2007-10-01から1ヶ月間の記事一覧

赤目四十八瀧心中未遂

原作本を読んだのはずいぶん前なので、内容をかなり忘れていた。尼崎という町が、まるで異界のように描かれている。主人公は、作家生活に挫折して尼崎に移り住み、アパートの一室でモツを串に刺す生活をしている青年。同じボロアパートには、在日の娼婦や、…

族の系譜学

社情研で同窓の難波さんの力作。理論的な話から入り、太陽族、アンノン族、暴走族、クリスタル族など、戦後日本の風俗を彩ったさまざまな「族」の生態、およびそのメディアでの語られ方や、メディアとの共犯関係が丹念に解きほぐされる。

石油高騰

石油価格が高騰し、諸物価価格にも影響が出始めている。揮発油税を下げるべきとの議論も起きているようだ。 しかし、これを期に石油資源をもっと真剣に節約したらよい。日本は2回の石油ショックを、打撃を受けながらも省エネで乗り切った。物価が高騰すると…

『東日本の地域情報化政策』脱稿。順調に行けば年内刊行。お疲れ様→自分

ぼくんち

西原理恵子の漫画が原作。母のふしだらで壊れた家族というテーマは「誰も知らない」と共通するが、「誰も知らない」が都会を舞台にしていたのに対して、この映画の舞台は瀬戸内海の小島。父親の違う2人の子供のもとへ、彼らを捨てた母親が、やはり種違いの…

世界屠畜紀行

家畜を殺し、毛をむしり、内臓と肉を腑分けし、切断する。こうしたプロセスは、肉食獣である人間には不可避の営みだが、人々はこの行為から目を背けがちだ。それのみならず、こうした仕事をしている人を差別したりもする。著者は女性のライター・イラストレ…

世界の小国

本書でいう小国(ミニ国家)の定義は、人口100万人以下の国。この定義ではミニ国家は世界に44国あり、最近の独立で増加傾向にもある。産業の乏しい貧しい国、外国依存の国もあれば、例えばカタールやバーレーンのような、産油国のため経済的には豊かな…

脱クルマ社会の交通政策

クルマが保証する放埓な「移動の自由」から、より社会的な「交通の自由」へ、というスローガンはいいのだが、中身は期待したほどではなく、残念。けっこう厚いのに、何かを得られた気がしない。

マルクスと息子たち

いずれもデリダの書で、前者が先に書かれ、後者は前者への批判に対する応答(日本語訳は後者が先に出た)。 私はデリダのよい読者ではない(数冊しか読んでいない)ので、前者を読み進めるのは正直なところやや辛かった。フランシス・フクヤマ批判(第2章)…

マルクスの亡霊たち

近所の「姫路文学館」へ行き、車谷長吉と鷲田清一との対談を聞く。2人はいまから二十数年前のバブル期、車谷氏がセゾンの社員だったころ、「現代社会文化研究会」の裏方を担当しており、その会に鷲田氏が参加していたという間柄。 車谷氏が約2200枚の原…

姫路市立美術館で「シュルレアリスム展」を鑑賞。同館はけっこうシュルレアリスムに強くて、マグリットやデルボーの作品をある程度所蔵している。

NOVAの倒産で、東京にいる妹も、多額の被害をこうむったようだ。数十万円分のレッスン券を前払いしていたらしい。高い授業料となった。

「電車かもしれない」

この間ゼミの学生さんに勧められた映像作品を見てみた。学部学生が作ったとは思えないほどクオリティが高い。ちょっと夢野久作の絵にも似てるかも。

修士論文中間発表会、組合支部会議。組合の仕事はあまり楽しいものではないけれど、学長選挙を非民主的にする動きがあり、これは大学自治の観点からとめねばなるまい。

フリーターにとって「自由」とは何か

大学院修士課程を出てフリーターとなった著者が、フリーターの置かれた経済・社会状況を考察する。やや議論は荒削りであるし、「陰謀論」的な個所は問題含み、セキュリティ型権力の話はややこじつけだとも思うけれど、いわゆる「自己責任論」を批判する議論…

文字の都市

朝日などの書評で取り上げられていたので読んでみた。東大大学院の「多分野交流演習」を基にした論文集。残念ながら期待したほどではないが、文学の楽しさはそれなりに伝わってくる。

防衛省問題

日本経済新聞より 守屋氏問題、退職金返還要求へ――防衛相が意向 守屋前事務次官に退職金返還を求める意向を表明した石破防衛相=23日 石破茂防衛相は23日午前の閣議後の記者会見で、出入り業者との不明朗な付き合いが発覚した防衛省の守屋武昌前事務次官から…

授業、ゼミ、ゼミコンパ。その後大学に戻って、科研費の申請書類を完成。書類の中身もさることながら、毎度の「のりづけ」が鬱陶しい。8枚の紙ののりづけを、8部つくったから、56個所貼ったということか。私は手先が不器用だから、はみだしたり、ずれた…

謎としての現代:情報社会時代の哲学入門

著者は『の哲学』の大黒岳彦氏。大黒氏は、科学基礎論の大学院を出たあと、NHKに勤め、再び情報学環の大学院で学ぶという経歴の人だが、その経験が見事に活かされた名著だと思う。親しみやすい語り口ながら、哲学の真髄を若い読者に伝えようとする熱意が…

神戸学検定

ポートアイランドに行って受けてきた。合格ラインを超したかは不明。11時ころには終わったので、徒歩で神戸大橋を渡って三宮に戻り、中華街で豚まんを食べ、さらにそのまま歩いて、昔動物園もあったという諏訪山公園行ってみた。さらに中央図書館へ。続い…

神戸学検定 公式テキスト

神戸に10年間住み、神戸の大学に勤めているのだから、これは受けとかないと。今年の3月には「六甲・まや学検定」というのもあったらしいが、残念ながら見逃した。もうしないのかしらん。

自由とは何か:監視社会と「個人」の消滅

著者は、先日取り上げた『法解釈の言語哲学』の大屋雄裕氏。国家の必要性、個人という擬制の必要性を説く本だが、当たり前のことを論じている。監視社会批判論者等を批判しようとしているのだろうが、監視批判論者も、まあ大半はその程度のことは分かってい…

インド グローバル化する巨像

インドについてのバランスの取れた概説書。版型は新書版より大きいけれど、ページ数が130ページくらいしかないので、情報量としては新書版と同じくらいではなかろうか。

ブエノス・ディアス、ニッポン

著者はスペイン語に堪能な弁護士で、外国人の「不法滞在」等に絡む事故・事件が多く持ち込まれてくる。その中には、涙を禁じえないほどの悲惨な事例もあれば、犯罪絡みの事例もあるけれど、共通するのは、来日して生き抜こうとする人々のバイタリティだ。ラ…

弁護士いらず

著者はあの「ロス疑惑」の三浦和義氏。拘置所勾留中に、各種マスコミに対して名誉毀損の裁判を起こし、かなりの確率で勝訴した体験が語られる。疑惑そのものは相当濃いのだが、まああの事件はマスコミのデタラメ振りも結構ひどかったからな。東京スポーツな…

グアムと日本人

グアムの忘却されつつある歴史をもう一度、日本人の前に提示する。真珠湾攻撃に続く、日本によるグアム占領、大宮島という命名。そして、戦後27年経った後での横井庄一氏の発見(今の若者たちは、当然、横井さん、小野田さんといっても知らないだろうな)…

モスラの精神史

記述がやや散漫になるところがあるけれど、モスラだけで一冊の本になるとは驚きだ。

東アジアの終戦記念日

終戦記念日としての八月十五日を前著で問い直した佐藤卓己氏が、若手ならびに中韓の研究者と分担して、東アジア各国の終戦・敗戦の歴史を跡づける好著。

近代ヤクザ肯定論

山口組が、特に田岡組長時代に社会の底辺にいる人々(被差別部落民や在日朝鮮人も含む)に対して、夢や食い扶持を与え、一定の社会的役割を果たしたことが語られる。著者・宮崎氏の父や叔父もヤクザであったので、細部にリアリティがある。 神戸のヤクザの起…