2014-10-01から1ヶ月間の記事一覧
遅ればせながら読んだ。大学人にとっては、日々実感していることが多いのだが、できれば市井の人々にも読んで、大学が置かれている危機を知ってもらいたいと思う。
壮大なタイトルだけど実際は、マレーシアの高等教育に関するフィールドワークというか、関係者へのインタビュー調査をまとめたもの。マレーシアは国立大学の定員が少なく、民間のカレッジが大きな役割を果たしてきた。KDU(Kolej Damansara Utama)を創立したテ…
著者は弁護士で、デジタルアーカイブに関する話題を薄く広く概説するものだが、最後の第6章では、ナショナルアーカイブの設立や、孤児作品問題への法的対策といった、政策提言が含まれている。
3Dプリンタの紹介本。元は2冊の自費出版本であったそうだ。3Dプリンタの様々な造形方式や、フリーCADソフトを使ってオリジナルiPhoneケースをデザインする実践例、対談や年表などが収められている。
実験ミクロ経済学、のマクロ版。マクロ経済学の方がより実験しにくいと思うのだが(実際、通常はミクロに分類される話題も入っている)、経済成長や金融政策、国際経済などに関する経済実験を紹介する。
やや抽象的に過ぎるタイトルだが、本書は、竹中平蔵元総務大臣、慶応大学教授の「悪」の側面に焦点を当てた書。和歌山の靴屋の次男として生まれた竹中氏は、成績優秀なこともあって頭角を現し、一橋大学から開銀へ進み、米国で経済を学んだだけでなく、「リ…
ちょうどNHK教育でも紹介されていた、人工知能と本物の棋士が5番勝負で戦う「第3回電王戦」の紹介本。もちろんテレビ番組の方がビジュアルで分かりやすいのだが、得られる情報は本の方が多い。各棋士の性格のみならず、人工知能を作る側(特に、ponanza…
確率・統計は、無味乾燥な学問と思われることもあるけれど、その誕生や発展は、なかなかどうして熱い物語に満ちている。著者は『確率パズルの迷宮』も著した岩沢宏和氏で、「スパゲティをつないで輪にする話など、一部のエピソードは共通している。
住宅地図のゼンリンというのは、非常に興味深い会社の一つだ。別府の観光案内地図を作るところから始まり、小倉(北九州)に本拠を移して、全国の住宅地図作成まで手を広げた(途中、同業他社の買収も行っている)。その強さの秘密は、人海戦術を使った徹底…
ウォン・カーウェイの名作。「2046」を先に見たのは間違っていたかもしれない。
久しぶりに翻訳を出しました。マイケル・ライアン&メリッサ・レノス著『映画分析入門』フィルムアート社です。初心者にわかりやすい入門書だと思います。スチール写真も多く掲載しています。
いかにしたら「キャズム」を超え、より広い顧客に商品を売ることができるのかを追究したマーケティング論。
連城三紀彦氏の、遺作と書かなくてはならないことが悲しい。 蝶の収集を趣味とする、平凡なサラリーマンの西村靖彦氏が失踪した。妻の純子と、弟の直行の二人が靖彦の行方を追うのだが、追っていくうち、荻原勝美という女性と彼女が犯したらしい放火殺人がク…
現代日本に30万人以上いると推定される風俗嬢たちの実像に迫る。AV女優と同じように風俗も、平均以上の容姿でないと採用されず、さらに人気を得て高収入を稼ぎだすためにはコミュニケーション能力を始め様々なスキルが必要な職業になり、よくも悪くも「…
これは是非学生さん、および社会人にもお勧めしたい。木畑洋一、東大名誉教授が、1870年代から1990年代を対象にコンパクトに書き下ろした歴史書で、特に帝国主義に焦点が当てられており、現代の「支配ー被支配」の関係を考える上でも良い材料となる。
何とも物騒なタイトルだが、読み進めるうち、習近平が何らかの形で正恩の排除にいたる可能性は低くないと説得された。習は江沢民や胡錦濤といった経済改革を優先する指導者と違って、毛沢東と性格的に近く、北京生まれでプライドも高い。日本、フィリピン、…
兵庫の地理にかかわる謎について解説する。甲子園球場に吹くのは浜風なのになぜ歌は「六甲おろし」なのか?「加古川」の地名の由来は何か?など、兵庫に住んでいても普通は知らないことが書かれている。 こちらもどうぞ。
著者は2008年に法政大学で博士号を取得、その際の経験を基に、論文執筆を実際にどのように進めたらよいのかをアドバイスする。多数の他の「論文の書き方」本が参考文献に挙がっていることから、著者が悩みながら研究を進めていったことがわかる。途中、…
インターネット系では隠然たる(?)力を発揮している企業アカマイだが、一般にはほとんど知られていない。私も知らなかった。それは、アカマイが主としてBtoB、ビジネス向けに「インターネットでの迅速なデータ配信」を請け負っている会社であるから。「ア…
NHKのETV特集「日米電波戦争」のディレクターが、その取材過程で得た貴重な情報やインタビューをもとに、日本によるプロパガンダ放送の実態を描く。鈴木貫太郎の孫である鈴木哲太郎のインタビューなどは出色だった。
横須賀線に乗ってでかけ、まずは衣笠で下り、カスヤの森現代美術館で「ヨーゼフ・ボイス展」。バスで葉山大道まで移動し、神奈川県立近代美術館葉山館で東欧アニメーションの展示を見る。葉山御用邸って、初めて見たがやっぱり大きいんだな。
筑波大学へ行って集中講義。
著者は尾崎紅葉などを専門とする国文学者。ミステリー小説の誕生の話や、純文学作家が書いていたミステリ風の小説などに詳しく紙幅が裂かれていて、そういった話も面白いのではあるが、ミステリ好きにとっては明らかに物足りないだろうとおもう。最後に松本…
日本民間放送連盟の客員研究員10名(全員大学教員)が、それぞれの研究をまとめたもので、中身は玉石混交。第9章のグーグル・グラス論などは面白かった。
「新ネットワーク思考」で知られたラズロ・バラバシが、「バースト現象」の解明に挑んだ書だが、中世十字軍騎士の行動ジェルジュ・セーケイの行動を詳しく論ずるなど、日本人にはなかなか分かりにくい例がとられている。
西垣通先生が、ネット社会でいかに正義を実現して行くのかを、東浩紀の「一般意思2.0」などにも批判的に言及しつつ、「犯罪の量刑」「奨学生の選択」といった具体例を挙げながらサンデル風の熟議を展開してゆく。 西垣氏は自らのモデルをN−LUCモデル…
10万字以上の文字を、コンピュータで扱えるようコード化した「ユニコード」収載の全文字を紹介する。古代のヒエログリフや楔形文字から、顔文字や図形、音符などまで含まれていて、見ていて飽きないのだが、漢字がその多くを占めていることには、やや罪深…
著者は東京工業大学の名誉教授で、「不気味の谷」概念を提唱した、ロボット工学の第一人者。「ロボットコンテスト」も著者が開始したもの。本書は「ロボコンマガジン」連載のエッセイをまとめたものだが、実に面白い。阪大の石黒教授の著書もそうだが、ロボ…
訳者があとがきで言うように、「大百科」とするのはやや誇張だが、それでも、身元や属性を偽って周囲の人々を騙し、最後にはばれてしまった歴史的事例が、これでもかと多数紹介されている。例えば「マタ・ハリ」はスパイとして悪名高いが、その実像は何とも…
矢内原忠雄が言論を理由に、東大教授を辞職することになった「事件」については、ある程度のことは竹内洋や立花隆の本で知っていたが、本書は「マイクロヒストリー」としてさらに詳細に焦点を当てたもの。どのような言論人が表舞台から消えたのかに着目せよ…