2011-02-01から1ヶ月間の記事一覧

「離島の地域情報化政策」もうすぐ発売です。 http://www.amazon.co.jp/dp/4779302587/akehyondiary-22

アイドル進化論

社会学者・太田省一氏のアイドル論。太田氏は私より五年年長だが、アイドル経験としてはかなり重なっているところがあり、歴史として懐かしく読んだ(「水野あおい」というアイドルは知らなかったが)。学問としてどのくらい意義があるのかは、よく分からな…

セレブ・モンスター

夫バラバラ殺害事件の三橋歌織容疑者の心に迫る力作ルポルタージュ。被害者となった夫にももちろん悪いところがある(暴力、酒乱、浪費)のだが、空虚な心を抱えた二人が出遭ってしまったことが、まさに「小説のような」悪縁だったとしかいいようがない。暴…

統計数字にだまされるな

こちらの本は逆に易しすぎて、得られるものがなかった。高校生か、大学初年度生が読むにはよいかもしれない(だが、事例が欧米のものなので、その点での分かりにくさも残っている)。

絶対数学

「絶対数学」というよく分からない名前に惹かれて字面を追ってはみたものの、残念ながら私の理解力を超えていた。素人の数学好きにはキツすぎる。

私の夫はマサイ戦士

カッコいいマサイ族男性の「第二夫人」となった、ケニア在住日本人ツアーコンダクターの手記。それ以前には都市在住のケニア人運転手と結婚して痛い目に遭うなど、なかなか奇抜な人生を送っている人だ。マサイ族の人たちも、決して伝統を墨守しているだけで…

転校生とブラックジャック

日本では数少ない本物の哲学者である永井均氏の著作で、先生と学生たち(学生Aから学生Lまで12人も出てくるのでやや混乱するのだが)との対話という形を取っている。パーフィットの「火星への転送」論や、手塚治虫の「転校生とブラックジャック」(まさ…

フェイスブック

実は原書をキンドルストアで買って半分近くまで読んでいたのだが、邦訳に乗り換えた。何と言っても日本語の方が頭に入る。タイトル通り、フェイスブックのあゆみを描いた本なのだが、創業者のザッカーバーグはやっぱりすごい。マイクロソフトのビル・ゲイツ…

都立小石川高校、東京大学、東京大学大学院の同級生で、専門は違うが同じ大学教員になっていた堤玄太氏(帝京大学)が昨年末に亡くなっていたことを、今日になって以下のブログで知った。 http://d.hatena.ne.jp/sekiya_itiro/20110103/1294066186 高校時代…

ガラスの巨塔

プロジェクト?のプロデューサを務めた著者が、自らの経験を基に書いた小説。自らを美化しているところはあるのだろうけれど、それでもNHK幹部連中の嫉妬心はすごい。受賞歴の多い著者をひきずり下ろそうと、スキャンダルさえ画策するのだ。最後の万引き事…

The Breakup 2.0

このタイトルからは何の本か分からないかもしれない。実は、恋人同士や夫婦などが別れる際に、いったいどのようなメディアを使うのか、そして、フェイスブックなどのソーシャルメディアにおいて、友人たちにその別れをどのように伝える(もしくは伝えない)…

日本語の古典

新書の形態で手軽に楽しめる、日本の古典文学。「古事記」から「春色梅児誉美」まで30作品を、1作品6−10ページ程度で解説するもの。私はどちらかといえば古典はよく読んでいる方だと思うけれど、「うつほ物語」「落窪物語」「大和物語」「堤中納言物語…

「正義」を考える

大澤真幸氏の新刊。功利主義、リベラリズム、コミュニタリアンといった「正義の理論」を論ずるもので、社会学というより哲学や文芸批評の方に近づいている感がある。アリストテレスやサンデルを「上から目線」で批判するのが小気味よい。例えばアリストテレ…

暴走する「地球温暖化」論

地球温暖化問題への懐疑論の一つ。武田邦彦、池田清彦、渡辺正、薬師院仁志といった執筆者の人々の本は読んだことがあるので、私にとってはあまり目新しい情報はなかった。新鮮だったのは、岩瀬正典氏の製鉄論(日本の製鉄技術の高さと、中国の製鉄産業のエ…

レクイエム・フォー・ドリーム

麻薬を中心に、人間が「中毒」を起こしていくさまを見据えたダーレン・アロフスキー監督作品。母はテレビ出演を夢見てダイエット用の薬にはまり、息子は恋人との新生活を夢見て麻薬の売人になって破滅への道をひた走る。はっきり言って救いはない。映像技術…

日本人の死因(2010年版)

たまたま図書館で眼についたので借りてみた(実際にはもう2011年版も出ているようだ)。中身は、2008年の日本人の死因を分析したもので、厚生労働省の「人口動態統計」では、1位肺炎(10.1%)、2位脳梗塞(6.7%)、3位肺がん(5.9%…

毎日新聞ニュースより キャンドゥ:城戸社長が病死 マンションで死後数日 100円ショップを展開する東証1部上場のキャンドゥ(東京都板橋区)の城戸博司社長(61)が港区の自宅マンションで死亡していたことが21日、警視庁三田署への取材で分かった。…

襲われて

NHKを退職後、請われて縁のあった岐阜県御嵩町の町長に担がれた柳川喜郎氏の著作。前町長が推進していた産業廃棄物処分場建設工事に、木曽川が汚される懸念から慎重に対処していたところ、(おそらく)業者の意を受けた暴漢2人に殴られ、瀕死の目に遭う…

A Private Sphere

Polity PressのDigital Media and Societyシリーズの一冊。公(Public)と私(Private)に関する議論を(あくまで簡単にだが)辿りなおし、現在のデジタル社会、情報社会の中で広がっている私圏(Private Sphere)の性質について述べる。六章構成だが、章ごとに密…

物語論の情報学序説

両者とも「物語論」に属するものと言えるだろうが、中身は大きく違っている。高田明典氏の書いた前者が、実用に耐えうるような、明晰な理論を伝えることに主眼を置いているのに対し、後者(小方孝氏と金井明人氏の共著となっているが、実質的には小方氏の著…

物語構造分析の理論と技法

近所の姫路文学館に妻と出かける。岸上大作展。この夭折(若くして自殺した)歌人について、私は名前くらいしか知らなかった。姫路の郊外、福崎に生まれ、幼時に父親を戦争で亡くす。母は極貧の中で代作を支え、東京の国学院大学に出す。大作も期待に応え、…

日本語と時間

詩人としても名高い国文学者の藤井貞和氏の新書。古典文法から、日本語のなかの時間感覚を論じる。文法というと、所詮暗記物との印象が強いが、そうではなく、生きているもの(本書の表示法では「こと」というべきか)だとよく分かる。著者は「き」「けり」…

誰が科学技術について考えるのか

科学技術の進歩が現代社会に大きな影響を与えていることは論を俟たないだろうが、では、科学技術にまつわる政策を誰が決定すべきなのだろうか?民主主義においては、一般の人々というのがタテマエ上の答えだが、実際には(特に日本では)、官僚機構が行って…

風邪気味で体調が悪い。朝の会議は連絡して休ませてもらった。家で休養していたら午後には大分ましになったので、夜の、金子教授の講演会には顔を出すことにした。統計学の話で非常に有益だった。

メディア用語基本事典

多数の著者が分担執筆したメディア用語事典で、勉強になる項目もあるが、いささか問題含みではないかと思われる項目もある。 例えば「情報格差」。「情報をもつ者とそうでない者との間のギャップが社会階層の格差につながること」という説明は、勇み足という…

治安政策としての「安全・安心まちづくり」

憲法学を専攻する著者が、警察が後押しして進めている「安全・安心まちづくり」政策のこれまでの経緯や問題点を詳しく解説する。1990年代から進められてきた「地域安全活動」や、オウム真理教事件、96年から2002年までの刑法犯認知件数の増加(も…

私は普段さほど忙しい人間ではないのだが、今日は昼飯を食べる時間もとれないほど慌しかった。朝から晩まで修論・卒論発表会で拘束されるのは当然としても、その昼休みを完全に覆う(というかはみ出す)形で某委員会に拘束されたためだ。 あまり詳しいことは…

孫正義が語らないソフトバンクの深層

ソフトバンクという会社は、よくも悪くも孫正義という経営者の個性にひきつけられて語られる傾向にあったが、本書はソフトバンクの収益の出し方を、孫以外の幹部社員に焦点を当てて語る。具体的には名古屋めたりっくを設立した宮川潤一、生え抜き社員の一人…

津山三十人殺し事件の真相

横溝正史の『八つ墓村』のモデルとして有名な「津山三十人殺し」は、1938年に起きた事件であり、まさか70年以上もたってそれについての新刊が出るとは思わなかった。期待せずに読み始めたが、やや冗長な感はあるにせよ、面白かった。著者の石川氏は、…