2015-10-01から1ヶ月間の記事一覧

KOTOKO

原案&主演のCoccoと塚本晋也監督ががっぷり四つに組んだ、見るのが結構痛い映画。Coccoが、強迫神経症的でリストカットが癖になっているシングルマザーを熱演する。塚本監督自身も、Coccoに惚れる中年作家の役で出演。

プライバシー権の復権

プライバシーに関する精緻な論文集。一章ではブランダイスのプライバシー論の変遷を伝記との関連で論じ、二章では米国と欧州のプライバシー観の違いを、三章では監視(安全対策)とプライバシーとの相克を、四章では「忘れられる権利」を、五章で「ビッグデ…

似ている英語

似ている英単語の違いを、撮り下ろしの美しい写真で説明する。例えば、tortoiseとturtle、buttocksとhips、roadとstreetなど。日本語もまだしゃべれない一歳の息子も喜んで見ています。

ルシファー・エフェクト

有名なスタンフォード監獄実験について、実験を主宰していたジンバルドー教授が自ら解説した部分が主。心身ともに健康な学生を募集し、看守と囚人に無作為に振り分け、2週間の予定で収容しどのような変化が起こるかを観察した実験だが、看守の横暴がひどく…

火と灰

本書の著者は、ハーバードの有名な政治学教授であったマイケル・イグナティエフ氏。氏は説得され、アメリカから生まれ故郷のカナダに戻って自由党の議員となる。二度目の挑戦で党首になるが、しかし、総選挙には敗北、自らも落選して学者に戻った。その経緯…

ふしぎな君が代

君が代については、著者も指摘するように、戦後は無関心派が多数だと思う(私も)が、その起源はなかなか面白い。詩の起源、誰が作曲したのか、なぜライバルの楽曲に打ち勝って国歌になったのかなど、興味深い事実を多数教えてくれる。

シネマとジェンダー

特に性と戦いに重点を置いてアメリカの映画作品を「精読」する評論集。特に、第一章の「レベッカ」論と、第五章の「羊たちの沈黙」論は白眉だと思う。レクター博士のモデルはテッド・バンディだったのか。

平成の大合併と地域社会のくらし

民俗学的な観点から、平成の大合併の影響を探るものだが、地域によっては昭和や明治時代から論じ始めている。阿仁や佐用、隠岐、上伊那、笠岡諸島などが研究対象。

学術書を書く

京都大学学術出版会専務理事と、独立編集者の共著。専門家だけでなく、その領域の二周りくらい周りの人にも学術書を読んでもらうにはどのような本作りをしたらよいのか、タイトルや章立て、記述、本文中の図表にいたるまで細かく論じている。

平成合併を検証する

松任市を中心に、美川町、鶴来町、そして白山麓の五村が合併して成立した広い自治体「白山市」を対象に、平成合併の問題点を探る。区長アンケートでは「不便になった」との回答が68%と圧倒的であった。

ポリオミノの宇宙

正方形を組み合わせてできた図形「ポリオミノ」。同じ数の正方形を合わせたポリオミノを、あらかじめ決めた形のどううまくはめ込むかというパズルは日本でも売っているが、そこから高度な数学が導出されることに心底驚いた。

はるばる日帰りで前橋へ出かけ、群馬大学主催のシンポジウムでコメンテーターをしてきました。

稼ぐまちが地方を変える

まちビジネスを行ってきた著者が、補助金頼みの地域活性化を批判、とにかく身銭を切り、リスクを負って、地主や投資家たちが自ら投資すべきだと説く。納得する記述が多い。確かに補助金は麻薬かも。科研費も?

みつばちのささやき

両者ともビクトル・エリセ監督作品で初めてみた。 「エル・スール」の方は、昔の恋から逃れられない父親の姿を、娘の視点で描く。「みつばちのささやき」は、妹の「アナ」と姉の「イサベル」という幼い姉妹が主人公。二人が映画「フランケンシュタイン」を見…

エル・スール

実験音楽

マイケル・ナイマンの著作。この分野は私はほとんど知らなかったが、有名な「4分33秒」の解説や、日本人実験音楽家の小杉武久の作品も紹介されている。しかし、片方の目を抉り出せというのはひどい。

キノ 映像言語の創造

ロシア・アヴァンギャルドの第3巻。モンタージュ理論が中心で、クレショフやジガ・ヴェルトフの論文が多数収められている。

壜の中の手記

短編の名手、ジェラルド・カーシュの作品集。アンブローズ・ビアスの手記という形を取った表題作をはじめ、「ねじくれた骨」「時計収集家の王」などの傑作揃い。

映画美術から学ぶ「世界」のつくり方

これまでありそうでなかった、映画美術に関する専門書。第一人者16人へのインタビューが中心で(日本人も種田陽平氏が入っている)、他に偉大な先人をたたえるコラムもある。とにかく写真が美しく、見ていてうっとりする。

社会科学のパラダイム論争

これは良書。定性的研究と定量的研究の「不毛な対立」を止揚し、両者の拠って立つ論理を前提から問い直すことで、いかにその両方を上手に使うのかを考える。特に自分の研究の立場を客観視できない狭量な査読者たちに読んでもらいたい(笑)。

地方行財政の地域的文脈

地方行財政に関する論文集。中でも第2章の、梶田真氏の論文は有益で、三位一体の改革などで、いかに国が小規模自治体に渡す交付金を削減してしまったか、数字で明らかにしている。

オンライン・バカ

この邦題は「ネット・バカ」などを意識したものだろうが、ちょっと狙い過ぎでは?(原題の直訳は「不在の終焉」)。絶えずメールやらソーシャルメディアやらを気にしている私たち自身への反省を込めた書。まあ、こちらも、マルチタスクはよくないとたしなめ…

幸せな選択、不幸な選択

ダニエル・カーネマンと共同研究をしている著者が、具体的に幸福を感じるにはどうしたらよいか、研究から教えてくれる。「やりがい」と「快楽」のバランスを取ることをはじめ、しなくてはならないことはデフォルトでする習慣をつける、決意は人に公にする、…

映画は絵画のように

著者は高名な美術史家で、映画については必ずしも専門ではないのだろうが、美術を学んできた大家は、映像表現の中に絵画表現からの引用や類似点を鋭く見抜く。私は残念ながら見ていない映画も多いのだけれど、本書を手掛かりに鑑賞してみたい。

たのしいプロパガンダ

著者が主張するように、プロパガンダ(政治宣伝)は肩肘張ったものよりも、受けてが楽しく受容できるものの方がたいていは効果が上がり、それを知っている送り手側は、芸術家などを巻き込んでたのしいプロパガンダ戦略を実行する。大日本帝国や、欧米諸国、…

戦後サブカル年代記

推理小説やYMOについての著書もある円堂都司昭氏が、特に「終末」に関わる作品・事件に重点を置いて、戦後のサブカルチャーを振り返る著作。ノストラダムスには私も少年時代、半ば信じかけていたのを(それも人口爆発や環境問題絡みで)、懐かしく思い出…

ネット検索が怖い

IT関係の経歴を持つ弁護士が、自らの体験も踏まえ、どのようにネット上の「名誉棄損」「プライバシー侵害」に対処するか、グーグルに言うことを聞かせるか、語ったもの。すぐ読み終わる。あと、弁護士に頼むとやっぱり料金が高いというのが正直な感想。

秘島図鑑

離島関係の本は随分と読んだし、私も一冊書いているが、本書は、現在普通の人が住んでいない島(住んだことのない島、絶海の奇岩、かつては住んだことのある島、軍事基地の島、など)に焦点を当てているユニークな本。馬毛島はまるハゲでひどい状態になって…

音楽が終わる時

日本記号学会の学会誌。私は記号学会に入っていないが、たまたまこの号で取り上げられている学会大会(2013年5月18日)は、イメージフォーラムフェスティバルを観に京都に行ったので、京都精華大学で行われていたこの学会のパフォーマンスにも参加し…

グラフ理論の魅惑の世界

「つながり方」を扱う数学であるグラフ理論についての本は何冊か読んだが、その中でも本書がいちばん魅惑的かもしれない。一筆描きから四色問題、ハミルトン回路など、グラフ理論が応用される問題を幅広く解説している。練習問題に解答がないのがつらいが。