2009-06-01から1ヶ月間の記事一覧

思想地図vol.3

冒頭のシンポジウムおよび、「東京を考える」鼎談はそれなりに面白かった。だが他は・・・。円城塔氏の小説は始めて読んだが、衒学的で、私にはどこがよいのかよく分からない。安藤馨氏の論文も、権力を物理的な関係に還元する発想が主軸となっており、思想…

むかわ町

神戸空港から千歳空港へ飛び、レンタカーを借りてむかわ町の本庁舎および穂別総合支所へ。地域情報化政策の取材。その後、二風谷へ行き萱野茂アイヌ資料館を見学。そのまま日高町を経て占冠で宿泊。 写真は旧穂別町が地域イントラで整備したキオスク端末。

総メディア社会とジャーナリズム

著者は元・朝日新聞記者でサイバー大学教授。既存のメディアから新しく登場したメディアまで、概括的に解説されている。薄い著作であり、論点がすべて触れられているわけではないけれど、記述は平易で大学初年度生あるいは高校生でも充分に読める。

検証「沖縄問題」

沖縄に関する本はここ数か月でずいぶん読んだけれど、本書はその中でも迫力の点ですぐれている。戦後に米軍が行った基地政策と消費財の米国依存を深める施策、また、琉球政府が決めていた外資企業導入策を日本政府が撤回させるなど、沖縄の工業の弱さは、も…

怖い絵3

名著『怖い絵』の3巻目。これで打ち止めだそうでちょっと残念。鬼のような女がこちらを睨みつけているレーピン「皇女ソフィア」(異母弟と権力闘争を繰り返した)から、何の変哲もない田園風景の中に囲いこまれた土地と貧困層が透けてみえるものまで、今回…

ゲームの理論と経済行動 I

フォン・ノイマンとモルゲンシュテルンによる古典的名著。昔から邦訳が出ていることは知っていたが、全5巻で絶版でもあるし、読むことはないだろうと思っていた。これを復刊するとは、ちくま学芸文庫はよい本に目をつけたと思う(新釈現代文の復刊もうまい…

例外社会

笠井潔氏が「小説トリッパー」誌での連載に加筆訂正したものだが、それにしても厚い。「例外」というのはカール・シュミットの用語で、「例外状態」とは「緊急事態」のことを指すが、笠井氏は現代日本を緊急事態と見ているようで、危機意識に貫かれた熱い文…

不完全な現実

メディア・アーティスト兼東京芸大教授である藤幡正樹氏の新著。「InterCommunication」誌に連載していたものが軸となっている。銀版写真がミクロで見れば本当は「彫刻」であること、リンクをめぐる思考実験など、興味深いトピックスが選ばれている。

テレビ番外地

テレビ東京の元重役による思い出の記。日本科学技術振興財団による「科学教育チャンネル」のはずが、視聴率が取れずに一般局へとなだれこんで行くさまがよく描かれている。有名なサスペンス映画「わらの女」を、「麦の品種改良に成功した女性科学者の記録」…

学力と階層

第一章では、学習時間などの格差が拡大した様子がデータから語られる。残りの章は、むしろ教育に関するエッセイ集か。

声とかたちのアイヌ・琉球史

アイヌ・琉球文化についての論文集で、十人が執筆している。星暁邨の「紙本著色箱館湾シベツ図屏風」を論じた第3章、沖縄方言の「ぐすく」の語源を、「城」(き)+「塞」(そく)ではないかと明快に論じた第6章が特に面白かった。

地中海5

第5巻は、本自体の厚さは他の本と変わらないが、巻末の索引や文献の部分が半分以上を占め、本文は200ページ程度しかないため速く読める。トルコとスペインの休戦協定をめぐる外交交渉が大きな主題となっている。 結論の、以下のような言葉が心を打つ。 …

アジアのなかの琉球王国

昨日紹介した高良倉吉氏の本で、中身もある程度共通しているが、本書の方は特に、琉球と外国(中国、朝鮮、東南アジア、日本)との交流、貿易に焦点を当てている。琉球王国が中継貿易で栄えたのは15世紀、福州・泉州で中国の商品を仕入れ、アジア各地に供…

沖縄金融専門家会議

名護の金融特区に関して2004年2月に行われた同会議のプレゼンテーションおよびパネルディスカッションを再録したもの。野中ともよの発言が言いたい放題でおもしろい。

地中海4

ブローデル地中海の4巻目。「出来事、政治、人間」という副題の通り、通常の歴史記述に近くなる。16世紀後半の地中海を舞台として、主人公は何と言っても強国スペインのフェリペ2世。彼とトルコ、あるいは他の国々(オランダ、フランス等)の関係が主軸…

琉球王国

琉球大学教授の高良倉吉氏の著作。按司と呼ばれる首長層が台頭したグスク時代(12世紀)、中山、山北、山南の三つの王朝が並立した「三山時代」(14世紀)を経て、15世紀に、琉球を統一した第一尚氏王朝、その後を襲った第二尚氏王朝時代の歴史を、新…

SS国家

ナチスによる強制収容所を生き延びた社会学者オイゲン・コーゴンの著作。ナチスの蛮行を暴いた著作としてはもはや古典の一つなのだそうだが、私は初めて繙いた。強制収容所でどんなことが行われたのか、その一部は知識としては知ってはいたが、当事者による…

大学の反省

経済思想家・国際日本文化研究センター所長の猪木武徳氏の大学論。「大学の反省」というタイトルだが、必ずしも「反省」の書ではなく、むしろ提言の書だろう。中身も真っ当で、多少の異論はあるけれど、8割方は納得できる。安心して研究・教育するための国…

世襲議員のからくり

ジャーナリスト上杉隆氏の著作。世襲議員は、後援会のみならず、親の財産を無税で引き継ぐことができる。これは完全な「相続税脱税」ではないのか。世襲に期待する支援者、それを当選させてしまう国民も問題だが・・・ 「おわりに」には、テレビ局に子女を入…

血税空港

全国には99もの空港があるが、そのほとんどは赤字に苦しんでいる。地元の要求するままに、経済効果などを見込んで無為無策で空港を作り続けてきた運輸省・国土交通省の無策を批判。富士山静岡空港などにも厳しい批判を浴びせている。 その中で能登空港は善…

テレビの青春

ラジオ東京(現・東京放送)入社後、ディレクターとして数々の番組を制作する傍ら、同人誌を出したり、外部の演劇の脚本を書いたりと活躍し、1970年に「テレビマンユニオン」を作って独立した今野勉氏の「思い出の記」。登場人物も、阿部昭、実相寺昭雄…

沖縄の地域開発と産業振興

明治大学教授(執筆当時)の百瀬恵夫氏を中心とする論文集。沖縄の産業振興に向けた提言が語られるが、中心は4000メートル滑走路を持つ嘉手納空港の民間活用だろうか。確かに北部にも近く、狭隘な那覇空港よりも利点はあるが、現在も活用されてはいない。

毒殺魔の教室

「このミステリーがすごい」優秀賞受賞作品。小学校の教室で行われた毒殺事件を、その関係者が30年後に真相を尋ね歩くという形式。 伏線は張ってあるが結末前に真相を見抜くことは、おそらく難しいだろう。さらなるどんでん返しを期待する読み巧者にはむし…

幽談

京極夏彦の短篇集。ジャンルとしてはやはり「怪談」ということになるのだろうか。現代において「怪談」は難しい。例えば何も考えずに恨みがましい幽霊に襲われる話をしても、納得する読者は少ないだろう。本書はむしろ、怪談論かもしれない。おそろしいとは…

深夜の告白

名作映画。翻訳中の本に出てきたので見た。悪女(ファム・ファタール)ものですね。深夜の告白 [DVD] FRT-118出版社/メーカー: ファーストトレーディング発売日: 2006/12/14メディア: DVD クリック: 18回この商品を含むブログ (21件) を見る

対馬 海のシルクロードを往く

サラリーマンの書いた対馬旅行記。対馬宗家の末裔である、故・宗武志(麗澤大学名誉教授)のエピソードなども出てきます。後半はニューヨーク紀行で対馬と無関係。 ISBN:49153243003:image

対馬からみた日朝関係

九州と朝鮮の間に位置し、日朝関係に独特な役割を果たしてきた対馬の中世・近世の動静を振り返る。秀吉の朝鮮出兵につき合わされ、農民が動員されて国土が荒廃したこともあった。もともと貧しい土地で、貿易収入が減った江戸時代には、何度も貧困の極に達し…

徹底抗戦

ライブドア事件に関するホリエもんの手記。赤裸々でおもしろい。

公企業の成立と展開

営団や公社がいかにして成立したのか歴史的に考究する学術書で、著者の博士論文に加筆訂正したもの。もちろん水準には達しているのだが、なぜか読み応えがない。大学へ行く電車の中であっさりと読み終わってしまった。

毎日新聞ニュースより 新漢検:元高校教諭ら設立 10月に初検定 前理事長親子が背任罪で起訴された「日本漢字能力検定協会」(京都市)に対抗し、兵庫県の高校教諭OBらでつくる「日本漢字習熟度検定機構」(東京都千代田区)が10月から、「新漢検」の通…