2011-08-01から1ヶ月間の記事一覧
新常用漢字の字体にまつわる「一貫性のなさ」は、文字に興味を持つ多くの人が感じている(具体的には、「二点しんにょう問題」など)。なぜこうした問題が起きてしまったのか、それにはJISにまつわる複雑な経緯があるのだが、こうした経緯を本書では詳し…
刑法を専門とする著者が、サイバースペースや性情報について書いた論文をまとめたもので、不正アクセス、ウィニー、ウィルス作成罪、ネット上の名誉毀損、有害サイト規正法、児童ポルノ処罰法などが話題となっている。慎重な物言いをしている点が多く、正直…
われわれ日本人は概して、チェルノブイリ原発について、詳しいことは知らない。それにはもちろん、情報を隠ぺいしたソ連・ロシア政府の責任が大きいが、こうした詳しい本が出ている以上、読まないことも罪だろう。本書は、1993年に出た「検証 チェルノブ…
グーグルとついているが、いわゆるグーグル本(グーグルという企業の説明や、検索エンジンの解説)では全くない。グーグルの登場回数もわずかである。要は、日本の閉塞状況を打ち破るために、どのように行動すべきかという著者の処方箋を述べたもので、グー…
J.S.ミルが、セント・アンドルーズ大学名誉学長に就任した際の記念講演をまとめたもの。講演だが、とても力がこもっている。時は1867年だから、日本だとまさに明治維新前夜か。時に応じて古びているところや、日本にはあてはまらないところ(例えば…
もともと一冊の本を、邦訳では2冊にしたもの。「訳者の序」や「まえがき」「あとがき」など同じものが繰り返されていて、やや異様(それもあとがきは著者ではなく、ハーバート・ハウプトマンという、ノーベル化学賞を受賞した数学者が書いている)。内容は…
見開き2ページ1項目で、政治・経済からサブカルチャーのような柔らかな分野まで全151項目、その分野の言論の布置を左ページで図示、右ページで解説している。哲学者の萱野稔人氏が編者として名前が表に出ているが、萱野氏の役割はむしろ対談者としてで…
8月30日に、以下のようなイベントがあるようです。http://www.ustream.tv/recorded/16909878パフォーマーの五所純子さんのブログはこちら http://d.hatena.ne.jp/goshojunko/
統計学史に属する本だが、学問よりむしろ人間的な面に焦点が合わされており、数式なども全く出てこないので、却って理解しにくいところがある。ピアソンとフィッシャーが人間的に反目していたことなど知らなかった。
ゲノム情報関係の発表があるというので、「STS 夏の学校」というイベントを聴講に、高松まで日帰りで出かけていった。確かに有意義な情報も得られたが、つまらないものもあり(特に理科教師の発表は、前提自体が?だった)、興奮と忍耐の一日だった。
有名な美術評論家ハル・フォスターの本だから、期待して読み始めたが、正直なところ大いに失望した。「デザインと犯罪」というのは、8本あるうちの一本のタイトル。まあ私があまり建築に興味がないということもあるのだろうが、前半の「建築とデザイン」は…
笠井潔氏の探偵小説論のシリーズで、タイトル通り叙述トリックが主な論題となっている。叙述トリックの本質を「言い落とし」(レティサンス)と喝破、クリスティの「アクロイド殺し」や「そして誰もいなくなった」のみならず、乱歩の「二銭銅貨」、田山花袋…
極めて厚い。まさに「凶器」になり得る本。 さてその中身だが、民主党への政権交代を用意することとなった政治的な流れの中で、キーパーソンとも言うべき人々を選び、インタビュー取材を中心に詳しく紹介したもの。読みやすいので厚さの割りには早く読める。…
昨日紹介した「告白」と、毛色はかなり違っているけれども、罪と罰、復讐の意味など、テーマ的には重なっている部分もある。 福岡である娘が殺される。出会い系で知り合った男には金を貢がせ、家が金持ち(温泉旅館の跡取り息子)の大学生と付き合おうとする…
著者の意見では、老後の幸福度は「健康」「家族」「収入」で決まる。それまでは順調に生活を営めていても、ちょっとした病気や怪我、あるいは詐欺被害などによって、高齢者が転落して行く事例が紹介されており、ある意味怪談以上に怖い本だ。著者は神戸学院…
一澤帆布店における相続問題に(おそらく)想を取った表題作など、いずれも銀行員(表題作のみ信用金庫行員)を主人公にした短編6本を収める。作者の池井戸氏自身が三菱銀行行員の経験があり、彼らの働く過酷な現場(特に精神的に)が過不足無く描かれてい…
原作、映画とも話題になった作品だが、遅ればせながらレンタルでやっと見た。ある中学校を舞台に、数人の異なった人物の視点から「告白」がなされる。娘を教え子に殺された女教師、そのクラスの女生徒、犯人である中学生の母親、など。そしてどの人物も、完…
著者の試算によれば、今後数十年間の日本では、かつての公共投資によって作られた建物・橋・道路などが老朽化し、総額で330兆円、毎年8兆円もが、そういった「更新投資」のために支出されざるを得ないという。財政赤字が先進国中最悪の日本にとって、ま…
囚人たちの心をネットワークを使って外から操り、殺人ゲームを行わせる「スレイターズ」、そして、同様に俳優たちを操って交流を楽しむサイト「ソサエティ」。この2つのシステムを作り、人類の心を支配しようとする独裁企業に、心を操られて囚人にさせられ…
東大の言語情報科学専攻の方々10人の共著で、学生向けに言語情報科学のさわりを語るものだが、いかんせん、知らない言語(私にとっては朝鮮語、スペイン語、トルコ語、スワヒリ語など)の話題について行くのは至難の業で、やはり英語や中国語のようななじ…
原子力発電が推進されてきたのは、まずは石油ショックで、石油への依存度を下げようという善意であったと思う。しかし、とにかく利権が大きく成り過ぎた。以前にも書いたように、原発関連の予算はざっと1兆円だそうである。つまり、それだけの「底上げ」を…
レディ・アサシン(女暗殺者)とは変な邦題だ。確かにヒロインは殺人者となるのだが、暗殺者というイメージからはほど遠い。かつて愛した男を殺す羽目になり、苦悩する。そして、今愛している男には裏切られ、殺されそうになる。パリから香港へと逃げる彼女…
タイトルのインセプションとは、他人にある考えを埋め込むこと。主演のディカプリオが、夢を操る男を演じる。彼の仕事は、ある大企業の御曹司に、その企業を「解体」させるという考えを埋め込むこと。そのために、仲間を募り、三段階にも及ぶ夢を設計する・…
大泉洋、安田顕など、北海道で活躍する5人の俳優が、一本づつ監督した短編映画集。もう少し尺を短くした方がだれなくて良いとは思うのだが、それぞれ個性的でなかなか面白かった。TEAM NACS FILMS N43° [DVD]作者: TEAM NACS出版社/メーカー: アミューズソ…
江戸川乱歩の短編「妻に失恋した男」が原作。ひょっとしたら読んだかもしれないが、忘れてしまった。この映画自体の出来は、残念ながら大したことはない。舞台装置にはそれなりにお金がかかっていて、興ざめするようなことはないのだが、いかんせんヒロイン…
第一部「鉄道編」、第二部「バス編」、第三部「航路・その他」の三部構成。第一部の鉄道編は、石炭輸送鉄道や森林鉄道など、一般人が乗れないようなものが多く、欲求不満(?)が溜まる。第二部のバスはそんなことはなく、誰でも乗れるものばかり。廃止され…
オックスフォード大の「進化心理学」の教授であるロビン・ダンバーが、専門に関わる事柄を分かりやすく述べたエッセイ集。「一人の人間が関係を結べるのは150人まで」ということで、その数を「ダンバー数」と命名するなど、表題に関することも出てくるが…
今日、大学の帰りに神戸市立中央図書館に寄ったのですが、そう、時間は午後7時前くらいだと思いますが、背の高くスラリとした美女(おそらく)が、図書館の前で何やら紙を配っておりました。広告とも見えないので受け取ると、そこにはURLと、「詩を書い…
東日本大震災とメディアに関連した本は多数出ている。その中で本書の特徴は、東北地方在住を中心とした放送業界人12人がその経験談を寄稿しているところだろうか。震災報道は批判されることが多いが、現場の放送人一人ひとりは真摯に現場と向き合っている…