップを払う「…

金融権力

「池田信夫blog」では酷評されていたが、全体としてはそれほど悪い本ではない。定価780円分くらいの価値はあると思う。第一章のサブプライム問題の分析や、第二章、第三章で扱われている、リスクを取引する金融資本のあり方や、格付機関が有してしまって…

自由に生きるとはどういうことか

うーん。戦後の社会における想像力のあり方を、「あしたのジョー」や「尾崎豊」「エヴァ」などを題材にして論じてゆくもので、自由論とすれば羊頭狗肉。副題の「戦後日本社会論」の方が、まだしも中身に即している。題材の選び方は全く著者が恣意的に(それ…

琉球弧の喚起力と南島論

1988年12月に、吉本隆明を那覇に招いて行われたシンポジウムの内容(第一部が吉本の講演、第二部がパネルディスカッション)および、その後に書かれたパネラーの論集からなる。吉本の持論は、重層映像化する都市と、基層映像化する南島という対比が軸…

完全なる飼育:赤い殺意

若松孝二監督の作品なので見てみたが、これはひどい。滅茶苦茶なストーリー。もし映画館で見ていたら、金返せと叫んでいたかもしれない。監禁者を佐野史郎が熱演しているけれど、彼がどんな人間なのか、全く分からない(分かるのは、職が運転手であることと…

マイノリティ・リポート

これも見過ごしていたもの。細部は「突っ込みどころ満載」だが、突っ込まないで楽しむのが正道なんだろうな。もっとも原作者ディックの想像力の豊饒さには脱帽だ。マイノリティ・リポート [DVD]出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメン…

ナイロビの蜂

見過ごしていた。陰謀によって妻を殺された、アフリカ駐在のイギリス外交官が、真相を探ってゆく。「陰謀の内容」に意外さは少ないが、結末の陰惨さは意外。ナイロビの蜂 [DVD]出版社/メーカー: 日活発売日: 2006/11/10メディア: DVD クリック: 85回この商品…

肖像と個性

立教大学人文叢書の1冊。国内論文5本に翻訳論文3本。肖像といっても、文学上のものも含んでおり、雑多な印象。

なぜ偉人たちは教科書から消えたのか:肖像画が語る通説破りの日本史

これは学術書ではなく一般書。第一章の「本人じゃない?人違いされたままの肖像画」において、前出の源頼朝像、伝足利尊氏像をはじめ、聖徳太子像、後白河上皇像、武田信玄像、西郷隆盛像の信憑性が問いなおされている歴史学の現在を、普通の人や子供たちに…

肖像画を読む

上記の米倉迪夫氏の「伝源頼朝像再論」(批判などに答えたもの)も収録されている論文集。1996年に東大史料編纂所主催のシンポジウム「肖像画と歴史学」が基になっているそうだ(どうせなら、批判の対象となっている宮島新一氏も呼ぶべきではなかったの…

源頼朝像 沈黙の肖像画

源頼朝像として人々に広く知られ、使われてきた画像が、実は頼朝ではなかったのではないかという大胆な仮説を提起した、米倉迪夫氏の著作。頼朝とされてきた唯一の根拠である『神護寺略記』の妥当性を疑い、技法や衣装、さらに「顔表現イディオム」(時代に…

日本の肖像画

松平定信編『集古十種』の中の肖像画205点を再録したもの。貴族、皇族、僧侶、武士など。

肖像画の視線

両者とも、宮島新一氏の著作で、前者は主として平安・鎌倉以前、後者は主としてそれ以後の時代を扱っている。日本で最古とされるのは聖徳太子像。宮島氏は、特に「肖像はその本人と似ているとは限らない」とする立場。「源頼朝像」「伝足利尊氏像」にしても…

肖像画

肖像の起源

1975年に出た本。外山卯三郎著、造形美術協会。古代文明における肖像について、主として西洋の学者の学説に拠りながら概説するもの。

肖像画をめぐって 1

肖像画に興味を感じ、いくつかまとめて読んでみたが、特に「源頼朝像」や、「伝足利尊氏像」については、たいへんな論争になっているようだ。

ピタゴラスの定理

数百種類の証明法が発見されているピタゴラスの定理(三平方の手定理)。その歴史を解説する。古代メソポタミア文明のバビロニア人が、石版に、直角三角形の辺の実例を刻んでいたのには驚く。中国でも、漢もしくはそれ以前の王朝の時代に書かれた『周牌算経…

知的財産法(第四版)

北大の田村教授による、知的財産法の基本書。どうも特許法に重点が置かれていて、著作権法に関する記述が少ないのが不満。著作権法についてはこれだけでは足りないだろう。

ありがたい

私の本、特に地域情報化関係の本は、売れ行きがまったく悪いのだけれど・・・http://ameblo.jp/languid-graduatestudent/entry-10094441560.htmlこんな風に院生の人が読んで、参考にしてくれると、ムリしてでも出版してよかったと思う。ありがたい。