2015-04-01から1ヶ月間の記事一覧

グラディーヴァ

先日見た映画「グラディーヴァ」の原作小説と、フロイトによる解説。原作とは言うものの、映画は大きく改変している。原作小説の方が、他愛のないハッピーエンドで、「ティファニーで朝食を」などとは逆だ。フロイトがなぜかこの小説に関心を持ち、長文の解…

歴史の「常識」を読む

私は日本史には弱いので、とても勉強になった。日本史関連で、何となく常識となっている事柄について、歴史学者がその思い込みを問いなおすような解説が各4ページ、約50本収められている。「伝統的な農村風景」のウソや、源平対立の影に隠れた源氏同士の…

翻れ!日本のICT産業

郵政省で通信政策関連の行政官を務め、ITUの事務総長も務めた著者の思い出話。日本の情報政策に関心がある向きには非常に興味深い事実が多く含まれている。日本が「情報社会サミット」において、途上国の基金提案を積極的に潰す側にまわったのは残念なことだ…

AIの衝撃

本書も人工知能の概説書。こちらの著者も大学教員だが、どちらかといえばジャーナリスト。前掲書と多少焦点の当て方が違い、併読すると有益。グーグルの脅威などについても説得的に語っている。

人工知能は人間を超えるか

人工知能についてはまた近年関心が集まっている。本書はトップ研究者の一人である著者が、人工知能研究のこれまでとこれからを解説したもので、途中やや難しい部分もあるけれど、基本的には平易に書かれている。

「尖閣問題」とは何か

永続敗戦論で紹介されていたので読んだのだが、これは是非とも読まれるべき書だ。尖閣をはじめ北方領土、竹島といった日本が抱える領土問題の黒幕は米国であることを資料から立証する。要は、領土問題を残して対立させておくことが米国の利益なのだ。関して…

ヘンな論文

早大大学院出身(日本語学)で、漫才コンビ「米粒写経」のメンバーである「学者芸人」のサンキュータツオ氏が、TBSラジオで紹介したヘンな論文をまとめ、単行本化したもの。「浮気男の頭の中」から、「湯たんぽの形態」までジャンルはさまざま。

チェコ手紙&チェコ日記

後に大物アニメ作家になる川本喜八郎氏は不惑を前にして退職、イジー・トルンカに学ぶために、1963年から一年間強チェコに滞在したが、その際に書いた手紙と日記を収める。当時のプラハは共産主義下でいろいろと不便だったのだな。存外に辛口で、たとえ…

あたらしいグラフ理論入門

グラフ理論の入門書は何冊か読んだのだが、本書がいちばんわかりやすいと思う。練習問題のレベルもちょうど良い。四色問題の理解にも役立つ。また、応用例の一つとして、都道府県別に、高校生がどこの大学に進学したかのデータが用いられていて、これも興味…

ディープラーニング、ビッグデータ、機械学習

「ビッグデータ」という文字につられて読んだのだけれど、私が想定していた内容ではなかった。心理学なのだろうか?

メディア考古学

エルキ・フータモのオリジナル論文集。

日本インターネット書記

これは良書。 IIJの設立者である鈴木幸一氏が、日本でのプロバイダ事業を軌道に載せるために奮闘した時代を振り返る。NTTへの対抗を大きな動機にしていたのに、CWCが破綻した際に、NTTに頼るしかなかったというのは皮肉なことだ。

不思議おもしろ幾何学事典

事典と銘打っており、また、訳書も項目を50音順にしているのだが、これは引く事典ではなく通読する事典。幾何学の不思議さを堪能できる。数式もほとんど出てこないし、出てくるとしても初等的なものばかりである。

ヒトはなぜ笑うのか

理論的なことはさておき、豊富に掲載されている多数のジョークが面白い。それを楽しむためだけに読むのもありだと思う。分厚いが、通読にそれほど時間はかからない。

競争しない競争戦略

いかに消耗戦に陥らずに会社を生き残らせて行くか、ニッチ戦略、不協和戦略、強調戦略の豊富な実例から語る。私はあまり経営学の本は読まないのだが、本書は面白かった。

礼讃

婚活殺人事件の、木嶋佳苗被告の自伝的小説。 くやしいが、面白かった。ポルノ小説まがいの部分はむしろどうでもいいが、母との確執、ヤマギシ会への体験入会、そして高校時代の、年上の男性との逢瀬と、その男の指令による預金詐取など、まあどこまでも本当…

個人化するリスクと社会:ベック理論と現代日本

ベックの「個人化」論を現代日本社会にあてはめて考える論文集で、家族や企業社会、孤立死の問題などを問い直す。なかなか力作がそろっていて良い。

時間資本主義の到来

大したことが書いてあるとは思えないのだが・・・ビジネス書だから仕方ないか・・・。「すきま時間」で仕事ができるようになったというのは間違いではないが、「すきま時間」では大したことはできず、結局「かたまり時間」が重要なのではないかと思うのだが…

科学・技術と社会倫理

3.11以降に科学者は何を考えるべきなのか・・・統合学術国際研究所で行われたワークショップでの議論を収める。教養教育や倫理の役割を問い直す、密度の濃い議論が戦わされている。

24/7 眠らない社会

タイトルは、24時間、(週)7日休みなし、といった含意。ジョナサン・クレーリーの書だが、クレーリーがこんな現状批判的な本を書くとは意外だった。ドゥルーズやヴィリリオが乗り移ったかのようだ。休みなしの管理社会を批判。ドゥルーズの「規律から管…

東京難民

小説。自堕落学生だった主人公は、両親の失踪により学費が払えなくなり、除籍という憂き目に遭う。その後は、社会の裏側への転落一直線。最後になって、取ってつけたように希望が見えるのだが。

年収は「住むところ」で決まる

平均収入が高い都市と、低い都市とはどこが違うのか。著者は、ハイテク産業などが多く立地する都市では、そうした産業の乗数効果が大きく、ほかの産業も高収入が波及すると論じる。リベラルな心性が都市を発達させるとするリチャード・フロリダの説を「因果…

インターネットを探して

インターネットは抽象的な存在と捉えられがちだが、もちろんそれを支えているのは物理的な実在であるデータセンターや、回線だ。本書はそうした物理的インフラを取材したもので、米国の話が中心だが、「訳者あとがき」では日本のインフラについても触れてい…

エクサスケールの衝撃

医者をしながら、コンピュータ・ベンチャーの経営者でもあるという多才な著者の、ある意味「空想的情報社会論」。カーツワイルの「特異点」(機械の知性が人間の知性を追い抜く時点)論などに依拠しながら説き始める。スパコンの話は有益なところもあるが、…

人と「機械」をつなぐデザイン

編者の佐倉統氏が、さまざまな技術の専門家にインタビューした記事が中心。興味深いものもあるが、3600円ははっきり言って高過ぎる。厚い新書にして、1000円くらいにしてくれたらお得感があるが、これで3600円って(絶句)。

恐怖の法則

名高いキャス・サンスティーンが、恐怖やリスクの問題と正面から向き合った著作で読み応えがある(もう少し短くしてくれるとありがたいが)。特に「予防原則」への批判が焦点。あるリスクを予防しようとすることが、別のリスクを呼び込んでしまうことに、一…

テクノロジーが雇用の75%を奪う

人工知能やロボットの発達で、人間の職がどのくらい奪われてしまうのかは、多くの人が興味を持っているだろう。本書はその問題を探求したものであるけれど、これも主観的なエッセイから逃れていない。

美貌格差

美貌の人とそうでない人とでは、収入にどのくらいの差が出るのか、実例を紹介しているが、経済学者の著書なのに全体としては学問的なものというより、軽いエッセイと言うべき。

小説通産省

かなり古い本だが、通産省と郵政省とがVANの規制をめぐって激しいつばぜり合いを演じた部分を詳述していて興味深い。登場人物の一部は仮名だが、あからさまに分かるような仮名となっている。