2013-09-01から1ヶ月間の記事一覧

廃駅

「枯れ具合がたまらない廃駅」「駅舎が素晴らしい廃駅」「活きている廃駅」などテーマごとに集められた、100の廃駅の写真および解説集。1971年(42年前)の廃線で廃駅となった大分交通耶馬溪線の白地駅の駅舎には、なんと車掌だった中原さんが自宅…

人間仮免中

私は漫画をほとんど読まない人間なのだが、この卯月妙子の漫画は本当にすごいと思う。彼女は20歳で結婚し長男も生まれるが、旦那さんの仕事先が倒産、彼女は風俗嬢から特殊企画AV女優となる。その後旦那さんは自殺、彼女自身は統合失調症を患い、何度も…

努力する学生になってはいけない

著者の芦田宏直氏は、twiiter上では極論を言う変人のように見られている(?)が、本書を通読してみて、まっとうな哲学者であることがよくわかった。専門学校の校長としての訓示には、大学生と伍して就職戦線に立ち向かう専門学校生への愛情に溢れている(申…

無印都市の社会学

レム・コールハースの言う「無個性的で、アイデンティティのない町」(ジェネリック・シティ)を、本書では「無印都市」と表現している(「無印良品」とは直接関係がない)。こうした無印都市のフィールドワークをしようとする学生に向けて、先生方が「模範…

放送番組で読み解く社会的記憶

早稲田大学ジャーナリズム教育研究所を中心に行われた、放送番組を大学教育にいかに活用するかという試み。10人の研究者が、それぞれテーマ(原爆、戦犯、華僑、原子力、水俣、失業、ベトナム戦争、沖縄密約、犯罪、イラク戦争)ごとに、どのように放送素…

六ヶ所村ラプソディ

核再処理施設の建設された青森県六ヶ所村で、稼働反対の立場、賛成の立場など、様々な人を撮影し話を聞いたドキュメンタリー映画。2006年の、まだ東日本大震災以前に作られたものだが、中には原発事故を予感させるような発言もあり、何とも複雑な気持ちにな…

ベストセラーの世界史

フレデリック・ルヴィロワの著書。あくまで欧米が中心であるのだが、ベストセラーがいかに生まれてきたのか、本紹介番組や文学賞の功罪など、様々な観点から論ずる。一番のベストセラーは、やっぱり聖書なんだな・・・

アレの統計・確率

世の中のさまざまな事象の統計・確率を紹介する書。なかなか珍しい数字も挙げてありその点は興味深いのだが、いかんせん、扱われ方にいい加減な部分があるのが残念だ。学者か誰かを監修に使うべきではなかったか。

東京大学教養英語読本?

今年出版された、東京大学教養英語読本の2巻。最後の2章では、インドの英語征服について書かれたメルヴィン・ブラッグの本がテキストとなっている。知っている人も多いだろうが一応書いておくと、英国によって征服される前、インド亜大陸には多数の言語が…

dxとdyの解析学

副題に「オイラーに学ぶ」とあるように、オイラーによる解析学の解説が中心だが、さらに、「古典解析」と「近代解析」との比較へと進んで行く。解析学は一つだと思ってきたが、そうではなく、近代解析が厳密さを追求することで、むしろ本質から遠ざかったり…

都市のリアル

不安、孤独、サービス産業か、サウンドスケープなど、従来の都市社会学の枠をはみ出すような問題にも目配りした都市社会学の書。特に4章の、外食産業についての詳細な記述は迫力がある。編者たちによる終章のみ蛇足か。

東京凸凹地形案内3 地形と鉄道

ブラタモリ風の本の一つ。平凡社「太陽の地図帖」の21巻。タイトル通り、中央線、東急東横線、京王井の頭線、小田急小田原線などを例に、凸凹の多い東京の地形にいかに鉄道が敷設されたか解説する。鉄道は凹凸に弱い乗り物だから、線路はなるたけ起伏を避…

祝日のはずだが、関学大は今日から後期開講。しんどい。

まだまだ炭酸水

二つの「競争」

経済学や、ひいては一般世論の中で言われる「競争」には、二つの相異なる意味が混じっているというのが本書の主張。一つは、企業同士が競争によって、超過利潤を減らし、均衡へと向かうという意味での競争(competition)であり、もう一つは主体が自らの能力を…

大震災・原発とメディアの役割

「新聞通信調査会」による助成研究をまとめた書。報道の検証が中心だが、500ページを超える内容豊富な報告書が、1470円という廉価で買えるところが素晴らしい。

「若者」とは誰か

浅野智彦氏の若者論、アイデンティティ論。中島梓の『コミュニケーション不全症候群』や、天野義智『自閉主義のために』といった著作は、私も修士論文で引用したので、随分と懐かしい(中島梓=栗本薫氏は亡くなってしまったし、天野氏はどこでどうしている…

離島の本屋

フリーペーパー『LOVE書店!』に、2005年から連載していた記事をまとめたもの。タイトル通り、礼文から与那国まで、離島でがんばって開業している本屋に取材したものだが、「あの時、その後」という後日談がついていて、これが悲しい。まだ開業して…

東京大学 教養英語読本Ⅰ

東大は商売が上手いね(笑)。東大駒場の英語の先生たちが編んだ英語のリーダー。美術から先端科学まで、確かに興味深い英文が選ばれている。また、問題形式が取り入れられた注釈も、東大生だけでなく、東大受験生、東大に入りたかった他大学の学生たちなど…

日本の起源

東島誠、與那覇潤という、中堅・若手の二人の歴史家が、がっぷり四つに組んで「日本」の「起源」を語る対談書。私のように歴史に弱い人間からすると、次々と繰り出される多彩な知識に幻惑されてしまう。例えば、桓武天皇が自分の息子・娘を何組も結婚させて…

映像の歴史哲学

2011年に逝去された、日本を代表する写真論・映像論の論客の一人である多木浩二氏が、札幌大学で集中講義として開講した「映像文化論」の内容を、今福龍太氏がまとめたもので、途中今福氏が対談風に顔を出す場面もある。中身は、素晴らしい。札幌大学の学生…

英文法の楽園

『東京新聞』『中日新聞』に掲載されたコラムなど、見開き2ページの英文法の話題を105編収録。並びは品詞順。似た語感の語の使い分けや、今では死語と化した表現など、日本人になかなか分かりにくい急所が解説されている。

インターネットを生命化するプロクロニズムの思想と実践

東大情報学環に提出された博士論文が基となっているそうだ。プロクロニズムとはベイトソンの用語で、生命の来歴がその形態に刻み込まれていることを指す。ネット上のアート実践が主たるテーマなのだが、たまたま社会情報学会で「ネオサイバネティクス」につ…

地図を愉しむ東京歴史散歩 地形編

これもまた「ブラタモリ」風の本の一つ。第一部は地形の話題だが、第二部は旧華族などのお屋敷の話題が中心で、よくもここまで細かく調べたものだ。目白に、田中角栄が御殿を作る前にも、田中光顕の御殿があったとは知らなかった。

マイナンバーがやってくる 改訂版

昨年10月に出されたものを、今年のマイナンバー法の成立に合わせて改訂したもの。二つある座談会についてはそのままだが、法律や制度についての記述をブラッシュアップしてある。

ウェブ社会のゆくえ

鈴木謙介氏の、現代社会論の新作。空間論を基盤とした情報社会論でもあり、監視社会論でもあり、また、観光や地域おこしについても論じられている。私の問題意識と重なっているところも多く、興味深く読んだ。キーワードは「多孔化」。情報メディアによって…

数8の神秘

8という数の特異性を、数学のさまざまな分野から抽出して説明する本だが、親しみやすい表紙と比べて、中身は難しい。数学科の学生でないと通読は無理か?

映画のようなデジタルムービー表現術

デジタル一眼およびさまざまなレンズを使って、達意の映像を作る方法を解説する。

表象07

表象文化論学会の学会誌第7号。特集「アニメーションのマルチ・ユニヴァース」目当てで読んだのだが、むしろ他の論文や書評の方が面白かった。

立候補

2011年の大阪府知事選挙に出馬した「泡沫候補」と呼ばれる候補者を撮ったドキュメンタリーで、中でもマック赤坂氏が主人公格。マック赤坂氏は京大卒、元伊藤忠社員で、レアメタルを扱う貿易会社を作って財をなし、今では息子に会社を継がせている人生の成功…