2020-01-01から1年間の記事一覧

[book]日本の映画産業を殺すクールジャパンマネー ヒロ・マスダ『日本の映画産業を殺すクールジャパンマネー』光文社新書を読みました。 最近は下火になったが、ひところ「クールジャパン」という言葉特に政府から盛んに発信され、日本が「誇る」文化を外国…

平田知久『ネットカフェの社会学』を読みました。

平田知久『ネットカフェの社会学』慶応義塾大学出版会、2019年を読みました。 著者は社会情報学会の中でも「期待の若手」だったが、現在ではすっかり中堅の研究者となり、おそらく学界を背負って立つことになるだろう。学会でも何度かご一緒したが、その…

ショートショート「ボケと介護」

[ショートショート] ボケと介護 「どうもー、『ボケと介護』です。老人と孫でコンビを組んで、まだ結成1年目です。車椅子に乗っているのが僕のおじいちゃん、高森庄吉75歳です。おじいちゃん、あいさつして。・・・。ああ今日はちょっと調子が良くないよ…

『アベノミクスによろしく』『国家の統計破壊』を読みました。

明石順平『アベノミクスによろしく』集英社新書、2017年、同『国家の統計破壊』集英社新書、2019年を読みました。 著者の明石氏は労働関係を専門とする弁護士。この2冊を読む限り、経済統計の扱いもプロ裸足と言える。 前者は「太郎」と「モノシリン…

[book]ミヒャエル・ハネケの映画術 ミシェル・スィユタ、フィリップ・ルイエ『ミヒャエル・ハネケの映画術 彼自身によるハネケ』水声社、2015年、を読みました。 映画ファンでミヒャエル・ハネケの名前を知らない人はまれだろう。『白いリボン』と『愛 …

「ちいさいあきみつけた」殺人事件

*[ショートショート]「ちいさいあきみつけた」殺人事件 「ちいさいあきみつけた」の歌詞はこわい。なぜ怖いのか?何度か読んでいるうちに、これは事件を告発した詞ではないかと思い至った。 歌はこんな風に始まる。 「だれかさんが だれかさんが だれかさん…

*[book]サイレント映画の黄金時代 翻訳が出たのは最近だが、原書は1968年に出版された。著者は1938年生まれだから、原書の初版が出たときにはまだ30歳くらい、執筆は当然20代ということになるだろう。若者の特権を生かしてか、著者は当時まだ生…

*[book]『映画と文藝』 清水純子『映画と文藝』彩流社を読んだ。映画化された日本文学の名作を論じるものだが、特に海外で映画化されたものに焦点を当てている。 第一章はピーター・グリーナウェイの枕草子が論じられる。酷評されることもある「野心作」だが…