2010-10-01から1ヶ月間の記事一覧

ミクロ経済学Ⅰ

政策研究大学院大学学長の八田達夫氏による、ミクロ経済学の入門書。中身は学説的にはごくオーソドックスだが、実践的な章建て、豊富な練習問題など工夫されている。厚過ぎ(重過ぎ)るのが難点か。2はもっと厚い。

地球と一緒に頭も冷やせ

デンマークの統計学者ロンボルグの著作。地球温暖化問題を煽る前に、本当に温暖化が問題なのか(温暖化によって寒さが緩和されて死亡率が下がる地域もある)、また、有益なのか(京都議定書が実行されてもほとんど成果がない)を問いなおす。著者は環境問題…

最近よく2355見てます。

我、知事に敗れたり

堺市長を2期8年務め、3期目を目指した選挙で橋下・大阪府知事子飼の候補に敗れた木原敬介氏の著作。これまでの堺市の行政を振り返り、そして対立候補および橋下知事による露骨なプロパガンダ攻撃を批判する。当事者の書なのでどこまで信じてよいのか難し…

「情報社会」とは何か?

『<メディア>の哲学』『謎としての現代』に続く大黒岳彦氏の著作だた、感動的なこの前著2冊と比べると、残念ながら質的に大いに劣っていると思う。部分部分に、興味深い個所はある。例えば、著者は元NHKのディレクターだけあってそのテレビ論は一読に…

肥満と飢餓

現代の世界の食料システムが、加工・流通の段階で少数の企業に支配され、(一次産品の)生産者が搾取され、消費者は質の悪い食品(過剰な等分や油分、農薬など)を食べさせるという状態に陥っていることを批判する。全体の論旨としてはさほど新しいところは…

世界遺産白川郷

著者は景観や世界遺産を主たる研究領域とする学者で、白川郷がこれまでどのように見られてきたのかを本書では扱っている。そこから見えてくるのは、研究者や観光客の身勝手な要求だ。まずは劣った辺境の地というまなざしを向け、生活が改善されると興趣が失…

伊豆諸島を知る事典

タイトル通り、伊豆の9島に関する事典なのだが、正直なところ私にはあまり面白くはなかった。自分の研究に使える個所がほとんどないからかもしれない(現金)。利島の個所で、連絡先が「青ヶ島村役場」「青ヶ島村教育委員会」と誤植されているのを見て驚い…

甑島(つづき)・いちき串木野市・日置市

手打で市役所支所、図書室、郷土資料館に行き、高速船に乗る。実は台風が近づいていて、船が出るのか非常に不安だった。もし今日欠航ならば、明日明後日も欠航だろうから、いったいいつまで島で足止めされるのか見当もつかない。だから、無事串木野港に戻っ…

市町村合併裏話

著者は元NHK記者。鹿児島県内における市町村合併の経緯を追跡した書で、前半は南薩地域(薩摩半島の南部)、後半は川西薩地域(川内市、串木野市などの薩摩の西側の地域で、甑島も含む)が対象。特に後者は、串木野市の離脱や、下甑村での議員解職など、…

甑島

朝の高速船で串木野港から甑島の里港へ。以降、市役所支所(旧村役場)および、図書館(図書室)で資料を漁りながら南下する。旧里村から、旧上甑村まではバスで移動。7キロほどだが350円と安い。上甑支所ではレンタサイクルがあるので、借りて、中甑島…

薩摩川内市・三島村・十島村

神戸空港から朝の飛行機で鹿児島空港へ向かう、はずだった。しかし、昨日の午後にいきなりスカイマーク航空からメール(および、家の方には電話)が来て、乗るはずの便がいきなり欠航になったと言う。代替案が書いてあり、夕方の鹿児島便にするか、1時間後…

漢文法基礎

「二畳庵主人」こと加地伸行氏が、Z会から出していた受験参考書を、講談社学術文庫で復刊したもの。最近はちくま文庫から「新釈現代文」「古文の読解」が復刊されるなど、懐かしい受験参考書の復刊がちょっとしたブームとなっている。この「漢文法基礎」は…

デジタルサイネージ戦略

「デジタルサイネージ」とは、日本語で言えば電子看板となるが、ただの電光掲示板というよりも、文字・映像・音楽の融合したマルチメディア形態を取り、ネットや他の情報機器等と融合してその場の状況や人に応じた表現が可能となる、極めて高度な映像端末を…

読売新聞ニュースより 「1か月本読まず」52%…読売調査 世論調査 読売新聞社の読書に関する全国世論調査(9月25〜26日実施、面接方式)で、1か月間に1冊も本を読まなかった人は52%だった。 この質問を始めた1980年以降では、2002年の5…

身体補完計画

ドイツ文学者・表象文化論研究で知られる原克氏の著作。両者とも、いわゆるポピュラーサイエンス雑誌を読み解きながら、二十世紀の大衆の想像力を明らかにするものと言えるだろうか。中身も関連しているが、前者は特に電気が、後者は機械による人間の侵犯が…

気分はサイボーグ

原子炉時限爆弾

一時期「危険な話」などでもてはやされた広瀬隆氏の新作。恐怖を煽るような書き方は相変わらずでやや鼻につくが、原発や、放射性廃棄物処理施設が、危険な断層の上などに多数建設されているという主張には間違いはないと思う。特に、地球温暖化を口実にして…

くらべる地図帳

見開き2ページづつの67項目で、日本地理のさまざまなトピック(地形、気候、人口、産業、等々)を比較して行く。富士山の体積は琵琶湖の容積の約50倍、北海道よりも長崎県の方が海岸の長さが長い、札幌と福岡のどちらが大都市か、など、興味深いテーマ…

思想家の自伝を読む

上野俊哉氏が、一癖も二癖もある思想家たちの「自伝」(必ずしも自伝と銘打っているとは限らない)をネタに、思いのたけを語っている。取り上げられている思想家も個性的に選択され、サルトルやイーグルトン、アルチュセールなどから、きだみのる、大杉栄(…

絵で見る十字軍物語

ローマ人の物語の次は、十字軍の物語らしい。塩野七生氏は、実は私の母と中学校の同級生(今は廃校となった豊島区立高田中学校)だから、もう七十代も半ば近いはずだが、その筆力は衰えを知らない。 さて本書は、その十字軍の物語の導入で、実は文字の部分は…

未来世界の倫理

SF的な思考実験から倫理学を行う、イギリスの哲学者ジョナサン・グラバーの著作。主として遺伝子技術の改変や、電子的監視装置、アイデンティティの改変などの問題が論じられている。慎重な言い方ながら、(国家などの命令ではなく)各人が子どもに遺伝子…

「京都議定書」再考!

タイトル通り、京都議定書の役割について考察したもの。ロシアがしたたかな外交戦術を使っているというのは、これまで気が付かなかった。1990年時点から0%の削減でいいというのは、ロシアにとっては非常に有利な決着なのである。著者の主張として、「…

環境政策のポリシー・ミックス

「環境ガバナンス叢書」の6巻と7巻。いずれも論文集。私にとっては後者の方が興味深かった。環境政策(規制、税制、補助金など)をどのように組み合わせるのが効果的か、理論的に探求されている。

温暖化防止のガバナンス

環境外交の攻防

著者は米国の外交官として、モントリオール議定書(オゾン層保護条約)交渉に関わった人物。その経験が語られているのだが、話が細かく、読むのになかなか骨が折れた。

地球温暖化予測の最前線

後者は前者の改訂新版。勉強になるところはあるが、IPCCの言うことを完全に鵜呑みにしているのはやはり気にかかる。

地球温暖化予測がわかる本

いきるためのメディア

タイトル通りメディア論だが、社会学というよりは表現活動やアートに重点が置かれている。ディシプリンとしてはむしろ心理学や認知科学か。取り上げられているさまざまなメディア、作品、デザインなどがそれぞれ面白く、飽きさせない。特にPINTOというグルー…

文化人とは何か?

文化人って何って聞かれたら、なかなか正面切った答えは難しいが、本書はその問いに果敢に挑戦している。といっても、多数の人々がそれぞれの視覚から、答えを出すというものだが。12本の論文と、コラムやインタビューなどから成り、中身は玉石混交と言っ…