2015-09-01から1ヶ月間の記事一覧

マインドチェンジ

オックスフォード大学教授で、貴族(!)でもある著者が、SNSや電子ゲームといったものへの中毒に警鐘を鳴らす本だが、学術書というよりはジャーナリスティックなものだな。脳を変質させるという根拠は?

サスペンス映画 ここにあり

評論家・川本三郎氏によるサスペンス映画の紹介文集成。やや記述が定型化しているか?

ブラックアイス

世界を脅かす「サイバーテロ」について解説する。

軍艦島

軍艦島に関する入門書。明治23年から閉山まで三菱が支配していた海底炭田の島で、岩礁を埋め立てた上に高層建築が立ち並び、おそらく世界最高の人口密度であった。家に鍵をかけず、大家族のように暮らしていた反面、三菱の社員を頂点し、出入り商人を底辺…

キャパへの追走

キャパが訪れた世界の各地を訪れ、キャパと同様の視角、構図で沢木氏も写真を撮り、2枚の写真を並べて鑑賞するという、文藝春秋での連載をまとめたもの。『キャパの十字架』同様、キャパがまとっていた仮面が剥がれ、その人生の素顔が現れてくる。

高度情報化社会と地方の時代

これは1985年(今から30年前)の本。前年に行われたシンポジウムの単行本化。

西米良村の挑戦

西米良村も一度行ってみたい場所。本書は約10年前の本で、ワーキングホリデーによる村起こしが成功、人口減少に歯止めがかかったかに見えた時期に書かれたものだが、残念ながらその後やはり人口は減りつつある。温泉施設「ゆたーと」は近隣では人気。

廃村をゆく

こちらも同じ出版社から出ている同様のシリーズ。冬季の積雪や、鉱山の廃棄、ダム建設、交通の不便といった理由から村人がみな出て行き「廃村」となった元集落を訪ねる。羽幌炭鉱の紹介文の中で、「羽幌付近にはめぼしい観光地がない」と書いているのは言い…

廃道をゆく 4

この「廃道をゆく」シリーズは3まで読んでいて、これで4巻目。中身としてはこれまでのものと同じテイスト。冒頭では、紀伊半島で発電所建設のために作られ、あらかじめ廃道となることを運命づけられていた「篠原索道」「沼田原軌道」(仮称)を紹介する。

sushi girl(スシガール)

これまたふざけた話と言うべきか。スシの女体盛りが運ばれた場所は、6年前の強盗事件で組んだ6人の男たち。一人は事件時に死亡し、一人は逃げ遅れて刑務所に入ったが、今日、模範囚として出所した。すると、主犯格の男に拉致され、盗んだ宝石の隠し場所を…

インブレッド

おふざけ要素満載のスプラッター映画。借りてみたが、まあ二度と見る必要はないだろう。施設で育った少年少女4人と、保護司の2人が、変な田舎にキャンプにやってくると、そこに恐ろしい人たちがいて、結局皆殺し。やれやれ。

映画とテクノロジー

「映画学叢書」の一冊で、10人の論者による論集。私が最も興味深く読んだのは、「マイノリティ・リポート」を論じた第1章と、「トゥルーマン・ショー」を論じた第4章だけれど、もちろんほかの章もおもしろいです。

映画とは何か

京大の映画学者、加藤幹郎氏の著作。主著と言ってもいいかもしれない。ヒッチコックを、ホロコースト映画を、グリフィスを、「列車の到着」を、オスカー・ミショーを縦横に論じる。自分がいかに映画を見れていなかったのかを再認識させられる。

偶然の統計学

ひどく珍しいこと、例えば宝くじに連続して2回以上当たる人が出たりすると、われわれはなにやら奇跡が起きたような感じがするが、冷静に考えるとそうしたことが誰かに起きる確率は、決して低くはないと王立統計学会前会長も務めた数学者である著者は説得す…

生命科学の欲望と倫理

臏島次郎氏の著作。STAP細胞問題から説き始め、科学者の持つべき倫理をごく真っ当な方法で考え、論ずる。「倫理」は研究のつけたしではないことが強調されるが、また、日本の科学教育の矛盾(初等中等教育では夢を煽り、研究者になると実用性重視が叫ば…

いま、大学で何が起こっているのか

著者は名古屋大学で日本文学を教える。ブログの記事を基にしているので読みやすい。いかに文部科学省が大学を圧迫しているのか、是非大学外の人に読んでもらいたい。長崎大学が国際系学部を作って定員割れした話は他人事ではなく不安だ。

9.11の衝撃とアメリカの「対テロ戦争」法制

9.11テロの後、米国は急速に「対テロ戦争」法制を整え、人権よりも「安全」を重視する姿勢を打ち出した。どのような法制度が打ち出されてきたのか、具体的に詳細に論じられている。

クリス・マルケル

「不思議なクミコ」などの作品で知られるシネアスト、クリス・マルケルに関する、日本では初となる論集。

コンテンツツーリズム入門

コンテンツツーリズムを紹介する論集で、映画、テレビ、アニメ、ご当地ソング、ご当地アイドルなど中身は網羅されているのだが、どうも文章に緊張感が欠けていて(特に学会名誉会長の文章)、残念な思いがする。

メディア哲学

2007年に東大情報学環で開かれた国際シンポジウム「ユビキタス・メディア」を基にした論文集。なぜ出版まで8年もかかるのか!ただ中身は、蓮實さんの映画論や、キャサリン・ヘイルズのRFID(電子タグ)論など、充実している。

「昔はよかった」病

パオロ・マッツァリーノという謎のイタリア人の著作。『新潮45』での連載をまとめたもの。「昔はよかった」というのは大抵ウソで、実際には昔の社会の方がたいてい酷かったことを明らかにする。メディアリテラシーのためにも、特に普段本を読んでいない人…

IQは金で買えるのか

副題の「世界遺伝子研究最前線」の方が、内容をよく表している。朝日新聞の科学記者が、米国で遺伝子研究の研究者や、遺伝子サービス企業、中絶に関する運動家などにインタビューしてまとめた著作。重要な問題を扱っている。

独裁国家に行ってきた

世界200カ国以上を旅している著者が、特に独裁国家での経験をまとめたもの。独裁国家の中でも、著者が好意を持つ国と、敵意を持つ国がはっきり分かれているのが面白い。特に、アジア人差別のひどいベネズエラと、悪徳警官はびこる(著者は理由なく拘束さ…

プロの数学

開成高校の数学教師が、東大・京大の入試問題を素材に、その背後にある大学数学を解説する。特に10章の「チェビシェフ距離」や、11章の「メビウス変換と複比」の話題を面白く読んだ。おすすめです。

下山事件

終戦直後、国鉄の下山総裁が轢死体で見つかった事件は、自殺か他殺かいまだに定説がない。本書は、関係者の親族である著者が、小説仕立てで「誰が下山総裁を殺したのか」を描く。

歴史とプロパガンダ

早稲田の有馬教授の著作。米国公文書館の資料を用いて、例えばローズヴェルトがいかにいい加減であったか、GHQが日本人に植えつけた罪悪感、周恩来の主張のおかしさなど、歴史のヤミを明るみに出している。『正論』などに発表された文章が多いので、左派…

「シェア」の思想

IT立国アルメニア

旧ソ連でITというとエストニアが思い浮かぶけれど、アルメニアもITではなかなかのものらしい。著者は日立およびソニーで活躍した技術者で、アルメニアから名誉ある「グローバルIT賞」を受賞した。ソ連時代のハイテクセンターが立地し、自然資源には乏しいと…

都筑道夫ドラマランド(完全版)上下

私は若い頃都筑道夫のファンで、小説はほぼ読みつくしたが、映画やテレビの脚本までは読んでいなかったので、完全版が出たのを契機に読んでみた。映画「100発100中」の(二種類の)脚本や、テレビ「スパイキャチャーJ3」の原案、ラジオドラマなどが…

素晴らしき哉、フランク・キャプラ

実は私はフランク・キャプラの作品は、フィリバスター(議事引き伸ばし)を扱った「スミス都へ行く」しか見ていないのだが、本書を読んで、是非ほかの作品も見なくてはと感じた。