2016-03-01から1ヶ月間の記事一覧

「反戦・脱原発リベラル」はなぜ敗北するのか

反安保法や反原発を訴えるデモ・運動などが自己満足に終わりがちである点を批判し、より実効性のある(といっても、随分と不謹慎な提言も出てくるが)戦略を「伝授」する。浅羽さんってこんな芸風だったっけ?

凶鳥の黒影

中井英夫へささげるオマージュとあるとおり、17人の作家が中井にささげる短編小説もしくはエッセイを書いている(中井自身の晩年の傑作「黄泉戸喫」も収録)。やっぱり中井と言えば薔薇なのか。晩年の協力者だった写真家・本多正一による回想も美しい。

危機に立つ国立大学

現在国立大学を苦しめている「ミッション再定義」のみならず、歴史を振り返ることで国家による国立大学統制のありさまを小著で要領よく解説してくれる。国立大学法人法の抜本的改正を提言。

「日常の偶然」の確率

イギリスの作家が、スポーツやギャンブル、事故や犯罪といった事象の確率について解説した雑学書。もう少しアカデミックな味付けがあればより面白くなったと思うのだが。

ルポ塾歴社会

私は子どもがまだ小さい(1歳、0歳)ので、近年の塾の事情についてはまったく疎かったのだが、こんなことになっていたのか。中学受験界に君臨するサピックス、東大や医学部などに強い鉄緑会の二つについて、関係者への取材によって実態に迫る。こうした塾…

今どきコトバ事情

「スクールカースト」「草食系」「逆ギレ」「自宅警備員」など、現代社会のありさまを現す新語55語を、主として社会学者が4ページずつ解説。本を読みなれていない人にもすぐ読めます。

例外小説論

著者によれば例外小説とは、「これは小説なのか?」と思わず問うて・疑ってしまうような小説であると言う。小説の枠組みを壊したり拡張したりするような小説のことだろうが、もし小説が芸術の一種であるならば、むしろそれは必須のことがらと言えよう。現代…

娘が誕生しました。責任重大です。娘が二十歳になったら私は七十歳(涙)。

ニッポンの音楽

1960年代から現代の音楽を、はっぴいえんど、YMO、小室哲哉、フリッパーズギター、中田ヤスタカを中心として述べる。特にハッピイエンドとYMOについては私もはまった一人なので、楽しく読めた。小沢健二が社会運動の方に行っているとは知らなかっ…

スーパーヒューマン誕生!

「人間拡張工学」の解説書。義肢などの補綴技術のみならず、テレイグジステンスや分身ロボットなど、人間の生活を大きく変える可能性を持つ。一番驚いたのは外から透明に見える服や車体(工学迷彩技術)なのだけれど。

「文系学部廃止」の衝撃

日本を代表するメディア学者の一人である吉見先生が、大学論といった主題にエネルギーを割くことが良いことかどうか私には判断がつかないけれど、本書が大学人・知識人のみならず政策担当者や実業家にも広く読まれるべき有益な著作であることは間違いない。…

自由のジレンマを説く

これは良書。人質事件の際によく言われる「自己責任論」がいかにねじくれた言説なのか明解に解き明かす。また、コミュニタリアンとリベタリアンの「野合」?にも鉄槌を下す。大塚久雄に対しても容赦ない。

ゴダール原論

タイトル通りゴダール論だが、主として近作の『さらば、愛の言葉よ』が論じられる。是非ともこの作品を見たくなったのだが、3Dなのはブルーレイのみなのか。ブルーレイを買うか。

キャラの思考法

キャラ論ではあるのだが、まとまった論考ではなく、『ユリイカ』に散発的に掲載された原稿をまとめたもの。マンガを対象にした論が多く、私は読んだことのない作品が大半を占めている。

偉大なるアンバーソン家の人々

「市民ケーン」と並ぶオーソン・ウェルズの代表作。わがままな一人息子の代に名家が没落して行くさまが描かれる。もっとも、漫然と見ていると、いったいどこが凄いのか分からないのだが・・・

教養としての認知科学

これは良書。東大や青学での長年の認知科学の講義を基にした教科書で、記憶や思考についての基礎知識を得ることができる。犯罪報道によるヒューリスティック誤作動についての解説もある。

「うましうるわし奈良」の10年

JR東海の奈良キャンペーンの集大成。美しい仏像や風景写真に心なごむ。イラストによる仏像解説も。

反メディア論

青木理、森達也両氏による対談。死刑制度や公安、権力とメディアの関係などがテーマ。「公安調査庁なんて無能の集団ですからね」(p.87)さもありなん。

キューバ危機

今でも「キューバ危機」は、国際政治学なりゲーム理論なりで頻繁に取り上げられる事例であろう。本書はキューバ危機についての、新たな基本書の位置を占める。

統治の条件

民主党政権はどのような特徴があり、なぜ「失敗」したのか、若手政治学者たちが精緻に分析した著書で、読み応えがある。特に、どのような議員を大臣や副大臣に登用したのかの分析は、おそらくは首相が無意識のうちに行った判断をも明るみに出すだろう。

魔法の世紀

著者はメディア・アーティスト。「映像の世紀」20世紀に対して、リアルとバーチャルの対比構造がコンピュータによって乗り越えられる21世紀を「魔法の世紀」と呼んでいる。興味深い個所はあるが、作品に触れないと隔靴掻痒の感もある。

「人文学」という思考法

民俗学を専攻する著者による、バラエティに飛んだ論文集。エスノメソドロジー論文の読解から、巡礼研究書の書評、「「私」とは何か」まで。サル研究や、網野善彦の無縁論も出てきます。

村上隆の五百羅漢図展

先月森美術館で見に行った展覧会の図録。もちろん現物を見るのが一番良いのだが、本書も、辻惟雄との対談や中野京子の論文など充実しています。

殺しの後にタンゴを

主人公は精神分析医の女性だが、ふとしたことから人を殺してしまう。殺した男は警官であった。その警官の妻や同僚と親しくなる中で、その警官の隠された顔を知ってしまう。意外な結末に驚く傑作。

おみやげと鉄道

日本のおける「おみやげ」文化は、著者が指摘するように確かに独特で、自分のためという色彩の強いSouivenirと同一視できない。本書は多くの具体例を交えて、鉄道文化の中のおみやげを解き明かす異色の歴史書。鉄道ファンにおすすめ。

歴史のゆらぎと再編

岩波講座「現代」の第5巻。玉石混交の論文集。米英のユネスコ脱退は、「新世界情報秩序」だけでなく、「ユネスコ アフリカの歴史」の公刊も大きな要因であったことを教えられた(第7章)。輪島裕介氏による音楽史も興味深い。

朝日新聞の逆襲

日本でもっともマシな新聞は朝日であると主張し、朝日を批判する「論客」を切って捨てる著作。それはまあその通りかもしれないが、文章が分かりにくく読んでいてイライラする。

細胞の分子生物学

定評ある大学向け教科書だが、とにかく分厚い。内容は充実しており、練習問題も豊富だが、とても問題までは手が回らない。なぜバイアグラが効くのかから、なぜガンが発生・増殖するのかまで、きちんと書いてある。終わりの数章は、分厚くなりすぎるという理…

写真は魔術

この写真集は素晴らしい。まさに眼福だろう。写真というツールをマジック的に使ったアーティスト80人の作品を紹介。

シフト

短編小説仕立ての部分は面白いが、全体的にはよくある未来予測書。