2014-03-01から1ヶ月間の記事一覧

カルトムービー 本当に面白い日本映画 1945→1980

脚本家の桂千穂氏が、1945年から1980年までの、面白いと思う日本映画を154本紹介する。正直なところ、見ていない映画がほとんどなので、好奇心をそそられる。桂氏の好みなのか、最初は弱かった少女がたくましく成長する物語などが多い。 ちょっと残念なのは…

息子の出生届を市役所に出しにいった。これで一人の人間として国家に認められたということか。

ユーミンの罪

著者の酒井順子氏(エッセイスト)は、私とほぼ同世代にあたる。本書は小説現代に連載された「文学としてのユーミン」を加筆訂正してまとめたもの。1973年の「ひこうき雲」から、1991年の「DAWN PURPLE」まで、ユーミンの歌詞を中心に(文章で論ずるのだから…

生命保険入門

ライフネット生命の社長を務める出口治明氏の著作。理論的な話から始まり、上手な生命保険の活用法まで、内容豊富である。「死差益」「利差益」「費差益」といった専門用語の解説も分かりやすい。但し残念ながら、本書にも書かれている通り、生命保険会社は…

若者を殺し続けるブラック企業の構造

タイトル通り、ブラック企業の悪を告発し、なぜそのような長時間労働が起こるのかという構造についても記述があるが、情報の質としては、たいていはどこかで書かれているようなことで新奇性に乏しく、読書家が新たに読む価値はあまりない。この問題を知らな…

大衆社会の処方箋

これはいろいろな意味で面白い。著者は、京大教授で、公共投資の増額(国土強靭化など)を主張する藤井聡氏が中心。藤井氏が西部邁の表現者塾に属していたとは知らなかった。 何が面白いのか。オルテガの「大衆社会論」や、ハイデガーの「本来的時間性」など…

芸術・メディアの視座

映像と音楽を学ぶ人へのアート・スタディーズというのが副題で、「写真」「映画」「音楽」「マルチメディア」の4部構成。日大芸術の大学院の出身者、関係者が12人で執筆しているのだが、内容はなにか中途半端というのが正直な感想。例えば「ゾートロープ…

病院で、はじめて息子をお風呂に入れた。意外に重いし、とても緊張する。

ドーナツを穴だけ残して食べる方法

東大駒場の教員たちが、『知の技法』でヒットを飛ばしたのは既に20年前のこと。本書はドーナツという特殊なテーマから、大阪大学の教員たちがそれぞれの知を紹介する新たな「知の技法」と言えるかもしれない。うらやましいのは、本書は大阪大学の学生が自ら…

世界は2乗でできている

小島寛之氏の数学エッセイの一冊。フィボナッチ数と平方数の関わりや、フェルマーの定理、カイ二乗分布など、数学や物理の幅広い分野にいて、平方数が果たしている「役割」が、分かりやすく語られている。

Image Studies

昨年出版された、映像論・映像研究の新しい教科書でよくまとまっている。美しい図版多数。章立てを試訳すると以下の通り。1.記号論を超えて 2.映像の理解 3.映像とテクスト4.絵画 5.写真 6.視覚文化 7.科学映像 8.映像と情報 9.おわりに著…

今日は卒業証書授与式および謝恩会。今年度の卒業学年とは、あまり深い付き合いができなかったことが心残り。 妻と息子はまだ病院。産後五日間は入院するそうだ。

48歳にして子ども(長男)が生まれました。大変な難産で心配しましたが、母子ともに健康です。責任重大ですね・・・

現代三角関数論

「2重三角関数」とか「多重三角関数」といっても、普通の人にはちんぷんかんぷんだろう。私もそうだった。本書はこの「多重三角関数」を紹介するものだが、はっきり言って極めて難しい。何とか最後のページまでたどりついたが、理解できたかどうかおぼつか…

災後のメディア空間

京大の佐藤卓己さんが、2012年4月から担当した論壇時評の記事をまとめたものが中心で、同時期に他の媒体に書かれたものも併収されている。東日本大震災のもたらした問題をわれわれは解決できていないのに、急速に忘却し、「日常」へと回帰しつつあるこ…

新しい火の創造

著者は「ロッキーマウンテン研究所」という独立型研究所の創設者。本書は、いかにして化石燃料(石油、石炭など)への依存から脱却するのか、その道筋を描く本で、「運輸」「建物」「産業」「電力」など、分野別に具体案が述べられている。脱原発したとして…

田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」

著者は経済学者の息子として生まれたが、若い頃は反抗、人より数年遅れて千葉大学園芸学部に学び、30歳で「有機農産物の卸会社」に入るも、その産地偽装や欺瞞に耐えられずに奥さんと共に寿退社して、自らパンを製造して売ることに決める。その修行時代、…

桐谷さんが教えるはじめての株主優待

「桐谷さん」って、桐谷美玲かと思ったら、将棋七段のおっさん(失礼)で、Wikipediaを見ると婚約者を2回も寝取られるなど壮絶な人生を送っているらしい。本書はその桐谷さんの「株主優待生活」の紹介だが、はっきり言ってうらやましくないなあ。確かに株主…

<世界史>の哲学 東洋編

大澤真幸氏が『群像』で連載を続けている、<世界史>の哲学の東洋編。本書の大きな主題は、なぜ中国やインドが西洋に負けたのか。マックス・ヴェーバーや真木悠介、柄谷行人などの著作を意識しつつ、大きな謎に挑む。ある具体例や、ある作品などから挙げて…

絶望の裁判所

元裁判官《現在は大学教授)が、裁判所の病巣を描く。目次にイヴァン・イリイチとあるので、「脱学校」「脱病院」の思想家のイリイチかと思ったら、トルストイの小説の方だった。特に裁判官たちの統制がどんどんと厳しくなって、ブルーパージ(青年法律家協…

Mad Science

副題に「炎と煙と轟音の科学実験54」とある通り、本書で解説されている実験のほとんどが危険なものである。のっけから、劇物のナトリウムと、塩素を使って、無害の食塩(塩化ナトリウム)を作るというもの。こんなつくり方をしなくてもいいじゃないか(笑…

価値の帝国

マルクスを使いながら、いわゆる近代経済学における「価値論」を批判するものだが、貨幣自体の価値を言うのなら、「守銭奴的動機」を定式化して近代経済学の図式にはめこんだ小野善康氏の業績の方が私は優れていると思うな。金融論、流動性論にも新しさは感…

コミュニケーション学がわかるブックガイド

東京経済大学コミュニケーション学部の方々が書いた、コミュニケーションに関する良書の紹介。古典から新刊まで幅広く、128点が紹介されている。意外なところでは、『古今和歌集』や『ドン・キホーテ』『日本人の英語』なども。私は佐藤俊樹の本に負けた…

教育格差の社会学

大学初年度向けの教科書としては仕方がないのだろうが、各章ともいかにも教科書的で、わくわくするようなところがない。

親元暮らしという戦略

成人しても親と同居する若者が増えている。著者は、必要に応じて拡大したり縮小したりする家族を、「アコーディオン・ファミリー」と呼んだ。山田昌弘氏の「パラサイト・シングル」とも似たような概念だけれど、「パラサイト・シングル」の場合はあくまでも…

監視デフォルト社会

「未来世紀ブラジル」「ガタカ」「マイノリティ・リポート」「善き人のためのソナタ」「バーン・アフター・リーディング」「LOOK」の6本の映画から監視社会を論じる。著者の阿部さんは関学の教授で、私にとっては大学院の2年先輩にあたる。関学の「プ…

辞書になった男

本書の主人公は2人。見坊豪紀と山田忠雄。東大国文科の同級生で友人同士でもあった2人は、当初は共同で三省堂の明解国語辞典を作っていたのだが、ほどなく袂を分かち、見坊は「三省堂国語辞典」を、山田は「新明解国語辞典」を主幹として編纂するようにな…

デジタル・デメンチア

著者はドイツの医師。コンピュータゲームなどがいかに子どもたちの頭脳に悪影響を及ぼしているのかを論ずる。

モンティ・ホール問題

モンティ・ホール問題とは、次のような問題だ。あなたは視聴者参加番組「取引しましょう」に出演することができた。A,B,Cの三つの扉があり、その中の「当たり」を選ぶと高級車がプレゼントされる。残りの二つは「はずれ」だ。あなたはAの扉を選ぶ。すると司…

本当はひどかった昔の日本

子殺しや親殺しと言った事件が起きると、つい現代がひどい時代と我々は考えがちだが、どうしてどうして、昔の日本人の方がはるかに残酷だったということを、古典文学の記述から実証する。今の時代に生きていて本当によかったと、私も著者と共に思う。