障害者用駐車スペース

*[ショートショート]障害者用駐車スペース

 茶髪の若者が、駐車場の障害者用駐車スペースにクルマを停めて、さっと建物に入ろうとしたところを、中年の、恰幅の良い警備員が呼び止めた。
警「君、そこにクルマを停めてはだめだよ、障害者用だから。車椅子の絵が描いてあるだろう?」
若「僕は障害者なんです」
警「ウソだ。どこも悪く見えないよ」
若「さあ。どこが悪いでしょうか?」
警「君とクイズをしてる暇はないんだ。あっちの遠い第三駐車場はまだ空いているから、そちらに移動しなさい」
若「回答時間、あと5秒です」
警「だから、クイズをしてる暇はないんだって」
若「はい終了、正解は、頭が悪い、でした」
警「はあ?」
若「だからあなたの言っていることも分かりません。僕は知的障害者です」
警「ふざけんな。わかってやっているんだろう?いい加減にしなさい」
若「何言ってるか分かりません」
警「そんなふざけると、足を折って障害者にしてやるぞ」
若「僕はこのビルのオーナーの息子だ。クビにしてやる」
警「冗談ですよ」
若「こちらも冗談さ」
警「この野郎」