2008-07-01から1ヶ月間の記事一覧

闘う経済学

竹中平蔵・慶応大学教授による、閣僚時代の回顧録と、経済学の初歩(およびそれを政策研究に使うインプリケーション)。氏の政治的スタンスには賛否両論あるだろうが、氏が学者としては類稀なる「度胸」を備えた人間であるということはよく分かった。

音楽の生存価

非科学的な「音楽学」や「音楽療法」を批判し、科学的な音楽研究を提唱する書。特に、環境や学習を重視する社会学や人類学を退け、音楽においては遺伝の方がはるかに重要ではないかとの考えだ。 著者は奈良教育大学の教員だから、デタラメを書くとは思えない…

テレワーク

テレワークは、情報社会の理想の一つだった。トフラー『第三の波』でもエレクトロニクス・カテッジが描かれていたし、日本でも「日本テレワーク協会」などがその夢を煽ってきた。だが、身の回りのテレワークをする人が増えたという実感はあまりない。本書で…

ケータイ小説は文学か

やや盛りを過ぎた感はあるけれど、文学の中ではダントツに売れ行きのよい「ケータイ文学」。しかし読む気はしないし、周囲の人間もほとんど読んでいないので聞くこともできぬ。解説本もいくつか出ているが、やはり本職の国文学者のものがよいだろうと思い、…

フォト・リテラシー

報道写真を「読む」とはどういうことか、考えさせる小著。人口に膾炙したカルティエ=ブレッソンの「決定的瞬間」というスローガンが、実は英語版編集者による意図的な誤訳であったことから説き始め(実際は「かすめとられた映像」というのが著者の訳)、著…

なぜ、改革は必ず失敗するのか

元・佐賀市長の木下敏之氏の著作。佐賀市長時代の経験(地方政治・行政の非効率や腐敗が書かれている)を踏まえ、今後の地方の置かれる厳しい状況が描かれる。確かに冷静に考えれば、木下氏の言うように、今後の地方に明るい要因はほとんどない。およそどこ…

食肉の帝王

食肉業界で、公的資金などを食い荒らし(その代表的な事例が、BSE対策のための食肉焼却費の詐取)て巨大な資産を築いた浅田満の伝記。鈴木宗男のような政治家や、山口組ともパイプを持ち、華麗な裏人脈を作りあげた。緻密な取材で読ませる。

ウェブ人間退化論

新聞連載ということもあるのだろうが、中身は薄く、繰言に近い。もちろん、共感できるところも部分的にはある。例えば、バリアフリーのために設置されたエスカレーターの前に若者が並んでいるのを不快に思う気持ち。階段使えよ。老人・障害者以外は、エレベ…

萩市役所で地域情報化政策の取材。情報政策課の福島さんにお世話になる。萩市は、都市部では民間(名目上は第3セクターだが実質は民間)の萩ケーブルネットワークと、合併前の旧4村(旭、川上、福栄、むつみ)を統合した「農村型」(農林水産省の補助で作…

月と六ペンス

サマセット・モームの小説は、高校生のころ、新潮文庫に入っていたものを集中的に読んだ時期があるのだが、たいてい忘れてしまった。代表作のこれについても、ゴーギャンに似た、サラリーマンを中年で辞めた画家を主人公にしているという点以外、忘れていた…

鬼揚子の島 見島

萩港を朝の9時頃に出る高速船「おにようず」で見島へ向かう。見島は、ほぼADSLが使え、また、診療所と萩市民病院、山口大学を光ファイバ専用線で結んで遠隔医療診断なども行っている情報化については先進的な島。総合センターの公民館に行ってみただ、…

ケインズ経済学を読む

これはスゴイ本だ。本の8割以上が、「ケインズは『・・・』と述べている」から成っている。岩波セミナーブックスなどには、よく「○○を読む」というタイトルが付いている本があるが、これほど露骨に引用・抜粋から成っている本にはお目にかかったことがない…

広島でレンタカーを借り、津和野へ。たまたま着いたときに、SLやまぐち号がホームに入ってくるところが見えた。津和野町では、地域情報化政策のひとつとして、観光客にユビキタス端末(PDF)を貸し出しているので、それを使ってみる。 今日は鷺舞という…

地域の力

雑誌『世界』での連載をまとめたもの。有名な徳島県上勝町や、富山ライトレールの話など、全国各地での地域づくりの実例が述べられている。

確かさを求めて

フレーゲ、ラッセル、ヒルベルト、ゲーデル、ツェルメロといった人々の業績を振り返りながら、数学の基礎的な根拠づけについて考えてゆく哲学書。「われわれは古典的数学全体の信頼性を確証できない。しかし、その主要な部分の信頼性は確証できるし、全体の…

昼飯はソーメンチャンプルー、夕食は麻婆茄子。麻婆茄子はこれまで、味の素クックドゥなどの合わせ調味料を使っていたけれど、今日は豆板醤やコチュジャン、にんにく、しょうが等を使って手作りしてみた。分量は適当に混ぜたが結構おいしくできる。

絶滅古生物学

こんな名前の学問があることを初めて知った。その概説書だが、白亜期末の絶滅についてはAlvarezによる隕石衝突説の批判に多くの紙数が割かれている。他に、デボン期後期の絶滅、ペルム期(日本では二畳期という方が普通か)後期の絶滅、三畳期末の絶滅につい…

今日は帰るだけ。途中松山に寄り、松山市立子規記念博物館で「反骨」展を見たが、ひどかった。入場料400円で高くはないのだけれど、一部屋のみの貧弱な展示で、これは無料で展示すべき水準だろう。しかも、駐車料金も別にかかる。失望。

宿毛市、宇和島市

宿毛市、宇和島市で地域情報化政策の取材。宇和島では「牛鬼まつり」をやっていて、大変な熱気だった(写真)。それから、元大蔵官僚の会計学者、桜内文城氏のポスターがあちこちに貼ってある。どうも選挙に出るらしい。 宿泊は、宇和島の隣の西予市にある、…

土佐市、黒潮町、四万十市

四国にわたってレンタカーを借り、土佐市、黒潮町、四万十市で地域情報化政策の取材。土佐市は「最後のテレトピア」。黒潮町(大方町)はテレワーク政策を行った。四万十市は宿毛のケーブルテレビの導入で情報格差を是正しようとしている。昼飯は、土佐市内に…

男の生活

これは一番軽く他愛もない作品。安い深夜テレビのノリか。サラリーマンの生活を描いた4コマ漫画を板尾創路主演で映像化したもの。木下ほうかもよいが、中村有志がいつの間にか歳を取って老人臭くなっていたのにはびっくりした。男の生活 [DVD]出版社/メーカ…

三年身籠る

女優・唯野未歩子の監督デビュー作。女主人公が(なぜか)3年近くも妊娠状態が続く。彼女と夫、妹とその恋人、母、祖母といった人たちとの人間関係が細やかに描かれる。出てくる料理がおいしそうで、レシピまでついており、実用性という側面も持つ。三年身…

SAW 4

言わずと知れたSAWの4作目。こんな風に長く続くシリーズになるとは思わなかった。ひょっとして寅さんを抜こうとしてるのだろうか・・・。ジグソウは死ぬが(冒頭に相当グロテスクな解剖シーンが出てくる)、「ゲーム」は終わらない。第1作や2作と比べると…

ドット・コム・ラヴァーズ

赤裸々という点では、ネットでの恋愛をテーマにした、ハワイ大学教授の吉原真里氏のこの著作も負けてはいない。著者は、サバティカルでニューヨークに暮らした一年間、そしてハワイに戻ってからも、match.comという「出会い系サイト」に登録し、そこで出会っ…

崖っぷち高齢独身者

本屋でたまたまタイトルが目に止まり、約10分で速読した。こんな人目を引くタイトルをつけた編集者にはコピーライターの才能がある。これはスゴい「奇書」だ。中身は、実物を読まなくても、リンク先の書評記事で充分だ。高齢独身者に経験から結婚をアドバ…

離島振興ハンドブック

離島振興法をはじめ、離島振興を支える制度などについて概説した基本書。

営業秘密保護法

『営業秘密の法的保護』の新版かと思ったら、むしろ補遺的な性格の強い書物であった。ひとまとまりというよりは、周辺的な話題が多く集められている。

「お金」崩壊

現代における経済の本質的な意味を考えさせるという点でなかなかの好著。第1章と第2章では、一般庶民の貯蓄が「空洞化」(要するに、財投や米国債といった危険な投資に投じられ、引き出そうとしても中身がないかもしれない)していることを説き、第3章で…

現代地域メディア論

十余人の研究者が一章づつ執筆分担した、地域メディアについての入門書。私が特に興味深く感じたのは、FMわぃわぃを扱った第4章と、まちづくり政策の失敗を厳しく批判した第6章。巻末の文献案内に、拙著『映像と社会』(ISBN:4893849182)と『地域情報化政…

対馬と海峡の中世史

日本中世史は弱いので残念ながら中身がなかなか頭にすっと入って来ないのだが、対馬(や壱岐)が日朝の交流の上でさまざまに重要な役目を担っていたことは分かった。対馬を統治していたのが「宗氏」なのですね。