2008-10-01から1ヶ月間の記事一覧

超・新幹線が日本を変える

JR東海が、南アルプスを貫く形でリニア中央新幹線を作りたいと発表したニュースは、未だ記憶に新しい。本書は鉄道アナリストとして著名な川島令三氏の新著だが、リニアを含め、整備新幹線開業後の鉄道経営について、現実的な提案を種々行っている。

知りすぎた女たち

ヒッチコックの作品は、つい論じてみたくなる魅力にあふれている。本書は、基本的にはフェミニズムの立場からのタニア・モドゥレスキーのヒッチコック論。1988年の原著だから20年前だが、古びてはいない。例えば『裏窓』論。「裏窓」において、観客は…

妻がお土産にもらったドラゴンフルーツを食べる。不思議な味です。

表象メディア論講義 正義篇

原宏之さんの明治学院大学での講義「表象メディア論」を、8回分に再構成したもの。正義をめぐる熱い思いが伝わってくる。イラク人を殺すブッシュに怒り、ナチズムに涙する。 特に面白かったのが「ゆきゆきて、神軍」の分析。このドキュメンタリー、私は見な…

戦後奄美経済社会論

来週は奄美に取材に行こうと思っているので予習。人口の流出(関西圏が多いらしい)、地場産業の苦境(さとうきび、大島紬、黒糖焼酎)、自立できない経済(奄美振興予算は多額だが、奄美群島内で使われるのは2割程度で、残りは流出する)といった、決して…

インターネット・サービス・プロバイダの実証分析

4人の研究者による共著。工学的なトラヒックの分析や、プロバイダのケーススタディはおもしろかった(例えば「白神ネット」という、秋田の地域系プロバイダについて、詳しく書かれている)。だが、第七章のセキュリティに関するアンケートは回答率が1割以…

授業、ゼミ、その後、久し振りに研究室泊まり込みで事務作業。 何かよいことないかしらん(他力本願)。

貨幣の経済学

貨幣や物価の安定性、そして経済政策の有効性をめぐる議論が中心。第一次大戦後のドイツの「レンテンマルク」、教科書などには出てくるけれど今一つその仕組みが良く分からなかったが、本書ではそれがいかに巧妙に構築され、インフレ退治に成功したのか詳し…

徳之島の民俗[1][2]

タイトル通り、徳之島の民俗誌。著者自身も徳之島の生まれで、30年間徳之島町役場に勤める傍ら、郷土研究を続けた。ことわざや田植え歌、漁業、結婚や出産、葬制などについて、都会に住む現代人とは大きく異なった文化がそこにあったことが分かる。おしゃ…

この国の経済常識はウソばかり

やや極論めくが、上にあげた本とも関連している。豊かな老人たちが、若者の時間を奪っているのが現在の経済状況だと説く。まず例に挙げられるのが、後期高齢者医療制度。富裕層の多い高齢者の、わずか1割の自己負担が問題とされ、派遣会社の健保組合の負担…

派遣のリアル

1992年から2003年までの13年間の間に、日本の派遣労働者の数は、4倍になったそうだ。雇用の調整弁として便利に使われる派遣労働者の実態を、統計とインタビュー調査から示す。世代間でのこれほどの不公平はやはり問題だろう。「ノン・ワーキング…

日本のケーブルテレビに求められる「地域メディア」機能の再検討

東洋大学に提出された川島安博氏の博士論文。「ケーブルテレビ」というと、研究者たちには「地域情報を伝えるメディア」との思いいれがあるが、実態としては必ずしも、住民は地域情報を求めているとは限らない、という現実を暴く。

統計調査環境の実証的研究

前半は日本の統計環境(統計調査を行う際の、人々の反応や感情、態度などを含めて、どれだけ統計を取りやすいか)についてアンケート調査などで概要を述べる。後半は、中止となった1983年西ドイツ国勢調査および、それに関する立法・法律改正について、…

誰も国境を知らない

70年生まれのルポライターによる、国境旅行記。韓国人に実効支配されている竹島や、北方領土、それに、小笠原諸島や硫黄島、対馬、与那国島、沖ノ鳥島への「上陸記」が語られる。尖閣諸島はヘリで上空から。尖閣諸島が埼玉県の栗原さんという個人の持ち物…

鉄道地図の謎から歴史を読む方法

悪い本ではないけれど、所澤秀樹さんの『鉄道地図の謎』(ISBN:4381104234)の方が調査が行き届いていたと思う。肝心な所はそこからの引用だし・・・それに、「白糠線」を「白糖線」と誤植している。こういうところに鉄道マニア・地理マニアは厳しいよ。

今日の雑感

会議が異常に長引く。 人と誠実に話し合う気がなく、 「おどし」や「揚げ足取り」や「屁理屈」に終始する人間と、 どう付き合ったらいいのだろうか?

メカニズムデザイン

いかにして上手な制度設計を行うかを論じたものだが、ほとんど数学(あるいは、記号論理学的と言ったほうがよいか)で書かれていて、非常に手強い。最後の「マッチング」の章で、やっと一息つける感じ。残念ながら、きちんと論理の筋を追えなかった。こうし…

社会の見方、測り方

副題に「計量社会学への招待」とあるように、社会を計量するさまざまな統計的手法を解説する。私自身も知らなかった手法もあり、勉強になった。ただ、やけに共著者が多いのはよいこととは言えないと思う。統計学者ではなく社会学者が書いていることで、よい…

司法的同一性の誕生

前川さんところのブログ(id:photographology)で知った。前半の「ベルティヨン方式」の解説が主で、後半は人類学の各論的な論文集となる。詳細な「ベルティヨン方式」の解説のみならず、ベルティヨンとシャルコー、ゴルトンなどの人的なつながりが興味深い。

読売新聞ニュースより 宝くじで2億円当選の女性殺害、新聞配達員を逮捕 宝くじで約2億円を当てた岩手県一関市の女性が2005年4月に失跡する事件があり、同県警は22日、この女性を殺害したとして東京都台東区松が谷4、朝日新聞配達員熊谷甚一容疑者…

貨幣の思想史

前半はまあ経済思想史か。ペティ、ケネー、ロック、スミス、リカード、マルサスとビッグネームが並ぶ。だが七章ではモーゼス・ヘスの「貨幣廃絶論」が取り上げられ、人間の尊厳を打ち崩すものとしての貨幣に焦点が当てられる。その後はヴァイトリング、シュ…

Hapiness

そのものずばりのタイトルだが、中身は、幸福について学問的に考えていこうとするもので、経済学の革新を狙っている。収入の変化や失業、さらには結婚やボランティア活動やテレビ視聴が、幸福にどんな影響を及ぼすのか、考察した論文から成る。特に先進国で…

二重心臓

夢野久作原作だが、この作品が映画化されたことにまず驚いた。例えば久作のファンにアンケート調査をして、好きな作品を挙げてもらったとすると、おそらく上位に来るのは、「ドグラ・マグラ」「少女地獄」「瓶詰地獄」「犬神博士」「氷の涯」「押絵の奇跡」…

離島圏域における図書館活動のあり方について

「日本図書館協会」が1984年に出した報告書。沖永良部島の和泊町図書館について、そして、(当時の)那覇市の新たな図書館計画について書かれている。

アキハバラ発

秋葉原通り魔事件の衝撃を受けて編まれたエッセイ集。この手の本によくあるように「玉石混淆」で、読む価値のある文章と、ない文章とが混じっている。編者である大澤真幸氏の文章も、「CROSS CHANNEL」という美少女ゲームや、酒鬼薔薇聖斗事件、西鉄バスジャ…

早朝に大阪駅近くで轢き逃げ事件があったらしい。しかも3キロも引きずられて・・・。可哀想の一言に尽きる。歩道橋を渡らずに、下の道路を横断していた被害者の方にも、多少の落ち度はある(歩道橋があるのに渡らないなんて、私には信じられないことだが)…

授業とゼミの日。台湾に「卒業旅行」に行っていたゼミの4回生たちからお土産をもらう。ありがとう。

東大入試 至高の国語「第二問」

東大入試国語第二問は、単なる読解問題の枠を超えた「二百字作文」として知られていた。私も受験生のころは練習したものだ。本書はその「二百字作文」の問題(作文といっても単にタイトルを与えるのではなく、文章を読ませて答えさせる)を取り上げ、その問…

IBMとホロコースト

コンピュータ開発前のIBMの主たる商品は、国勢調査用のパンチカードシステムだった。あまり知られておらず、また、IBM自体がひた隠しにしていることだが、ナチス政権下のドイツは、米国に次ぐIBMの巨大市場であり、子会社を通じてナチスにパンチカ…

新温泉町

新温泉町で地域情報化政策の取材。CATV整備が住民の反対で行き詰まっている。