2008-01-01から1年間の記事一覧

北朝鮮へのエクソダス

封印の解かれた新資料を読み込みながら、1950年代末からの「北朝鮮帰国事業」が、人道的な措置では毛頭なく、むしろ朝鮮人を追い出したい日本政府の思惑によって開始された事業であることを、丹念に暴いて行く。もちろん当時は、韓国は李承晩独裁体制で…

リスク社会を見る目

タイトルにつられて読み始めたが、すぐに後悔した。レベルが低く、かつ「リスク社会」に話が及んでいない。確率論やゲーム論のごく初歩と、要らない駄弁(しかも血液型性格診断の話が出てくるなど、いい加減な記述が多い)から成っている。おそらく平均的な…

ホームベーカリーで初めて「もち」を作ってみた。東京の実家には専用の「もちつき機」があったが、それに劣らず上手にできたので驚いた。しかも、かかる時間は異常に短縮されている。「もちつき機」は、前の晩からもちごめを水につけておく必要があり、10…

The Media City

メディアと都市の関する問題群を、おいしいところ取りで扱った著作。特に私は、プライバシーや監視、リアリティTVの問題を扱った7章と8章に興味を持った。著者はメルボルン大学の准教授。メディア論関係では、けっこう南半球の学者ががんばっていると思…

地域から問う国家・社会・世界

「九州・沖縄」地域の位置づけを問いかける論文集で、歴史問題や開発問題がおもなテーマ。著者は大学の教官だけではなく、ジャーナリストや高校教師も含まれている。

アーキテクチャの生態系

レッシグの言う「アーキテクチャ」がいかに情報社会を形作っているか、とくに日本社会で特殊な発達を遂げた「2ちゃんねる」「ニコニコ動画」「ミクシー」「初音ミク」「ケータイ小説」等を題材に論ずる。著者はまだ若手の社会学者だが、説得力のある議論が…

友人のK君が広島から帰省する途中に姫路に寄ってくれる。ハレオで昼食。

戦後日本におけるアメリカのソフトパワー

第二次大戦後の米国は、日本占領を経て、軍事ではなく、文化的な手段で日本を親米国にしようとする。その一つとして本書が焦点を当てるのが、ロックフェラー財団による、日本のアメリカ研究への助成だ。そこには、理想と打算とが入り混じって現われている。 …

オオカミ少女はいなかった

副題に「心理学の神話をめぐる冒険」とあるように、心理学の教科書や概説書などに(一時期)頻繁に取り上げられながらも、その真偽については疑問視されていたいくつかの話題について、原典や資料に立ち返って検証する。各章とも面白いが、中でも表題作とな…

ガラパゴス化する日本の製造業

日本の製造業(この本では特にエレクトロニクス関連が対象)が世界の趨勢の中でズレており、国内向けにはよいが海外市場で敗北しているさまを「ガラパゴス化」と警告する。特に台湾企業の快進撃に焦点が当てられており、米国と台湾が分業体制に入ればもはや…

情報革命バブルの崩壊

さまざまな情報が無料で取得できるインターネットの世界だが、そうした無料化は、世界の金余りがもたらした一時的な現象ではないかと警告する。著者の本業は投資家だそうだが、第4章の、ソフトバンクの経営を分析した部分は興味深かった。とにかくたいへん…

自由地と自由貨幣による自然的経済秩序

マイナスの利子を持つ貨幣(クーポンを貼らなくては使えなくなる)を提唱したシルビオ・ゲゼルについては、何度かこのブログでも取り上げたが、やっとその主著を読み終えることができた。邦訳700ページ超でけっこう厚い。 これも何度か書いただ、ゲゼルの…

癒しの島 沖縄の真実

金沢で生まれた著者は、学生時代に沖縄問題に興味を持ち、東京でも入社試験を行っていた琉球新報社に入社する。1969年、米軍占領下の沖縄に配属され、70年のコザ騒動や、72年の日本復帰、通貨のドルから円への変換、道路交通における右側通行から左…

訓読みのはなし

日本における漢字受容の最大の特徴は「訓読み」にあると言ってよいだろう。他の言語にも、表音と読み方がずれるそうした慣用はないわけではないが、日本語ほど組織的に、漢字という異国の文字を換骨奪胎して自らの表記の中に溶かし込んだ言語はない。これが…

小値賀町

フェリー「太古」で早朝に小値賀港に着く。散歩しようと思っていたが、暗いので、午前7時ころまでフェリーターミナルにとじこもっていた。仮眠室もあるのだが、子供が数人たむろしていたので、関わりたくないと思い、外の自販機のそばで読書。 7時になって…

この国は議員にいくら使うのか

民主党の名物議員の一人、河村たかし氏の著作。国会議員もそうだが、日本では地方議員の給与も異常なほど高い。外国では、手弁当での活動を原則としている国がほとんどであるのに・・・議員がいかにおいしい仕事となっているのかを、議員自らが告発する。

対馬市

福岡空港から対馬へ。レンタカーを借りて対馬市役所(旧厳原町)へ。地域情報化政策の取材。約70億かけて整備するケーブルテレビ事業のことを中心に。 晩の飛行機で福岡に戻る。そして深夜のフェリー「太古」で、小値賀島へ。

なぜ君は絶望と闘えたのか

少年に妻子を殺された本村洋さんを主人公とするノンフィクション。難病をわずらい、子供を持つことを諦めていた本村さんが夕夏ちゃんを授かった喜びが、事件で無残に打ち砕かれる。被害者遺族を考慮しない裁判制度に怒り、かつ、絞殺された妻を抱きかかえる…

福岡に移動。友人のYともつ鍋。博多パークホテルに宿泊。

動物たちの沈黙

「動物性」については、コジェーヴの議論などを経て思想界の話題になったが、本書は、そういった一遍の議論ではなく、西洋哲学・思想全体から「動物性」に関する議論を引き出し、論ずる、浩瀚な書物。レヴィナスのような、動物について直接論じていない思想…

土地と住宅市場の経済分析

なぜ借家は持ち家と比べて小規模のものが中心なのか、など、土地や住宅をめぐる謎を経済学の観点から解き明かす意欲作。とくに借地借家法や、土地譲渡所得税といった制度に対して、批判的な結論を導出している。日本では中古住宅市場が整備されていないため…

M-1グランプリを見た。優勝したNON STYLEももちろんよかったけれど、笑いの量・質で言えばオードリーが上だったと思う。島田紳助の「(オードリーの春日が)のりおに似ているから(イヤだ)」との趣旨のコメントも解せない。これで紳助やM-1自体の…

地図に隠れた日本の謎

日本地理に関するトリビア集。「富士山と琵琶湖の容積はどちらが大きい」「親潮と黒潮はどちらが速い」といった話題が載っている。

the body and the screen

批判的、フェミニズム的な観点から書かれた映像メディア論。具体的なメディア作品を論じているところには興味深い個所もあるけれど、全体としては散漫な印象。結論部分で急に、それまで論じられてこなかったハイテク汚染の話が持ち出されてくるなど、いきあ…

私はあまりテレビドラマは見ないのだが、「流星の絆」はミステリーということもあって毎週楽しみにしていた。終わってしまって残念だ。原作を読んでいないので、どこまでが東野圭吾の創意で、どこからが宮藤官九郎の工夫なのか分からないが、両者とも大変な…

クラウド化する世界

邦題から「クラウド・コンピューティング」の話が中心なのかと思ったがだまされた(原題は「ビッグ・スイッチ」)。要はよくある情報文明論、もしくはインターネット社会論で、初めてこうした本を読む人には面白いかもしれないが、そうした本を多数読んでき…

分ける・詰め込む・塗り分ける

一般向け数学エッセイ。どうしたらケーキを平等に分けることができるか、靴紐のもっとも短い結び方など、日常的な話題に数学的に切りこむ。電話機のコードがなぜ絡まるかから論じはじめて、DNAの二重らせんがL=T+Wという優美な関係を満たしているこ…

表象の現代

「文学・思想・映像の20世紀」という副題が示すように、この3分野の論文各3本づつ、計9本の論文集。「パルチザン伝説」という不敬文学を書いた桐山襲という作家は知らなかった(講談社文芸文庫に1冊だけ、「未葬の時」が収録されている)。天皇の戦争…

表象文化研究

放送大学大学院のテキスト。絵画、詩、音楽、映像など扱うメディアも盛りだくさんである。小林康夫氏のマネ論などがおもしろい。

買物難民

モータリゼーション(自家用車の普及)のために地方鉄道は次々廃止され、バス路線も廃止や本数の減少が著しい上に、商店街は壊滅的な影響を受けている場合が多い。それで最も被害を受けているのはお年寄りである。 著者は、自動車批判で知られている哲学者で…