2015-06-01から1ヶ月間の記事一覧

サッド・ヴァケイション

青山真二監督作品。浅野忠信演じる主人公が、幼い頃に自分を捨てた母親(石田えり)に対して復讐しようとするが、その「母性」(?)の前に敗北するというのが基本ストーリーだと思うが、いろいろと余計な要素が入っており、有名俳優を無駄使いしている感が…

チェンジリング

クリント・イーストウッド監督、アンジェリーナ・ジョリー主演。舞台は第一次大戦前のロサンゼルス。ある女性の子供が誘拐された。しかし、かえってきたとして警察から渡された子供は別人だった。いったい何が起きたのか・・・過ちを認めない警察の腐敗と、…

新世紀神曲

大澤信亮氏の評論3本を収める。いずれも、力を入れて書いていることは伝わってくるのだけれど、やや空回りしている感がある。標題作において、平野啓一郎の『決壊』などいくつかの小説についてほぼ完全にネタバレをしてしまっているのはいいのだろうか?

格差の世界経済史

原題は「The Son also rises」だから、子供もやっぱり出世する、といった意味。世界の名家が、いったいそのあとどのくらい名家のままでいられるのか、平均に回帰してしまうのかを、例えば、有名大学への入学や、医師・弁護士といった権威ある職業への就職な…

電子立国ニッポン

タイトルが与える印象とは違い、情報化、電子化の問題点が記されている。既に四半世紀前に出版されたものだが、情報化の歴史を知りたい人にはいろいろと興味深い点もあるだろう。

哲学ファンタジー

哲学・論理学者で、パズル本も多く執筆しているレイ・スマリヤンの傑作のひとつ。一般の人が楽しみながら、哲学や論理学の話題に親しめるよう、対話などの形式が多く採用されている。是非おすすめしたい。

我が逃走

何かと話題の実業家、家入一真氏が、その成功と失敗とを赤裸々に語る書で、面白かった。会社が上場し、自社株が資産になった家入氏は、飲食ビジネスに手を出すが失敗、会社は傾き、また、ちやほやしてくれた人たちも背を向けてゆく。人間て、そんなもんなん…

Digital Divide

Routledgeの社会学シリーズの一冊。デジタルデバイド論の第一人者であるVan Dijkらが理論を語り、後は世界各国のデジタルデバイドの現状が語られる。日本人も執筆している。

人口減少×デザイン

人口減少の実態を、美しいデザインの図表で語ってくれるところが良い。提言部分は完全には納得できないし、人口の目標を設定するというのも変な話だとは思うが。「生めよ増やせよ」ではないのだからさ。

高精度化する個人認証技術

バイオメトリクス技術の最新動向が分かる論文集。高いが値段に応じただけの価値はある。歩き方とか、座り方といったことまで、個人認証に使うことができるのだ。プライバシー問題についても論じられている。

アカルイミライ

黒沢清作品を2本続けて見た。トウキョウソナタの方は、リストラされたサラリーマンを香川照之や津田寛治が上手に演じているが、しかし、ピアノを弾いたことがほとんどない息子が大変な才能を持っていたというのは、何とも非現実的なオチに思える。アカルイ…

トウキョウソナタ

なぜ日本は「メディアミックスする国」なのか

カナダの研究者(といっても奥さんは日本人)のマーク・スタインバーグ氏が、前半では手塚アニメを、後半は角川の戦略を中心に論ずる。メディアミックスモデルを、手塚型、(角川)春樹型、(角川)歴彦形、ニコ動型に4分類。その本が角川から出版されると…

凄い!ジオラマ

どう見ても普通の風景写真なのに、そこに大きな指が写りこんでいたりすることで、実は模型(35分の1)であることが分かるジオラマ。「凄い」という形容詞は嘘ではない。写真を見ることがメインとなる本だけれど、ところどころでその超絶テクニックが解説…

これでいいのか平成の大合併

私は平成の大合併については研究対象として大いに興味を持っている。本書は2003年に出版された、平成の大合併を批判的に捉えた本の一つで、いくつか知らなかった事実もあり、有益だった。

映画とは何か(上下)

アンドレ・バザンによる映画批評の名作。昔、旧訳を図書館で借りて読んだのだが、このたびめでたく岩波文庫に収録され、手軽に入手できるようになったことを喜びたい。特に、イタリアのネオ・レアリスモ映画についてはかなり詳しく参考になる。

社会イノベーションの科学

期待させるタイトルだが、正直はずれた・・・

Pepperの衝撃

ソフトバンクが売り出したロボット「Pepper」については、どんなものだろうという関心を持つ人は多いでしょう。その興味に応える一冊。各部の仕組みや設計思想が分かりやすく解説されています。しかしクラウドで情報をpepperたちが情報を共有しているという…

増税よりも先に「国と政府」をスリムにすれば?

英「エコノミスト」編集者が、政府の非効率性から「小さな政府」を提案するという内容なのだけれど、近代国家と財政について、歴史的にも丁寧に説明されている。それもそのはず、著者二人はもともと、オックスフォード大学で歴史を学んでいるのだ。人文学出…

芸能界蛭子目線

蛭子さんが漫画と文章で芸能界を語る。いやあ、蛭子さんってやっぱり異邦人だわ。カミュの異邦人のムルソー役をやってください。「昨日、ママンが死んだ」。

性欲の研究 東京のエロ地理編

ずいぶんなタイトルだが、中身は真面目な本である。「田村泰次郎の新宿」「新宿の青線」「風営法とダンス」「群馬県達磨屋の営業と出歩く酌婦」など。ちなみに達磨屋というのも、売春業者の異名の一つ。

黒い迷宮

2000年に起きたルーシー・ブラックマン嬢殺害事件は、今でも覚えている。東京で行方不明になった若いホステス、それを追ってイギリスからやってきた家族、そして遂に捕まった容疑者織原城二、発見された悲惨な遺体。 本書はこの事件を追ったジャーナリストの…

ジャーナリズムは甦るか

池上彰氏を迎えて慶應の大石裕氏がジャーナリズムのあり方について対論する。後半は片山杜秀氏らも加わる。

コミュニティFMの可能性

東京から北海道にUターンし、ラジオの仕事を自分でもしていた著者が、北海道のコミュニティFMを対象としてコミュニティFMの可能性を探った著作。留萌市のFMもえるに、85歳のパーソナリティがいるというのは驚愕した。

歴史から理論を創造する方法

「木を見て森をみない」弊に陥りがちな歴史学と、「都合の良い事象のつまみ食いによる理論化」に陥りがちな社会科学の両者は、いかにして調停できるのか?この課題に敢然と立ち向かったのが本書。場所・時間を区切ったうえでなるべく網羅的に自称を集め、「…

交響する空間と場所(全2冊)

吉原直樹氏を編者とする都市論の論文集成で、1巻は『開かれた都市空間』、2巻は『創られた都市空間』とのタイトル。私には特に1巻の「情報化と乖離する社会」「リスクの中の都市空間」が有益だった。2巻で、安部公房を阿部公房と書いてあるのは興ざめ(p…

ニッポンの個人情報

鈴木正朝・高木浩光・山本一郎『ニッポンの個人情報』翔泳社、読み終わった。「プライバシー・フリークの会」3人組が、同カフェで話した内容の単行本化。個人情報問題の奥深さに、時には絶望的に気持ちにもなる。ヤフー別所氏へのあてこすり多数(笑)。

証明の探究

大阪大学における一般教養の数学の教科書。タイトルにあるとおり、証明に関する話題が中心で、特に「背理法」「数学的帰納法」について、それまで数学を本格的に学んでこなかった学生にも分かりやすいように記述してある。中学入試問題なども出てくる。 あれ…

柄谷行人論

柄谷行人は、特に運動NAMの失敗などもあり厳しい批判に晒されることもあるけれど、戦後日本を先導した思想家の一人であることは疑いない。私も柄谷氏の著書はほとんど読み、そのたびに衝撃を受けてきた。 さて本書は、ライプティヒ大学教授の小林敏明氏の…