2009-09-01から1ヶ月間の記事一覧

ウィキペディア・レボリューション

ウィキペディアについては、当のウィキペディアの中にも詳しい記述があるのだけれど、やはり一冊にまとめられていると便利だ。前身というべきヌーペディアの話、ラリー・サンガーの貢献と確執、ピラニア効果、編集合戦、スペイン語版ウィキペディアの分派騒…

かたち三昧

高山宏氏が、雑誌「UP」に63回連載した「かたち三昧」に、漱石論を4本付け加えたもの。連載の一つひとつは2ページしかなく、やや物足りないけれど、まとめて読むことで氏の中に広がる表象文化の世界を堪能できる。Mise en abimeという語は「紋中紋」と…

SAW5

テイストは相変わらずだが、ストーリーに驚きがないままに終わってしまった。回収されていない伏線(例えば、ジグソウの未亡人が受け取った箱の中身)が残っていることからすると、まだまだ続ける気なのだろうか。もう止めた方がいいと思う。ソウ5 DTS【アン…

交換のはたらき 1

ブローデル『物質文明・経済・資本主義』の第3巻。都市が発展し、市が発展してゆく世界を、ヨーロッパを中心にしながら中国やインドにも目配りしつつ、微視的に、しかし時には理論的に、丹念に描く。既に十六世紀頃から商人が、為替手形を使って、骨折りな…

作品の哲学

(芸術)作品とは何か、それにまつわる主題を、哲学・美学の観点から考究したもの。「作品の哲学」「作品の構造論」「作品の人間学」の3部からなる。挙げられている「作品」は、文学作品(それも戯曲)が比較的多いけれど、美術や音楽にも目配りされている。…

年末に青土社から出す予定の翻訳、一応終わる。原著者のHalavaisさんに、メールで名前の発音を(もちろん英語で)訊いたら、日本語で「原辺」という答えが返って来たのには驚いた。子供のころ日本で暮らしたことがあるそうです。

ジャーヘッド

同名の著作を基にした、イラク戦争時の若き海兵隊員の生活をリアルに描いた映画。戦争そのものはあっけなく終了するが、それまでの暑苦しい「待ち時間」がうまく描かれていると感じた。ジャーヘッド 【プレミアム・ベスト・コレクション\1800】 [DVD]出版社/…

映像史

タイトル通り映像の歴史を主題にした本だが、特徴としては、歴史を10年ごとに区切って特徴を抽出しているところと、重要な映像作品(例えば「イントレランス」)についてはシーンを細かく分析しているところだろうか。

日常性の構造 2

ブローデル「物質文明・経済・資本主義」の第2巻。技術、貨幣、都市が3大テーマでいずれも興味深い記述にあふれている。十六世紀や十七世紀の情報の伝播が、最大で一日100キロであった(こうしたはなしは『地中海』にも出てきた)ことが、地図と共に示…

ドッグヴィル

舞台演劇のような、省略の多い独特のセットの中で、正義とは何かを考えさせる息詰まるドラマが展開される。行き止まりの街「ドッグヴィル」に逃げてきた女は何者なのか?初めは優しかった村の十人たちが、次第に「牙」を剥きだしにする。人間の弱さを感じさ…

データで斬る世界不況

旧経済企画庁のエコノミスト6人が、世界不況について、実際のデータを多用しながら現状を分析する。ヨーロッパの金融機関にとって「中東欧」が火薬庫になっていることなど、あまり知られていない事実が明らかにされていて小気味よい。

恐怖と愛の映画102

「怖い絵」の中野京子氏の映画エッセイ集。「母の友」という雑誌に連載されていたもの。各文が短すぎてやや物足りない。私の好きなヒッチコック「めまい」も挙がっているけれど、ちょっと間違っているのではないかと思う。

社会は存在しない

笠井潔氏らをメンバーとする「限界小説研究会」が、いわゆるセカイ系の作品を評論した論文集。いくつか印象に残ったものを挙げる。飯田一史氏の「セカイ系とシリコンバレー精神」は、一種の情報社会論なのだが、私が参照しているような本が一つも出て来ない…

心を生みだす遺伝子

著者のゲアリー・マーカスは23歳でMITから博士号を獲得したほど優秀な研究者で、本書も遺伝子が心に与える影響について、なぜ「遺伝か環境か」という二者択一が間違いなのか、ていねいに解説してくれている。 で、内容に不満はないのだが、なぜかこの翻訳…

財務3表一体理解法

会計の入門書として非常に売れているようなのでざっと読んでみたが、一体何がそれほど他書と違いがあるのか、私にはよく分からなかった。

天国から落ちた男

いましている翻訳に出てきたので見てみた。ジェームズ・マーティン主演のコメディ。ある種「アメリカン・ドリーム」か。天国から落ちた男 [DVD]出版社/メーカー: ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン発売日: 2003/11/28メディア: DVDこの商品を含むブログ …

加計呂麻島のバス

NHKの7時のニュースのあとの番組で、加計呂麻島のバス会社の話をしていた。非常に経営が苦しいらしい。しかも現社長は、もともと社員だったのが、会社が倒産の危機にあるという時に借金して5千万円で会社を買い取ったという。今でも自分の給与は借金返済で…

社会イノベータ

佐賀の企業家養成NPOである鳳雛塾を立ち上げ、現在は慶應の教員をしている飯盛義徳氏がまとめた、地域情報化に関するケース・メソッド。鳳雛塾のほか、富山のインターネット市民塾、桐生の桐生情報ネットワーク(渡良瀬ネットから発展)、高知県大方町の…

格差社会論はウソである

「格差社会論」云々というタイトルだけれど、主題はむしろ日本社会礼賛、日本型経営礼賛にあると言ってよい。まだまだ平等化への圧力の強い日本が様々な面で優れていると主張している。 論点は多岐にわたるけれど、印象の強い点をいくつか挙げる。 まず地方…

沖縄の離島45

横浜生まれで放送作家として活動した後、沖縄の男性と結婚して移住した著者が、沖縄離島の食べ物を紹介したもの。写真も美しく、見飽きない。

西洋美術史から日本が見える

西洋美術史の本かと期待して読んだが、結果として大いに失望することとなった。「西洋美術史家」を自称する著者が、日本人の「俗物性」を批判する本で、中身は薄く、読んでも得られることはほとんどない。

ロシア革命アニメーション

KAVCへ標記のアニメーションを見に行く。A,Bの2プログラム。ジガ・ヴェルトフの作品などもある。 http://www.takeshobo.co.jp/sp/russia/

1968 下

下巻の方も約1000ページあります。持つだけで重い。下巻で扱われるのは、高校闘争、新宿騒乱、べ平連、連合赤軍、リブ(特に田中美津)だが、中でもべ平連と連合赤軍については、200ページ近く割かれており、いわばそれだけで単行本一冊になるくらい…

読売新聞ニュースより 「早期健全化団体」に21市町村、大阪・泉佐野など…本社調査 都道府県や市区町村の財政再建を目的とした地方自治体財政健全化法の今年度からの本格施行に伴い、今年度末までに財政健全化計画の策定が義務づけられる「早期健全化団体」…

戦後日本スタディーズ 1

このシリーズは3,2,1の順番で(逆順)で出ているようで、最後が1巻。終戦直後から1950年代まで。当然ながら戦争の話が中心。早乙女勝元氏の「東京第空襲・戦災資料センター」を作るための奮戦記などが涙を誘う。巻末には井上ひさし、金石範、無着…

日常性の構造 1

フランスの歴史家ブローデルの「物質文明・経済・資本主義 15−18世紀」の第1巻。この巻では、人口の推計に始まり、一般庶民がどのような暮らしをしていたのかに焦点が当てられる。特に衣食住について、すぐさま忘れられてしまう日常的なことを丹念に掘…

毎日新聞ニュースより グーグル:インスタント出版機に向け、200万冊分提供 書籍の電子化を推進する米インターネット検索大手のグーグルは17日、本の電子データをベースに自動で製本する“インスタント出版機”に向けて、著作権の切れた200万冊分を提…

国語辞書 出生の秘密

国語辞典にもさまざまなタブーがある。金田一京助はほとんど名義貸しだけで仕事をしていないし、新村猛(広辞苑を編纂した新村出の息子)が書いた本には明らかにウソが混じっているそうだ。そうした国語辞典にまつわる真実を曝露している。著者は元読売新聞…

線路を楽しむ鉄道学

「距離標」の話や、鉄道による山越えの技術、トンネルや鉄橋の話など、鉄道に関する豆知識をさまざま掲載している。60億円かけて完成した羽越線の複線用トンネルが、線路を引かれず使われないままでいるのはもったいない話だが、経済学的にはサンクコスト…

世界経済はこう変わる

『さらば強欲資本主義』の神谷秀樹氏と、『すべての経済はバブルに通じる』の小幡積氏の対談集だが、はっきり言って予定調和的で、驚くような展開はあまり見られない。それにしても、米金融界トップの強欲振りには腹が立つ。まだ日本の方がマシかもしれない。