2012-05-01から1ヶ月間の記事一覧

白浜町

すさみ町から白浜町に移動し、役場で地域情報化政策の取材。 地域イントラネット基盤施設整備事業によって、旧白浜地区の公共施設は光ファイバーで結ばれた。それを利用して、「白浜はまゆう病院」では、財団が運営する5か所の診療所を結んで医療丈王を一元…

熊野詣

熊野の魅力に取りつかれた著者が、三山信仰を中心に熊野の文化について平易に論ずる。小栗判官の物語が語られなくなったのを、「神仏分離」のため、および癩病のタブー化のためとする指摘には目からウロコが落ちた。

すさみ町

熊野三山、および、潮岬を回ってすさみ町へ。田辺方面への道路が閉鎖されていたのに驚いた。すさみ町は歴史的には、熊野地方の中心地区の一つであった。17世紀半ばに熊野奉行所も置かれている。中上健次の小説のタイトルにある「枯木灘」はこの辺り、天然…

三つの都の物語

塩野七生氏による、ヴェネツィア、フィレンツェ、ローマという三都を舞台にした連作小説『聖マルコ殺人事件』『メディチ家殺人事件』『法王庁殺人事件』を1册にまとめた重い本。ミステリ仕立てになっているが、主眼はむしろ、これら三都市の十五世紀を描く…

野迫川村

橋本駅(和歌山県)でレンタカーを借り、高野町と野迫川村へ。地域情報化政策の取材。実は高野長についてはあまり期待しておらず、主眼はむかし「マルチメディアビレッジ」を標榜した野迫川村の方。かつてのシステムは2010年に完全に撤去されていたが、…

二千年紀の社会と思想

第一章から第三章までは大澤真幸と見田宗介の対談で、第四章は大澤真幸が一人で書いている。雑誌「atプラス」に掲載されたものが元で、この雑誌は私も時々読むので、既読のものもあった(加筆訂正はされているようだが)。第一章は、名著『現代社会の理論』…

報道の脳死

元朝日新聞およびアエラの記者で、現在はフリージャーナリストである烏賀陽弘道氏の著作。特に新聞を初めとする現代のマスコミが機能停止に陥っているさまを批判するものだが、最も気になったのは、新聞社が人材を上手に使えていないことだ。原発報道に際し…

社会統計学

放送大学のテキスト。社会科学系の統計学の教科書は随分と読んだが、どれも決め手に欠けている。本書は、例えばエラボレーションについて詳しく書かれている良書だが、初心者が読むにはむつかしすぎる所があり、また、もっと加筆して欲しい部分もある。値段…

ひめじ国際短編映画祭(最終日)

今日は3日目(最終日)です。姫路市立美術館で、animation soup、「初心者向けアート短編」、「皆で楽しむ世界のアニメーション」そして、イーグレ姫路で横浜聡子監督の2作品「真夜中からとびうつれ」「おばあちゃん女の子」の2編を鑑賞しました。永野宗…

ひめじ国際短編映画祭

本日も「ひめじ国際短編映画祭」。姫路文学館およびイーグレ姫路で、朝から晩まで映画三昧です。スタッフセレクション2の「アニメーションを満喫しよう」は傑作揃いで楽しませてもらいました。 「おちばの森で」 「ロボスケと友達」 「123」 「玉響の夢…

ひめじ国際短編映画祭

ひめじ国際短編映画祭に行きました。今日のベストはOlivier Teinerの「調律師」です。 他、ブルンジにおけるツチ族とフツ族の内戦という深刻な話題を扱った、Ivan Goldshmidtの「NA WEWE」 や、アニメーションの「ベン・ホラ」 などが、なかなかよかった。

顧客リスト取引をめぐる法的諸問題

電子メールが主流となった今ではすっかり隔世の感があるが、例えば1980年代ころまでは、郵便を使ったダイレクトメールが、「プライバシー侵害」の代表例としてよく取り上げられていた。本書は1995年、ネット普及前夜に書かれたもので、もちろん古びてい…

さようなら もんじゅ君

福井県にある高速増殖炉「もんじゅ」が自ら、その危険性を語りかけるという設定の著作。分かりやすいので、次代を担う子供たちにも是非すすめたい。水の代わりに大量のナトリウムを使うもんじゅは、ひと度事故が起これば、その危険は一般の原子炉の比ではな…

熊野古道を歩く

一昨日紹介した『熊野古道』などより、さらに実用性を追求した著作で、紀伊路、中辺路、大辺路、小辺路、伊勢路を実際に歩くためのガイド。冒頭にはカラー写真多数。山上ヶ岳で修行者が、崖から逆さ吊りにされている写真はちょっと怖い。

フレデリック・バック作品集 木を植えた男

DVD

フレデリック・バックの作品は展覧会場などで何度か見たが、DVDが出たのでまとめて視聴。ちょっと「自然保護道徳臭」が鼻につくところもあるが、素朴な絵は心地よい。木を植えた男/フレデリック・バック作品集 [DVD]出版社/メーカー: ウォルト・ディズニ…

文系でもわかる統計分析

教育社会学者の須藤康介氏が、若者論などで知られる古市憲寿氏に、対話の形で統計分析を教える、という構成。一般的な統計学の入門書と違って極めてユニークなのは、例えば確率分布の話とか、推定・検定といった話をほとんどせずに、SPSSで出てきた結果…

今和次郎 採集講義

青森、東京、そして千里と3個所で開かれた、今和次郎の展示の図録。衣装や民家を中心に、一般の人々の暮らしを見つめた今の、数々の絵や図が収められていて見飽きない(もっとも、寄稿している都築響一氏は、今の仕事は「クール」で「距離感」を感じる、と…

スタンフォード 21世紀を創る大学

スタンフォード大学は、特にITでは圧倒的な強さを誇る大学の一つと言えるだろう(MIT等も強いが)。本書はスタンフォード大学の解説書だが、スタンフォード大学がなぜ強いのか、その秘密の一端が明かされている。学生は激しく勉強させられ、博士課程の学生は…

熊野大社

何年か前、奈良の五條からバスに乗り、十津川および本宮を経由して新宮に取材に行ったことはあるが(帰途は紀勢本線で尾鷲市、熊野市を取材し東側へと出た)、そのくらいしか熊野地方に行ったことがない。近世の熊野詣の頃からしたら随分と交通も改善はされ…

熊野古道

(日本人)

丸カッコの入ったちょっと珍しいタイトル。日本人論だが、日本特殊論ではなく、この環境に置かれたからこそ日本人は日本人になったのであって、人間の性向などは普遍的であるとの認識に立つ。 本書自体はエッセイ集で必ずしも学術書ではないけれど、多くの学…

アンケート調査の計画・分析入門

「実務に役立つシリーズ」と題するだけあって、実際にアンケート調査を行う場合に注意すべき点に重点が置かれているが、それだけではなく、コラムも充実している。例えば、よく例に出される、1936年アメリカ大統領選挙戦での、「ギャラップ」対「リテラ…

猟奇博物館へようこそ

著者の加賀野井氏のことを言語学者だと思っていたのだが、こんな分野にも造詣が深いのですね。欧州を中心に、遺体やら解剖図やらを扱った美術を、これでもかとテンコ盛りにした著作。シュヴァンクマイエルの「コストニツェ」で扱われた、人骨による彫刻作品…

裸心

AV女優へのインタビュー集はこれまでも何冊も出版されているが、やはり心を病んだ人が多いというのが正直な印象(もちろん全員ではないが)。家族間の軋轢や、学校でのイジメ、飲酒癖などが、若く美しい女性たちを過酷な仕事へと向かわせる。最終章の「星月…

テレビは原発事故をどう伝えたのか

社会情報学界の重鎮の一人である伊藤守・早大教授が、院生等の支援を受けながら、3.11後の原発の膨大なテレビ報道映像(約800時間分)を分析した著作で、新書ながら中身が詰まっている。テレビの映像は消えてしまうものだったけれど、こうしてアーカ…

お葬式がありました

妻のお祖母さんが亡くなり、昨晩は通夜、そして今日は告別式がありました。享年89歳、子供・孫・曾孫も多く、死因は老衰、最期も特に苦しまれることなく亡くなったそうですから、まあ大往生と言えるでしょう(通夜で部屋を空けた際に、驚いたことに「葬式…

時速33キロから始まる日本鉄道史

日本鉄道史の本だが、一般的な通史というより、独特の章建てをしている。「列車混雑物語」「盛りだくさんな熱海物語」「鉄道無煙化物語」等々。鉄道先進国だったイギリスが、全盛期のほぼ半分にまで鉄路を減らしてしまった事実には慨嘆せざるを得ない。

少年犯罪減少のパラドクス

著者である土井隆義・筑波大学教授の本は、これまでも何冊か読み、いずれも感心した。本書は、現代の若者が過酷な環境に置かれているのに、なぜ凶悪犯罪が増えないのかを考察したもの。かつてあった「煽りの文化」から、「鎮めの文化」に移行した、というの…

訣別

大前研一氏の憂国の書。タイトルの「訣別」とは、「江戸時代からの訣別」「明治時代からの訣別」「戦後体制からの訣別」を指す。 第一章は、政府の原発事故対応のまずさを批判するものだが、さすが元日立の原発技術者だけあって、非常に説得力がある。政府は…

智場 115

特集が「ICT,社会変革、オープンなネット参加」と魅力的なので読んでみたが、期待外れだった。