2016-11-01から1ヶ月間の記事一覧

映画という物体X

近代美術館フィルムセンターの研究員の方の著書だが、夢中で読み進めてしまった。面白い。アーカイブとしての映画が主題だけれど、映画を考え直すために必読だと思う。物質としてのフィルム映画は「爆薬の上に牛の体内物質(ゼラチン)を塗りつけたもの」1(p…

カラスと亀と死刑囚

哲学でよくパラドクスと言われる問題を解説した書だが、著者の哲学に対する姿勢というかバランス感覚は優れていると思う。かつて体育系だったからだろうか?

アメリカ映画史におけるラジオの影響

早稲田大学に提出された博士論文。体裁も論文をそのまま綴じたような簡素なつくり。1920年代を中心に、映画とラジオというある意味ニッチな領域を全面展開。148ページの「キャサリン・ヘッ」というのは「キャサリン・ヘップバーン」のことですよね?

翻訳のダイナミズム

翻訳がいかに科学の伝達に貢献したか、ギリシア語からアラビア語を経てラテン語という軌跡はよく語られるが、本書では第二部で日本語への西洋科学の翻訳をテーマとして扱っており、日本人としてはうれしい。もっと翻訳を業績として高く評価してくれないかし…

2666

ボラーニュの遺作。謎の作家アルチンボルディをめぐって展開する、壮大な五部の連作長編を一冊にまとめたため、2段組で850ページを超える大部の本となっている。メキシコを舞台とする女性の連続殺人(数十人が殺される)は、土地勘がなく、また、次々と…

成瀬巳喜夫 映画の面影

川本三郎氏が新潮45での連載を本にしたもの。何とも言えず記述がゆるく、また繰り返しも多い。ハッとさせられるような驚きがない。どうにも物足りないが、これでいいのだろうか?

AI時代の勝者と敗者

人工知能によって大量失業が起きるのか、それとも人間にしかできない仕事が増えるのか、議論は尽きないところだが、本書もその問題に一石を投ずる。人工知能時代にいかに自分の仕事を守るのか、簡単に言えば、自動システムができない、やりにくいところや、…