2011-06-01から1ヶ月間の記事一覧

キャリア妨害

上記の矢野さんの本が、マクロ的視点からの、どちらかといえば楽観的な色彩の本であったのに対し、本書は極めてミクロな視点から、大学の持つ暗澹たる側面を照らし出している。 著者はNECに30年以上勤務した後、第二の職場としてY大学(と書いてあるの…

「習慣病」になったニッポンの大学

著者の矢野眞和氏の本は、これまでも『試験の時代の終焉』『生活時間の社会学』など何冊か読んできたが、本書は氏が初めて、「ですます調」で、高校生にも分かりやすくという方針で書いたものだという。確かに表現はとても平易となっているし、中身も納得の…

大学問題ふたたび

今日は大学関係の本2冊

廃道をゆく 3

このようなマニアックな本が3巻まで刊行されているということは、愛好者の数がそれなりに多いということなのだろうか?表紙になっているのは、崩れかかった「日本最恐の吊り橋」こと、静岡県根本町にある無想吊橋。章は地域で分かれており、各地域の個性的…

BASIC NUMBERS

タイトル通り、「基礎的な数字」を集めたもの。「この国のかたち」「世相のうらおもて」「揺りかごから墓場まで」「世界のスケール」「生命・地球・宇宙」「われわれはどこから来たのか、そしてどこへ行くのか」の6章構成。例えば、日本は面積では世界61…

木曽広域連合

木曽の6町村で作る「木曽広域連合」は、全体でケーブルテレビを運営しているので、そこを取材。場所が変わっていたのでやや戸惑った。

必要か、リニア新幹線

リニア新幹線の必要性について冷静に検討、否定的な見解を述べている。第二章で、これまでの多数の大規模プロジェクトを比較、「目的妥当性」は当然のこととして、手段としての「経済性」「技術性」「環境性」の3つが必要としている。第三章では、「東海道…

道志村

道志村は一回行きたいと思っていたのだが、公共交通が異常に不便で、都留や富士吉田からバスで行くことはできても、日帰りではまず帰れない。仕方なく東京の実家から父の車を借りて行った。 道志村の集落はほぼ国道に沿った形で分散している。総務省の地域イ…

Google PageRankの数理

こちらも良書。タイトルにあるとおり、グーグルのページランク(検索結果ページの重要度順の並べ替え)が、一体どのような数学的な手法に基づいているのか、詳しく解説してくれる。自信のある人以外は最初からではなく、第15章「数学的基礎」の線形代数や…

メディアとパーソナリティ

約150ページで版形も小さな本だけれど、中身は充実している。第一章はテレビ、第二章はテレビゲーム、第三章はインターネット、第四章はケータイについて、それぞれパーソナリティとの関係で行われた研究をコンパクトにまとめている。入門書、概説書とし…

日本中枢の崩壊

民主党政権下で「干されている」経産官僚の古賀茂明氏の著作。ことさら目新しい情報が書かれているわけではないけれど、まさに官僚組織の中核にいたからこそ書ける正論と言えるだろう(但し、米国の大統領制礼賛はややバランスを欠いているようにも思うが)…

永山則夫

大阪市立大学の細見和之教授の著作。見田宗介の『まなざしの地獄』など、永山論はかなり数多く出されているが、中でも最新のものだろう。特に作品論・表現論に重点が置かれており、「これ以上の駄作はない」と細見氏自身が呼ぶ、永山晩年の大作(遺作)「華…

町立図書館をつくった!増補版 島根県斐川町での実践から

タイトルにもあるように、島根県の斐川町に町立図書館を作り、初代館長となった白根一夫氏の奮闘記。他の多くの自治体でも参考になるのではないだろうか。 斐川町は、出雲市に隣接し、合併の話もあったが断った。出雲空港が立地するだけでなく、ハイテク企業…

情報社会のいま

情報社会論、情報文明論の大家の一人である公文俊平氏の著作。前半は、氏の大著『情報文明論』をなぞる形でまとめ、多少の修正をほどこしたもの。後半は、ツィッターを中心とするSNSの解説および、氏の実践。初めてツィッターを使おうと言う人にはそれな…

パーミションマーケティング

テレビ広告のような、人々の注意を中断してむりやり着目させる形の「インタラプション・マーケティング」ではなく、人々に同意と許可(パーミション)を求めながら行って行く広告やマーケティングの推進を主張する書。具体的には、見込み客が自発的に手を挙…

大学的やまぐちガイド

中国地方の中心は広島と岡山であるという感覚は、私もそうだが、多くの人が共有しているのではないか。広島市と岡山市が大都市であるのに対し、山口は県も市も何となく中途半端だ。都市が分散しているのもその原因かもしれない。山口市の合併前の人口は少な…

夕方からKAVCに出かけ、「アニメーションズ・フェスティバル」と「和田淳と世界のアニメーション」を見て来た。 「アニメーションズ・フェスティバル」 http://www.animations-cc.net/festival_encore.htmlAプログラム Bプログラム Cプログラムは、残…

放送法を読みとく

「放送法を読みとく」というタイトルだが、逐条解説は第3編だけで、他は日本の放送制度(や関連分野)についての概説に割かれている。

数字で語る

チェコ生まれの政治学者ハンス・ザイゼルの著作だが、初版が出たのは1947年だから、もう60年以上も前になる。この邦訳は1985年に出た第6版を基にしている。内容は、記述統計についての解説。古い本だから、実例として、ラザーズフェルドらによる…

教科書以前の大学数学常識

いわば大学数学の入門書。1章では「集合と写像」を、2章では論理を、3章では「演算の世界」(実質的には、代数学の「群」や「体」の解説が主)を、4章では「極限の世界」(実質的には解析学)を扱う4章構成。これだけでは足りないのではないかとも思う…

次世代インターネットの経済学

京大の経済学者・依田高典氏の書いた入門書。経済学とネット関係の知識の両方が紹介されている。「フリー」への攻撃など、やや経済学者の自己防衛的な面も垣間見えるが、主張が明快である点がよい。特に終章においては、地域情報化(という言葉は使っていな…

情報法講義

こちらも情報法関連の本だが、全部で133ページと薄く、通読しても物足りなさが残る。中でも知的財産法関係が6割以上を占め、バランスの点でもどうなのだろうか。

インターネットの憲法学

9年前に書かれた本なので、データ等古くなってしまったところももちろんあるのだけれど、まだ基本書としての地位は失っていないと思う。特に、持ってまわったような晦渋な言い方をせずに、明確に意見を述べているところが素晴らしい。

風評被害

「風評被害」について本格的に分析した最初の著作ではないだろうか。著者の関谷さんは、数年前まで筑波大学の「映像文化論」でコンビを組んでいたのだけれど、日程が違っていたため、結局一度も会わずじまい。 風評被害があると、観光客が減るのが通例だが、…

都市とは何か

岩波講座「都市の再生を考える」の第1巻。8人の論者による論文集。EUの中心都市地域を「ブルーバナナ」と呼んでいるのは知らなかった(第6章)。現在は「ブルーバナナ」から、より分散型の「ブドウの房」が目指されているという。

近くの姫路文学館で、CALF in HIMEJIのイベントがあり、出かけて行った(妻が前売り券を買っておいてくれた)。水江未来氏、トーチカ、和田淳氏、大山慶氏の映像作品の上映と、トーチカナガタタケシ氏のワークショップ、最後は座談会。ワークショップの映像…

数学は世界を変える

タイトルからちょっと期待して読み始めたが、子供向けの本だった。原著の出版は1942年で、長い間読み継がれているものらしい。

アメリカを変えたM世代

タイトルにある「M世代」(ミレニアム世代)とは、1982年から2003年に生まれた、現在の米国の若者世代を指す。世代論は物事を単純化し過ぎていて眉唾だとも思うけれど、新世代が新たなテクノロジーを使いこなして政治を変えつつあるのも事実だろう…

土曜日は通常は休みだが、今日は「オープン・らぼ」(大学院のオープン・キャンパス)で大学へ。ただ、真面目な大学院志望者2名と会うことができたので、疲れはしたけれども有益だった。彼らに輝かしい未来がありますように。

検証 東日本大震災の流言・デマ

荻上チキ氏の新作。地震から2ヶ月後、大変なスピードで出ている。この本も、メディア・リテラシーの書と言えるだろう。タイトル通り、東日本大震災の後に流れた各種の流言のたぐいを、どのように拡散したのか検証するという面倒な仕事をやり遂げている。 荻…