生ける屍の結末

黒子のバスケ」脅迫事件(「黒子のバスケ」の連載中止や関連イベントの中止を求めて、掲示板での脅迫や、上智大学での毒ガス発生や、食品への毒物混入)の犯人が自ら書いた手記。一読して分かる通り、相当な性格の歪みもあるけれど、検事が漏らしたとおり、非常に「地頭の良い」人物であることが分かる。お金がない中で犯行を行うために、さまざまな工夫を行っている。また、生育上同情すべき点も多々ある。
貧しい家庭に生まれ、両親はほぼ「育児放棄」に近い。学校ではイジメに遭い、性癖は同性愛と、不利な条件が揃っている。高卒後は専門学校中退、アルバイトで一人暮らしをするが、その生活は「極貧」と言ってよい。それまでほぼ空調のない部屋で過ごしてきた著者にとって、拘置所をホテルのように快適と言っているのは本心からだろう。
おそらく来月、著者は4年半の刑期を終えて出所する計算となる(未決勾留期間160日を参入)。著者は本書の中で、出所したら自殺すると宣言しているが、何としても阻止する必要があると思う。確かに脅迫は卑劣な本書の一部は、現代社会を考える上で、中学や高校の教科書に教材として掲載してもいいくらいの価値がある。本人はその方をいやがるかもしれないが。

生ける屍の結末――「黒子のバスケ」脅迫事件の全真相

生ける屍の結末――「黒子のバスケ」脅迫事件の全真相