2012-06-01から1ヶ月間の記事一覧

社会調査のための統計データ分析

タイトル通り、社会調査のための統計本の一つで、長所は特別なソフトではなくエクセルを使っていること、クロス集計やエラボレーションについて詳しく書かれていることだろう。残念ながら、推測統計には入っていかないのだが、それも一つの見識なのだろう。

ヴィデオ 再帰的メディアの美学

ヴィデオアートについて論じた大部の著作。著者はドイツのメディア美学者で、本書でルイス・マンフォード賞も受賞しているそうだが、中身はなかなかに難解で、予備知識も要る。これまで知らなかった多数の作品を、本書で知ることができたのはありがたい。あ…

絵でわかるスーパーコンピュータ

遂に完成した、日本が誇るスーパーコンピュータ「京」。スーパーコンピュータと普通のコンピュータはどこが違うのか、どんな用途に使われるのかなどを、かわいいイラストと共に解説するのだが、残念ながらイラストレーターの一人は、本書の完成を見ずに亡く…

数学ガール ガロア理論

数学ガールの5巻目。今回も期待を裏切らず、「群」「体」「角の3等分」「方程式の解の公式」などを語りながら、ガロア理論の核心へと読者を導いてくれる。特に最初の、あみだくじの「すとん」「どんでん」「ぐるりん」という命名は秀逸。

探偵小説の様相論理学

小森健太朗氏の著作で、『探偵小説の論理学』の続編と言っていいと思うが、書下ろしの部分は少なく、これまでに他の単行本などに発表された部分が主。とはいえ、著者が探偵小説(推理小説)を、新人等の作品も含めて幅広く読破していることには驚く。石持浅…

滝川市、美唄市、岩見沢市

滝川市、美唄市、岩見沢市で地域情報化政策に関する取材を行う。特に、ICT利活用交付金事業を行って、ポータルサイトpipaを構築した美唄市に注目していた。ハイテクセンターで、IT産業の育成等も行っている。とても親切にしていただいた。美唄の名物は焼…

遠軽町、富良野市、芦別市

朝の石北線に乗って白滝から遠軽へ。田舎のローカル線はどこもそうだが、乗客の大半は高校生である。遠軽町役場で地域情報化政策の取材。財政が逼迫し新たな政策などほとんどうてないことがよくわかった。「快速きたみ」で旭川に戻り、今度は富良野線で南下…

旧白滝村

白滝村は2005年に合併して遠軽町の一部となったが、自主放送を行う「白滝ひまわりテレビ」を有しており、一度取材に行こうと思っていた。しかし残念ながら、自主放送は昨年終了、現在は再送信のみ。送信施設のデジタル化に伴う予算が捻出できなかったためと…

北海道へ取材出張。新千歳空港に着いた時には涼しく感じたのに、旭川に着いた時は暑く、なにか期待を裏切られた。石北本線に乗り換える。普通列車が上川止まりであったので、上川駅で降り、上川町役場に寄ってみるが、ここは特に収穫なし。快速きたみに乗り…

グーグルが描く未来

数多いグーグル本の一つ。こじんまりとまとまっているところが長所か。ペイジとブリンが二人ともユダヤ系であり、特にロシアにいたブリンの父親(数学者)が苦労したことなどは詳しく書かれている。ペイジランク・アルゴリズムの特許権から、スタンフォード…

ビッグデータ革命

野村総研の「ビッグデータタスクフォース」の人々が書いた、「ビッグデータ」の解説書。監視カメラを使って、楽しく社会貢献をしようという独フォルクスワーゲンの「ザ・ファン・セオリー」が印象に残った。スピード違反者の罰金を、法定速度を守ったドライ…

象形文字入門

講談社学術文庫としては新刊だが、原著は今から半世紀も前の1962年に出たもの。基本的にはエジプトのヒエログリフの解説書なのだが、メソポタミアやフェニキア人などの文字についても、少しは触れられている。

今度こそわかるゲーデル不完全性定理

ゲーデル「不完全性定理」の解説本は、私も随分とたくさん読んでしまった。結局、楽して分かる方法などない、ということだろう。数学ガールの「ゲーデル不完全性定理」の巻だって、相当に難易度が高かった。 本書は、論理学者の本橋信義氏の著作。本橋氏の著…

変わりゆくコミュニケーション、薄れゆくコミュニティ

中央大学の林茂樹教授の、中央大学退職記念論文集。執筆者の一人である守弘仁志教授からいただいた。ありがとうございます。第10章「都市高齢者の孤立と孤独死」を最も興味深く読んだ。関学で担当している「プライバシーの社会学」でも、孤独死(無縁死)…

空気人形

性欲処理用空気人形(通俗的に言えば「ダッチワイフ」)が、「心」を持ったらどうなるか、という設定の業田義家のマンガを映画化したもの。私は原作を読んでいないので、こんなに切ない、バッドエンドの話とは知らなかった。空気人形 [DVD]出版社/メーカー: …

ジャーマン+雨

横浜聡子監督作品。ひめじ国際短編映画祭で、スケジュールが合わず見ることができなかった作品。田舎(ロケ地は滋賀県らしい)に帰ってきた、美しくない16歳の「ヒロイン」と、美人女子高生の友人、祖国から逃げてきたドイツ人の若者、寝たきりとなってい…

はじめてのメディア研究

立命館大学の教員たちの共著による、メディア研究の教科書。網羅的なものではないのだが、扱われているテーマが多彩、かつ、語注も充実していて、全体としてはなかなか良書と思う。 細かな不満はある。65頁で、「福江ケーブルテレビ」がケーブルテレビのサー…

眼に映る世界

ハーヴァード大学の哲学教授であったスタンリー・カヴェルの映画論。映画論では「新たな古典」となったと解説にはあるのだが、何が優れているのか、正直なところ私にはよく分からない。

空間的思考法

レゴで日本人初の「認定ビルダー」となり、東大の総長賞も受けた著者が、自らの経験や思考法を語った書だが、文章よりも実際の作品の写真に感動する。特に、タコとか雪だるまとか「スプー」とか、丸みを帯びた物体を四角いレゴを使ってうまく作ったものだな…

地域の再生は矢祭町に学べ!

「合併をしない宣言」「住基ネット非接続」「もったいない図書館」など、独自の路線を貫く矢祭町政について解説する。政策はスタンドプレーではなく、着実なリストラ、経費節減、少子化対策などに裏打ちされている。昭和の大合併で大変な苦労をしたことも、…

大震災とメディア

大学院の後輩の福田充君にいただいた。どうもありがとう。東日本大震災の被災地や、あるいはそれ以外の地域において積極的な調査を行い、得られた貴重な知見がふんだんに載っていて有益な書。もっとも、内容より驚いたのは、これがゼミの学部学生との共著で…

空き家急増の真実

空き家は例えば放火の原因となったりと、問題を引き起こす可能性があるのだが、著者のデータによれば今後ますます空き家の数は増加する可能性があるという。本書では、広島市や江津市などの事例を紹介するのみならず、空き家の積極的な活用に向けて、例えば…

コミュニケーション理論の再構築

2007年から2009年に行われた科研の基盤研究B「ユビキタス社会の社会情報基礎論」の研究成果だそうだ。一つ一つの論文には興味深いものもあるけれど、全体としてまとまりが取れているかというと、疑問なしとしない。

七十歳死亡法案、可決

七十歳になったら安楽死する法案が国会で可決したという、奇抜な設定で書かれた小説。義母と、その介護を強いられている主婦や、一流大学出身ながら会社をやめて引きこもっているその息子、家を出て介護施設に勤める娘などを中心に、話が展開する。

週刊東洋経済2012/02/15 「鉄道」再起動

週刊東洋経済の鉄道特集号で、もちろん面白い記事も多々あるのだが、各線区ごとの「営業係数」(100円の収入を挙げるのに必要な費用)が、同じ週刊東洋経済の2年前の増刊号「鉄道完全解明」に載っている2007年の数字とあまりに大きく違っているのに戸惑…

IDの秘密

国立情報学研究所の佐藤一郎教授の著作。IDやバーコード、ICタグ、バイオメトリクスなどについて、基礎的な知識が得られて便利。ICタグ実証実験のうち、記事になるものは失敗だ、という見分け方には納得した。

終着駅

先日、DVDで「ゆきゆきて、神軍」を見たのをきっかけに、久しぶりに結城昌治「軍旗はためく下に」を読み返してみた。ほとんど忘れていて、新鮮だった。結城昌治は、私が中高生のころは多数の本が文庫に入っていたが、今ではやや忘れられた感がある。しか…

ゴメスの名はゴメス

軍旗はためく下に

共通番号制なんていらない

政府が導入している共通番号制を、完膚なきまでに批判した本。著者の小笠原みどり氏は元朝日新聞記者で、退社後デイヴィッド・ライアン教授の下で学んでいた(4月のライアン教授の講演会で初めてお会いした)。私は、共通番号制は導入した方が良いと思って…