2015-05-01から1ヶ月間の記事一覧

セックスと恋愛の経済学

女性経済学者が、セックスや恋愛の問題に経済学の立場から切り込むもの。経済学者は、経済以外の問題についても、まさにあられもない実質を露わにする「露悪的」な書き方を好むものだね。

信濃町で開催されていた、谷川千佳「ゆめにさまよう」展を鑑賞。谷川氏は、私のゼミの出身者だが、もちろん私がイラストや絵を教えたわけではありません。お昼を食べて、新幹線で姫路に戻る。

地震難民になる

午前中、筑波大学大学院で非常勤。午後は横浜美術館に行き、イメージフォーラム・フェステォバルの横浜特別プログラムを鑑賞。石田尚志氏が、自らに影響を与えた映像作品を紹介するもの。 さて、横浜から姫路に帰ろうとしたところで、地震が発生。私はちょう…

情報を生み出す触覚の知性

視覚や聴覚と比べて、触覚という感覚は扱いにくいものだと思うが、研究は盛んに進められている。本書でも興味深い研究が紹介されているが、中でも面白いのは「心臓ピクニック」。他人と心臓の鼓動を「交換」することができる装置。確かに、心臓のかけがえの…

沖縄の人とブタ

沖縄では盛んにブタが食べられるが、他方で、ブタの臭いを忌避する人もまた多い。それはどのように生じたのかを、人類学的に探究する書。筑波大学に提出された博士論文。

現代アラブ・メディア

日本人がアラブのメディアについて書くのは、なかなか資料収集だけでも大変だと思うけれど、その任によく応えた書だと思う。京都大学に提出された博士論文。

検索の新地平

角川の「インターネット講座」の第8巻。この講座の中では中身のしっかりした巻であると思う。特に画像・映像検出の検索についての話はワクワクする反面、おそろしさも感じる。

殺人ザルはいかにして経済に目覚めたか?

なぜヒトは「協力」して経済を営めるようになったかのか、がテーマの分厚い書。最初の方にこんな「クイズ」が出てくる。 六、七〇〇万年の進化の過程で、平均的に子供はその親と比べてわずかながら知的に劣り続けてきた。第二に、同じ期間を通じて、それぞれ…

グロリア

ギャングの会計係が仲間を裏切り、使い込みをした上に捜査機関に密告をしたため、見せしめのために本人、妻、娘は殺されてしまうのだが、まだ6歳の息子だけは、妻の友人で近所に住むグロリアのところに預けられて逃げ伸びた。しかし実はグロリアは、まさに…

常磐線中心主義

上野、柏、水戸、泉、内郷、富岡と、常磐線の駅を辿りながら、その地域の抱える問題を浮き彫りにしてゆく。特に泉や内郷といった、いわき市内の記述が私には面白かった。広域合併のさきがけであるいわき市の事例は、平成の大合併を考える上でも今だに参照す…

山村政策の展開と山村の変容

タイトル通り、山村での政策に焦点を当てたもので、東白川村や旧・水窪町(浜松市に合併)の事例を興味深く読んだ。

開かれたテレトピアへの道

電電公社の歩みを振り返る非売品。コラムを、佐々木信也とか今井通子とか、「ちょっと前の有名人」が書いていて懐かしいな。

「平成の大合併」研究

いやあ、本が大きくて厚い。「平成の大合併」について各県の解説をし、その後に一般的な特徴を述べる。私のようなマニアックな人間にはすこぶる面白い。

残酷な20年後の世界を見据えて働くということ

著者は元興銀マンで、投資銀行でキャリアを磨いた。若者に対するアドバイス本なのだが、正直なところ、著者と同じようなキャリアを目指す人以外には大して有用ではない。

俺にさわると危ないぜ

都筑道夫の名作『三重露出』が原作だが、話は思い切って単純にしてある。「三重露出」は、ある種の叙述トリックを使った、まさに文章上のミステリなのだが、この映画は小林旭を主人公にして、単なる忍者アクションにしてしまっている。

イメージフォーラムフェスティバル2015京都

イメージフォーラムフェスティバル2015京都会場(京都シネマ)へ。 http://imageforumfestival.com/2015/日本アニメ1 なぐさめのとき 外山光男/デジタル/8分/2014 天使モドキ 中村智道/デジタル/13分/2014 MASTER BLASTER 冠木佐和子/デジタル/4分…

日本語に生まれて

中村和恵・明治大学教授が、世界各地の書店をめぐりながら考えを書いたエッセイ集。まあ日本がいかに恵まれているか分かるのだが、本書の中では反・原発も大きなモチーフとなっている。

思想としてのミュージアム

村田麻里子氏の博士論文の改稿。日本における博物館の通史として、興味深く勉強させてもらった。

ヒット&ラン

本書の主役は、ハリウッドでのしあがった2人、ピーター・グーバーとジョン・ピータース。グーバーの方は学歴エリートであるが、ピータースは女優の髪結いからのしあがってきたまさにたたき上げ。この2人が実務に疎いにもかかわらずいかに振舞って「大物」…

デジタル・アーカイブの最前線

東日本大震災の記録を残すなど、各地で行われているデジタル・アーカイブの試みを紹介する。日本において、公文書の保存がいかに軽視されてきたかということもきちんと指摘されている。

コンピュータは数学者になれるのか?

数学基礎論とコンピュータ科学をめぐりながら、「証明とはプログラム」であることを論証していく。ゲーデルが大きな役割を担っているのは当然だが、本書においてはゲルハルト・ゲンツェンの証明論も主役。ただ結構難しい。

キリギリスの哲学

イソップ物語「アリとキリギリス」のキリギリスが、自分の生き方を正当化する哲学を、弟子に対して開陳するのが主たる筋だが、次第に話は、人生はゲームなのかという問いに行き着く。哲学書としては抜群に面白い。どのくらい面白いかというと、日本で言えば…

もういちど読む世界現代史

山川出版社の「もういちど読む」シリーズ最新刊。タイトルは「世界現代史」となっているが、帝国主義の時代から第二次大戦時代までが中心で、一般の教科書より一段深く掘り下げてあるが、1970年代以降はほとんど駆け足状態なところは残念。

リスクに背を向ける日本人

『信頼の構造』などで著名な山岸俊男教授と、その研究仲間であるハーバード大学社会学部長のメアリー・ブリントン女史の対談。なぜ日本人がリスクを避けたがるのか、それはもともと協調的なのではなく、リスクがあまりにも高く、また、監視されている前提で…

政治を語るフレーム

有権者の政治観について、量的研究と質的研究を組み合わせた博士論文だが、私にはあまり・・・

表現者のための憲法入門

ムサビの憲法の先生が、特に表現者のために工夫した憲法の教科書。とはいえ、美大生に読ませるには参考文献が多過ぎて引かれるのではないかな。この一冊で完結していないと。

オフ・ザ・マップ

地図から消されたアスベストの町ウィトヌーム(オーストラリア)、本当はないのにグーグルアースも騙されていた太平洋の島「サンディ島」、エジプトもスーダンもどちらも欲しがらない土地ビル・タウィールなど、世界から隔絶された特殊な土地の話を扱う。地…

メディア考古学

フィンランド生まれで、UCLAのメディア・アートの教授をしているエルキ・フータモ氏のオリジナル論文集。訳者はUCLAでフータモ教授に師事していたそうだ。第一部「理論編」では、メディア考古学に関する理論的な探究や文献紹介が、第二部「実践・架…

トランセンデンス

クリストファー・ノーラン総指揮で、テロで命を落とした人工知能研究舎(ジョニー・デップ)が、妻と友人の助けを借りて、人工知能の中に自らを移植し、機械の中で生き返る。が、病者を直して組織化(ネットワーク化)するその行動が暴走とみなされ、テロリ…

ブンミおじさんの森

マジック・リアリズムというのか、死者がよみがえり、人間が幽体離脱する。主人公の私は、ブンミおじさんの農場にやってきた。病気でもはや余命いくばくもないブンミおじさんは、亡妻の妹を呼び、農園を継いでくれるように頼むが、その食卓に、亡妻が現れ、…