2016-02-01から1ヶ月間の記事一覧

不連続殺人事件

坂口安吾の長編推理小説の映画化。原作は読んでいないのだが、トリックは他の本で読んで知ってしまっていた。話の筋立てといい、俳優の演技といい、いかにも大時代的であり、また、登場人物が多すぎて一度で理解できないところもあるのだが、一度見ておいて…

兇の風景2 初めての兇同作業

都心にある高級ホテルの広間の一室で、華やかな結婚披露宴が行われていた。新郎新婦は神妙な面持ちで金屏風の前に座り、およそ百名の来場者が各テーブルに分かれて着席していた。 胸にピンクの薔薇の造花をつけた若い女性の司会者が、横のマイクスタンドに立…

兇の風景1 大兇のクジ一枚

「マユミったら、遅いね」 「遅くなるってメールが来てから、もう10分以上も経ってるよ」 初詣の人で賑わう神社の境内に、待ち合わせ時刻の通りに来たレイコとカオリは、もう一人の友人であるマユミを、待ちくたびれているのだった。レイコは痩躯を黒のコ…

連作短編小説「兇の風景」を書き始めました。頭の体操のつもりで、十数編書き進める予定です。右の画像は、吉野忍氏制作のものを使わせていただいています。

奈良大和の峠物語

奈良県の多数の峠を、徒歩で峠超えをした古人に思いを馳せながら実際に歩いて紹介する。行ってみたいな。

日本史「意外な結末」大全

タイトル通りの一般書だが、はっきり言って記述が薄く、つまらない。

わたしの「女工哀史」

「女工哀史」の著者である細井和喜蔵の内妻で、共同執筆者でもあった高井としをの半生の記。貧しい炭焼きの娘に生まれ、また、細井に先立たれてからも印税を得られず苦労するのだが、そのたびに奮闘する姿が小気味良い。

[bookの音楽文化

トピックごとの「読む事典」だが、こうした本は積極的にウィキペディアとの違いを意識しないと存在価値はないのではないか。例えば「ジャニーズ」にせよ何にせよ、もっとエッジの効いた記述が必要ではないのか。 あと、『スター誕生』項目の「花の八二年組」…

権力闘争がわかれば中国がわかる

中国の権力闘争の裏面が、信憑性の低い情報も含めて細かく書いてある。要は、高官はみな汚職・蓄財をしており、告発されるのは闘争に負けた結果だ、ということ。特に第4章で、CCTVの女子アナたちが、権力者の妻や愛人になろうと競い合うというのは、ま…

地方創生の真実

辛坊治郎氏の大きな写真が表紙だが、実際には、対談やインタビュー、「ウェークアッププラス」取材班による文章などが多く、これを単著のような体裁で出すのはいかがなものか、と思う。中身も充実しているとは言えない。

南シナ海

石油タンカーの重要な経路でもある南シナ海は、何度となく国境紛争の火種となってきた。特に、積極的に領土・領海を主張したい中国と、それ以外の国々は対立してきた。本書はその歴史を振り返ることで、領土問題に「正解」を決めるのは難しいことを教えてく…

おみおくりの作法

主人公はロンドンで、孤独死した人たちの遺族を探し、葬儀を執り行う業務についている。丁寧な仕事をしているが、ある日、行政改革の一貫で隣の地区と合併となり、主人公はリストラを言い渡されてしまう(後任にはガサツな女性が就任)。最後の仕事も、主人…

地域社会と情報環境の変容

関西大学経済・政治研究所「地域社会と情報環境研究班」の調査報告書。宮崎県、十勝地方、沖縄などがフィールド。特に第4章は、沖縄の地方紙という言論空間を分析していて、基地問題を考える上でも有用と思う。沖縄の地方紙を潰せと言った馬鹿な作家がいた…

官僚はなぜ規制したがるのか

ロバート・カウフマンの名著『レッド・テープ』の翻訳。なぜ繁文縟礼がはびこるのかを考察。原著は約40年前の出版だが、官僚制の悪弊ともいうべき規制を考える古典として、今でも生き残っている。不適切な規制を粘り強く除去すべきとの結論。

GDP

『脱物質化社会』で知られる著者が、GDPという数字の発祥や経緯、効力や限界などについて平易に語ったもの。新たな経済指標を作る試みも始まっているが、まだGDPに匹敵するものは創られていない。

「炎上」と「拡散」の考現学

ネット炎上のタイプを「上昇」「下降」「上昇して下降」「下降して上昇」の4類型に分類し、それぞれ事例をあてはめる。「金」「性欲」「社会正義」の3つがネット炎上の主動因とするのは陳腐だが。著者は元プレイボーイ編集者。落合伸彦の息子も登場。

人工知能と21世紀に資本主義

情報化、コンピュータ化が労働を非人間化することを告発する立場に立って書かれた経済学書。第6章のジョージ・ギルダー批判が私には有益だった。なんか胡散臭い人物と思っていたが、「インテリジェント・デザイン論」者かつシオニストだったのか。

社会を説明する

スウェーデンの社会学者たちの共著で、「批判的実在論」について丁寧に、説得的に説明する。社会学部に入学した新入生が挑戦するのに良いだろう。もう少し短くてもよかったのではないかと思うが・・・。

大学の条件

実証的に書かれた大学論として、是非大学人だけでなく、大学問題に興味ある人全員に読んでもらいたい。特に新鮮なのは、大学に進学しない人の理由を分析した第2章から第5章。また、第2部では、大学進学が世の中全体にプラスになり(大学を出ると年率換算で…

オーソン・ウェルズ

有名なアンドレ・バザンの、1950年版著作の翻訳。訳者解説によると、1972年に出た同名の改版よりも中身が濃いとのこと。また、サルトルなどとの論争もたどれるようになっている。

あなたが世界のためにできるたったひとつのこと

動物愛護で有名な倫理学者のピーター・シンガーが、「効果的な利他主義」について説明する。例えば、金融取引で大金を稼いで、その大半を有効な用途に寄付するといったこと。本書の主張には私はほぼ賛同するのだが、動物愛護という運動は大きな矛盾だと考え…

ザカリーに捧ぐ

これはトラウマになりそうなドキュメンタリー映画。頭のおかしな女に息子を殺された老夫婦。その女が、息子の子ども(つまり孫)をお腹に宿していた。この映画を撮っているのは、息子の古くからの友人。危険な女から孫を守ろうとするのだが、悲劇は繰り返さ…

コンピュータ開発のはてしない物語

1980年代に書かれた名著『コンピュータ史』の増補改定版。特に素晴らしいのは、最初のコンピュータ(電子計算機)はどれかという難問に、著者ならではの明快な基準を示し、ENIAC,ABC,コロッサス、Z3の4機を比較しているところ。スーパーコンピュータ…

私が愛したグリンゴ

ジェーン・フォンダが企画、主演した恋愛譚。南米に教師として出向くつもりが、嘘手紙に騙され、革命運動の渦中に入り込んだ女性が主人公。死に場所を求めてやってきた老作家ビアスと、革命軍の将軍の二人に愛される。

教育改革はアメリカの失敗を追いかける

アメリカ新自由主義の轍を踏みつつある日本の教育を告発。昭和の大合併の際にも強引な小中学校合併がなされたが、今また同じことが繰り返されている。

都市の舞台俳優たち

演劇人たちがどのようなライフコースを描き、どのような生活をしているのか、長期にわたって丹念に観察したエスノグラフィー。チケットノルマをさばくために、俳優たちはアルバイトの合間に他の劇団公演を見に行って、観劇してくれる同業者を確保する。実家…

修士論文発表会、卒業論文発表会。一日中気が休まるヒマなし。

休みを利用し、子連れで東京へ。1歳児がわめいてやっぱり大変。しかし寸暇を惜しんで文化庁メディア芸術祭や、ICC(インターコミュニケーションセンター)を見学。

触楽入門

触覚研究者4人の共著。触覚における錯覚など、興味深い話題が多い。触覚を拡張する「テクタイル・ツールキット」を使うと、炭酸のシュワシュワ感や、キャンディのパチパチ感が増幅する。使ってみたいな。

子どもは「この場所」で襲われる

日本に「割れ窓理論」を導入した第一人者である小宮信夫氏の著作。犯罪者の動機を追究するのでなく、犯罪の機会を減らしていこうという「犯罪機会論」の立場から、犯罪の起こりやすい場所がどこなのかを解説。子どもたちと地域安全マップを創るとイジメはな…