2015-07-01から1ヶ月間の記事一覧

国勢調査 日本社会の百年

一橋大学の佐藤正広教授の著作。国勢調査がいかに実施されてきたのかの社会史。特に終戦直後の国勢調査において、女子の出生力の調査や、さらには米国による原爆調査まで便乗して行われていたことには注目。

映画はやめる

フランスの映画監督、パトリス・ルコントへのインタビュー。成功も失敗も赤裸々に語っていて興味深い。「橋の上の娘」のナイフ投げのシーンがすべてトリック撮影とは気づかなかった。

恋する文化人類学者

著者は文化人類学者だが、コートジボアールに通ううちにダンサー・歌手の少女と恋に落ち、その恋を実らせて結婚することとなる。彼女の種族の結婚は一大事で、結婚式だけで8日間、さらに婚資の支払いや、大勢の親族との付き合いなど、日本人からすると驚く…

多角形百科

数学の話題が中心なのだがそれだけではなく、国旗や家紋のデザイン、花や化学物質の形態、ゲームや建築まで幅広く多角形の話題を拾っている。同僚の小高先生も執筆している。やっぱり面白いのはダイセクション(裁ち合わせ)の話かな。図形をいくつかの断片…

一流の研究者に求められる資質

著者は半導体結晶の研究者で、アメリカで研究生活を送ったのち、今は日本に帰国して教授をしている。寺田寅彦などを援用しつつ、研究者に必要な能力について語るのだが、結局「感性」が大事なのか。まあ、運をつかむために日頃の研鑽が必要というのは、私も…

大学と科学の岐路

日本の大学の抱える苦境について、分かりやすくよくまとまって書かれている。著者は、名古屋大学教授(宇宙物理学)を長く務めたのち、総合研究大学院大学で学長補佐や理事となった。「ただでさえ安上がり教育を強いてきたにもかかわらず、なおも高等教育「…

『堕靡泥の星』の遺書

すごい本を読んでしまった。劇画家・佐藤まさあき氏(故人)が、女性関係を赤裸々に、個人名および写真入りで明かしたもの。随分多くの女性をキズモノにし、不幸にしたようなので後味はよろしくない。

地域に希望あり

増田寛也氏などが唱える「地方消滅論」への反論的な色彩の強い一冊。地域の産業振興や活性化の成功事例を、個人名も含めて紹介する。住民同士の立場の違いや葛藤なども書かれている。

統計学入門

日本の社会学界の重鎮、盛山和夫先生が放送大学の教材として書かれたものだが、ちくま文庫から復刊となった。今年の関学「プライバシーの社会学」の試験では、盛山教授が主任試験監督だったので少なからず驚いた。

高齢者へのICT支援学

シニアネットや地域見守りネットワーク、介護をテーマとした電子掲示板などを対象に、ICTによって高齢者とかかわるあり方をさぐる。白百合女子大に提出された博士論文。

コード・アンノウン

ミヒャエル・ハネケ監督作品。ハネケの作品にしては、画面からシャープさがやや失われているように感じるが、緊張感は保たれている。パリの女優を主人公に、それを取巻く人々や事件を、差別問題を絡めながら描いているが、群像劇であるのに、結局最後まで話…

数学 理性の音楽

もとは放送大学教材「自然と社会を貫く数学」。自然や社会の中にある数学を語る。特に、振動方程式や拡散方程式、波動方程式の話などが興味深い。

鈴木さんにも分かるネットの未来

ドワンゴの川上さんが、ジブリの鈴木敏夫さんに向けて書いた、インターネットの解説書。情報の無料化や、インターネットによる「脱国家」を、イデオロギーとして切って捨てているのが特徴。電子書籍の普及が進むとも語っているが、私にはやや疑問。

天才児のための論理思考入門

三浦俊彦氏(東大教授就任おめでとうございます)が、子供が持つであろう疑問(例えば、「どうして1+1は2なの?」)に、哲学的に真正面から答える。

21世紀地球寒冷化と国際変動予測

IPCCによる「地球温暖化二酸化炭素主因説」の信者には、是非とも読んでもらいたい。本書においては、二酸化炭素は温暖化によって増える部分が大きく(因果が逆)、また、今後の地球は寒冷化する可能性が高いとしている。もちろん、本書の主張が100パ…

わが文学の師 杉山参緑

杉山参緑と言っても知る人はほとんどいないだろう。参緑は夢野久作の末息子で、生涯ほぼ定職には就かず、詩だけを書いて暮らした。福岡在住で、天神の喫茶店に行っては、コクヨの原稿用紙に詩を書くのが日課だった。本書は、その弟子を自認する著者が参緑と…

地方自治の最前線

日本地方自治研究学会の創立25周年記念論文集。行政、財政、会計の3部構成。神戸北野の町に関する論考や、地域情報化に関する論考も含まれている。

英語の害毒

英語ばかりに捉われている、日本の教育ならびに日本社会をさまざまな観点から批判。英語自体の地盤沈下の可能性があること(英米の没落)、機械翻訳による語学学習の無意味化、英語内における英米ネイティブの地位低下(アジア系の人の英語の方が分かりやす…

戦後経済史

野口悠紀雄氏による、戦後経済の通史だけれども、野口氏の個人的な生い立ちや経験がはさまれていて、臨場感を添えている。また、「労働価値説」(という言葉は出てこないが)的に、働く人が偉いという考えを野口氏が持っていることもよくわかる。しかしそう…

復活!ゆうばり映画祭

先日紹介した本とも一部内容が重なるが、本書は特に復活後の「夕張ファンタ」について、キーパーソンに焦点を当てながら紹介するもの。

自然のしくみが分かる地理学入門

自然地理学の教科書。なぜ危ない土地と危なくない土地があるのか、なぜ鉱産資源が偏って分布するのかなどの問いに答える。親しかった同僚が、雲仙の噴火で亡くなってしまった話には同情を禁じ得ない。

社会科学における数と量

統計学会の重鎮である竹内啓氏の論集で、2013年に新稿を加えて再刊された。竹内氏はまさに「最後の教養人」の一人かもしれないなあ。

ゆうばり映画祭物語

「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」は、地方映画祭としては成功例の一つだが、それがどのような経緯で始まり、どんな苦労をし、そして終了したのか、詳しく述べる。閉山後に観光の投資した中田市長(当時)は、近年は批判されることが多いけれど、で…

仕事と家族

社会学者・筒井淳也氏の著作。なぜ日本で少子化が進展したのか、家族間の格差をどう考えるべきかといった問題を、豊富なデータから慎重な手つきで解明してゆく。やはりこの種の問題には、社会学が一番適しているように思う。

私の体がワイセツ?!

ろくでなし子氏のエッセイ。マンガを中心とした前著『ワイセツって何ですか?』と、内容的にはかなり重なっているが、まあ日本の警察のこのムダ感はなんだろう。拘置所が、とかく拘置されている人の自尊心を低めるシステムになっているというのは、推定無罪…

テイキング・ライブズ

他人を殺し、その人生を奪って生きてゆくサイコパスの男と、その犯罪を暴こうとするFBIの女性捜査官の攻防を描く。俳優陣の熱演が光るが、ストーリーとしては単純過ぎるか。

どうして就職活動はつらいのか

一橋大学に提出された卒業論文の単行本化。必ずしもアカデミックな内容とはいえないけれど、実際に就職活動で苦しんだ著者が、真摯な態度で取り組んだもので好感が持てる。今の就職活動は、本当に心を削る大変なものだ。是非企業の人事部側に読んでもらいた…

キャパの十字架

後にNHKの特集番組にもなったので、内容は大体知っていたのだが、それでもキャパの「崩れ落ちる兵士」の真相を知ろうとする沢木氏の探究はとてもスリリングで、カメラに詳しくない私でも楽しめた。

日本型排外主義

日本の「排外主義」はいったいどのような特徴を持つものかを追究した書。「既成右翼」「右派市民運動」「ネット右翼」の三つを源流とする日本型排外主義は、疎外された者が持つ不安や不満のためではなく、大衆社会論的な説明はあてはまらないとする。

確率モデルによるWebデータ解析法

www解析やテキスト解析、リンク解析、クローリング、人間行動のモデル化など、Webデータの解析法が一通り学べるが、数学的にはやや難。