2014-08-01から1ヶ月間の記事一覧

ショートアニメーション姫路2014

近所の姫路文学館で行われた、標記のイベントのプログラムAおよびBを見てきた。プログラムAはPEAS,BはSCOPPという集団によるもの。オオニシカオリ氏の「来て見てここはね」や、海上梓氏の「ぼくはたこ」などに和んだ。

確率パズルの迷宮

数学セミナーに連載された記事の単行本化。確率パズルだけで一冊にしてしまうのは随分な力ワザ。中には相当な難問も含まれている。著者が翻訳した別の本『とっておきの数学パズル(正・続)』からそのまま取ってきて、答えも同書を参照っていうのは、ちと不…

半径1メートルの想像力

サブカルなどを論じながら、現代の児童や若者の置かれた状況を語る本だが、引用されている「学校の中でいちばん大切に思うもの」という調査で、「勉強」より「友達づきあい」が圧倒的に多いという結果は、非常にショッキングであり、「やっぱり」という気も…

ディズニーランド化する社会で希望はいかに語りうるか

東大に提出された博士論文の一部。外部を失った社会において、どこに希望があるのか、ベンヤミンなどを導きの糸に探求する書だが、正直なところ、私にはどう評価していいのか分からない。「テクノロジーとの遊戯に興じよ」と言われても寝言のようにも思える。

神と黄金(上下)

副題に「イギリス、アメリカはなぜ近現代世界を支配できたのか」とあるように、英米の共通点(アングロ・サクソン)に焦点を当てながら記述した近現代史。著者が「文明の没落」という観念に真っ向から異を唱え、「文明の衰退も没落も不可避ではない」「世界…

2046

この映画が公開されたとき、予告編がSF的なものだったので、実際に見たらすっかり騙された。SF的な部分(謎の場所と往還する列車や、アンドロイドが登場する)は、小説家である主人公(トニー・レオン)の「作中作」であって、実際には恋愛物語。キムタ…

クイズ化するテレビ

3人の共著となっているが、主軸は黄氏(韓国からの留学生)が早稲田に提出した修士論文。日本のテレビがいかに「クイズ化」(クイズ番組が多いというだけではなく、多数の番組にクイズ的なじらしの手法が使われている)ことを、「外部」の目によって意識さ…

ネットワーク・大衆・マーケット

現代社会における「つながり方」を数理的に追究する、ネットワーク理論やゲーム理論、オークション理論、投票理論などを解説した大部の著書。練習問題も多数。学部生が通読するには荷が重いかもしれないが、苦労した分の価値はある。院生の夏休み課題図書に…

なぜかカキ氷

もう夏も終わりですが、なぜかかき氷機を買ってしまいました。 豆乳を凍らせて、マンゴーソースと練乳をかけると美味です。

ツィッターとフェイスブックそしてホリエモンの時代は終わった

高校生ツィッタラーとして知られていた梅崎健理氏の著作。現在は慶應大学SFCを休学して、歌舞伎町で起業中。彼自身の経験談はおもしろいが、一般論としては常識に類することしか書かれていない。

差異とは何か

船木亨氏が自分の言葉で語った哲学。「差異」とは何かというタイトルだが、畢竟、この命題に対する回答は与えられないのだ。それは「差異は本質をもたない」から。

帝国の構造

柄谷行人氏が、世界史の構造で提起した問題をよりクリアにするため、帝国に焦点を当てて論じたもの。特に日本を「亜周辺」ととらえる第7章が興味深いのだが、悪い言い方をすると、これまで「共同体」「国家」「市場」と言われていた部分を、柄谷氏の言い方…

本当は間違っている心理学の話

副題に「50の俗説の正体を暴く」とあるように、例えば「左脳人間と右脳人間がいる」「モーツアルトで子どもの知能は向上する」「夢には象徴的な意味がある」など。一般に何となく受け入れられている50個のテーゼが、学問的には間違いであることを説明する…

つながりを煽られる子どもたち

土井隆義・筑波大学教授の著作。土井氏の本には興味深いものが多い。本書は薄いブックレットだが、現代の豊かな社会に生きる子どもたちの苦しさが活写されている。私も学生と接する中で薄々気づいてはいたが、彼らはとにかく、仲間との関係を、よく言えば大…

刑事司法統計入門

犯罪捜査がいかに行われ、起訴され、判決が言い渡され、そして、刑務所に収容された人はその後どうなるのか。こういった事柄について、実際のデータを細かく紹介する。ちょっとデータは古くなってしまったのだが、たとえば序章で、2006年の刑法犯認知件…

電子立国は、なぜ凋落したか

まず冒頭の第1章で、日本の電子産業がもはや見るかげもなく凋落してしまったことを統計的に知らされる。2000年には自動車産業と電子産業はほぼ肩を並べていたが、前者が伸びたのに対し、後者は巨額の貿易赤字をたたき出してしまっているのである。なぜそう…

現代アメリカ映画研究入門

トマス・エルセサーとウォーレン・バックランドという、映画研究を主導する2人が書いた理論書。素晴らしい。ダイ・ハードを初め、チャイナタウン、羊たちの沈黙などを詳しく論じ、目からウロコが何枚も落ちた。

マレーシア航空機はなぜ消えたか

いまだに謎が多く残る、今年3月に起きたマレーシア航空MH380便(クアラルンプール→北京)失踪事件。本書は日航で機長を長く務めた著者が、その経験から、巷間言われているような仮説の一つ一つ検討してその可能性を消してゆき、最後に、機長が政府に政…

池上彰のメディア・リテラシー入門

テレビで活躍中の池上彰氏の本を初めて読んだ。本書は氏が経験から語っていることがほとんどで、体系的なものではないが、テレビ製作の裏側などは垣間見える。増田ユリヤ氏の解説の文章とはちぐはぐしている。

ヒストリー・オブ・バイオレンス

店内に入ってきた強盗2人組を見事に撃退した店主トムのもとに、昔のギャング仲間と称する男たちがやってくる。トムは、人違いだと言うのだが、妻エディは、夫の過去を知らないこともあり、疑惑が広がってゆく。本職のギャングが「弱すぎる」のがちょっとお…

知性を鍛える大学の教養数学

「大学の教養数学」というタイトルだが、実際の中身は高校の数学3の範囲だと思う。基本的な例題と、それを応用した類題があり、親切なつくりとなっていて、微積分の基本を短時間でやりなおしたい人には好適と言える。

ポピュラー音楽の社会経済学

高増明・関西大学教授を中心に、若手研究者2人が執筆に加わり、ポピュラー音楽を産業、著作権、歴史、音楽としての構造など複数の観点から解明する。この本は一つのスタンダードになるのではないか。音楽が無料化していく中で、「音楽税」という考えはおも…

パーソナルデータの教科書

野村総研の上級コンサルタントが書いた、個人データに関する企業向け解説書。ビッグデータやパーソナルデータに関して、野村総研が必死にビジネス化しようとしていることがよく分かる。

東京大学の学術遺産 捃拾帖

本草学、博物学などに活躍した明治の偉人の一人、田中芳男(1838−1916)は、「捃拾帖」という膨大なスクラップ帖を残し、それが東大総合図書館に寄贈されているのだが、それを紹介したのが本書。引札(広告)、メニュー、パンフレット、チラシ、切符…

メカニズムデザインと意思決定のフロンティア

慶応大学で行われた連続講座「意思決定とメカニズムデザインのフロンティア」での講義の単行本化で、若い執筆者が多い。やはり理論経済学は、数学と並んで若者の学問なのだな、と思う。オークションやインセンティブ、シグナルに関する話題。第七章の滑走路…

ロード・トゥ・パーディション

町を牛耳るギャング(ポール・ニューマンが演じる)の困った息子コナーは、私腹を肥やしながら、その秘密を知る者を殺していた。ギャングに可愛がられて殺しなどを引き受けていたマイケル・サリヴァン(トム・ハンクス)も、コナーに嫉妬され、妻と息子の一…

クラウドからAIへ

これは良書。AI(人工知能)研究は一度停滞したが(第五世代コンピュータの失敗などはその典型)、近年、ビッグデータとともに復活してきた。本書は、新たな人工知能研究の特質と、それがITビジネス界に与えた大きなインパクト(例えばアップルはSiriを…

filmmaker's eye

映画の構図やカメラワークを、実際の映画作品を基にしながら詳しく解説する。美しい写真が多くて、眺めているだけでも飽きない。いかに一つ一つのショットをいい加減に見ていたかを思い知らされる。

つながる/つながらないの社会学

早稲田大学大学院出身者たちが集まって作った論文集。コミュニティや個人化、無縁社会化、メディアなどの視点から、各論者が自由に論じている。つまらない章もあるが、通読して損はない。

1985/写真がアートになったとき

なぜ1985年なのか、タイトルだけからは分からなかった。この年に、筑波科学博に合わせる形で、筑波に日本初の写真美術館「つくば写真美術館」が、期間限定で開館したのだ。本書は、その関係者へのインタビューを中心に、この美術館が果たした役割を詳し…