2010-09-01から1ヶ月間の記事一覧
日本地方自治研究学会の25周年記念論文集らしい。第一部行政部門、第二部財政部門、第三部会計部門の三部構成。地域情報化や行政情報化に関する論文が収められているのは第一部。第二章では神戸の「北野工房のまち」の経緯を扱っており、これも神戸在勤者…
野口悠紀雄氏の著作。変わらず明晰な思考を展開している。このまま行くと財政(および年金も)破綻し、日本国債は暴落、デフレどころかインフレによって国が借金を軽くしようとするのではないかという危機感に満ちている。うーん、高橋洋一氏とどちらが正し…
お堀にいた黒鳥です。
タイトルから、情報法を構造的に説明する野心的な著作かと期待したが、失望する結果となった。要は論文集で、それを無理やりつなげたという印象。情報法の中で私が特に興味があるのは「個人情報保護法制」と「情報公開」だが、前者については第7章で扱って…
人種や民族というのは、完全な虚構である。しかし、人はついその虚構に頼ってしまう。著者が描きだすのは、民族の虚構性だけでなく、この種の虚構は、虚構と現実といった二分法で捉えられるものではなく、人間にとってはまさに「虚構が現実を支えている」の…
SF小説として評判がいいらしいので読んでみた。私も、若い頃はよくSFを読んだ。小学校のころには星新一、中学校のころには小松左京や筒井康隆といったお定まりのコースである。大学に入ってからは、友人に勧められた「夏への扉」を読んだくらいで、ほとんど…
読売新聞ニュースより ウィニー使いネット流出、映画など2万作以上か 読売新聞 9月27日(月)21時43分配信 ファイル共有ソフト「Winny(ウィニー)」を使って国内未公開の映画を流出させたとして、京都府警は27日、茨城県日立市鮎川町、ホテル従業員・…
妻が手術を受けている中、一日中仕事に追われた。雨だと少し憂鬱な気持ちになる。
副題に「開かれた検索システムのために」とあるように、グーグルのような大企業が、秘密のアルゴリズムを使って検索市場を支配していることを問題にし、「公開インデックス」を使って全世界の情報を統一的に探し出すシステムを構築することを提案する。どこ…
大災害や大事故に遭遇したとき、人はどのような行動を取るのかを、女性ジャーナリストが丹念に取材した本。よく、事故でパニックになると言う。確かにパニックになって人が出口に殺到するという実例も本書には載っているが(第六章)、それ以上に多いのは、…
二酸化炭素排出による地球温暖化問題を「カーボンリスク」と言い換えているのだが、内容が全般に浅薄で、知的興奮が全く得られない。温暖化問題のメカニズムについては、IPCCの報告書を鵜呑みにして書き写しているだけ、企業などの事例への突っ込みも浅い。…
心理学者のカシオッポと編集者との共著。9月17日の本ブログで触れた「つながり」の記述の基である実験について気になり読んで見た。実験はカシオッポ自身のものではなく、ロイ・バウマイスターらのもの(R.F.Baumeister et al,"Effects of Social Exclusio…
あとがきにもある通り、アメリカ社会を「クルマ」という一本の刀でぶった切った書物。クルマのために、エネルギーは浪費され、家族や共同体は崩壊し、一般民衆は肥満して健康を失い、産業は空洞化する、とする。私のような自動車嫌いにとっては大いに溜飲が…
タイトルは「ほうりのしま」と読むらしい。8月27日に見た「ミツバチの羽音と世界の回転」と同じく、祝島の原発反対運動をテーマにした映画。こちらの方が、より老人に焦点を当てている感がある(例えば祖父が子孫のためにと作った棚田を守り続ける老爺)…
会議と雑用に追われて一日が暮れる。夜、KAVCへ下記の映画を見に行った。
久生十蘭の短編集。岩波文庫のものとは一つもかぶっていない。私は昔、現代教養文庫の5冊本は読んでいるので、本書でも「生霊」や「南部の鼻曲り」などは既読だったが、後半には未読の作品が入っているので買ってしまった。 印象に残る作品は「その後」。漫…
環境問題と国際政治との関係についてのよい入門書。既に忘れかけていたシュワルナゼ演説の意味付けなどについて、鮮やかに分析されている。ただ1994年の出版なので、当然それより新しい事象については触れられていない。地球温暖化問題一つとっても、それか…
ずっと積読してあったのだが、やっと手をつけた。計量政治学者の菅原琢氏による分析で、2005年の小泉選挙、2009年の政権交代選挙、さらに、幻だった麻生人気などについて、選挙データや世論調査データを用いて鋭い分析がなされている。民主党の勝利…
著者の「怖い絵」シリーズ全3巻は素晴らしい本だった。本書は、NHKの「知る楽」テキストを再構成したもので、絵そのものはシリーズと共通しているものが多いのだが、解説については忘れていたところもあり、もう一度復習のつもりで楽しめた。新書版で1…
読売新聞ニュースより 「改ざん」地検首脳部が把握・放置…2月に報告 押収資料のフロッピーディスク(FD)のデータを改ざんしたとして証拠隠滅容疑で逮捕された大阪地検特捜部検事・前田恒彦容疑者(43)が、今年2月初め頃、特捜部の当時の大坪弘道部長…
既に30年近く前に書かれた環境社会学の本で、人口問題やエネルギー問題、食料問題などが扱われている。特に興味深いのは、『成長の限界』の影響を論じた第4章。私も若い頃この本を読み、大きな影響を受けたと思うのだが、「保守」「リベラル」「ラディカ…
受験生用ではなく、大学生用の英単語集。「文系・理系共通語彙」「文系共通語彙」「理系共通語彙」の3部構成。前2者については知ってる単語がほとんどだったが、時にあまり見慣れない単語、知らなかった単語があり、メモした。例えば lemma (補助定理) pa…
ゼミとゼミコンパの日。「どんつき」という言葉を初めて聞いた。関西弁で「突き当たり」という意味らしい。妻は使わないが。
100ページ足らずの解説編と、300ページ近いデータ編の2部構成。解説編の方はまあ現在では常識に類することが多いが、データ編は圧巻で、これほど多くの「外郭団体」等があるのかと絶句する。情報化に関係するところでも、「マルチメディア振興センタ…
社会学者の薬師院仁志氏が、地球温暖化論の納得の行かない点を鋭く批判する。既に8年前の本なので、解決した疑問点も含まれているのかもしれないが、専門外の分野に果敢に挑戦した点は素晴らしい。私も無論専門外だが、温暖化は事実としても、その主因が二…
毎日新聞ニュースより 社説:測位衛星 民間も費用の負担を とりあえず1基で様子をみるのか。3基体制にして米国のGPS(全地球測位システム)を24時間補完するのか。それとも7基で日本独自の測位システムを構築するのか。 測位を目的とする日本初の準…
こちらも環境問題を扱った論文集だが、自然と人工の2分法など、環境問題自体を問い直す視点が強く出ていて緊張感がある。第8章で扱われているカメルーンの事例で、持続可能な発展という名のもと、富裕な外人が行うスポーツとしての狩猟が許され、現地の人…
科研費特定研究「持続可能な発展の重層的環境ガバナンス」の研究成果をまとめた論文集だが、正直なところ、大したことは書いていないという印象。
本書の著者の長谷川一氏は、もと東大出版会の編集者で、東大の情報学環の大学院に入りなおしたあと、現在は明治学院大学のメディア論の准教授をしている。雑誌『スクリプタ』(紀伊国屋書店)に連載していた「機械と身体の縫合域」をまとめたもの(終わりの…
田中純・東大教授の著作で、ジャンルとしては「図像学」と言えばよいのだろうか。さまざまなイメージを基に、手探りで論を進めて行き、特に体系化を志向していない。古代の絵画から現代の写真まで、あらゆるイメージが扱われる。元は雑誌「UP」に掲載した…