2017-01-01から1ヶ月間の記事一覧

ドイツ映画零年

ファスビンダー、フリッツ・ラング、ヴェンダース、レニ・リーフェンシュタールを中心に論ずる映画評。これは名著と言っていいと思う。ラングの奥さんはナチ党員だったのか・・・

大学入試問題で読み解く「超」世界史・日本史

片山杜秀教授が、東大京大一橋早慶の論述歴史入試問題を、編集部との対談の形で解説。回答自体は作っておらず、問題回答例含めて論評。一橋の出題に結構批判的なのが面白い。出題者の意図を忖度しなくてはならないと(!)。

思想的地震

柄谷行人の講演集成。別に単行本化した「近代文学の終り」や「日本精神分析」をはじめ、「日本人はなぜデモをしないのか」などとても面白い。中でも、熊野大学で中上健次を論じた「秋幸または幸徳秋水」は出色だろう。中上の「岬」などの主人公の名前「秋幸…

世界をつくった6つのものがたり

テレビ番組と同時進行で執筆された啓蒙的歴史書。ガラス、冷たさ、音、清潔、時間、光の6章構成だが、グーテンベルク革命と眼鏡、発明家ド・フォレストと真空管アンプなど、メディア史と関連の深い事柄も数多く含まれている。

くたばれハリウッド

俳優から大物プロデューサーとなったロバート・エヴァンスによる自叙伝。俳優や監督などの映画関係者との交流が中心。生き馬の目を抜くような世界で飛び回りながら、次々と女性(やはり女優やタレント)を恋人にし、首尾よく結婚しても新婚妻を置いて別の女…

家族会議

短編はいくつか読んだ覚えがあるが、横光利一の長編小説を読むのは初めてだ。主人公の重光高之は若くして株屋を継いだ経営者。独身でモテモテで、いったいどの女と結婚したらよいのかで悩んでいる。花嫁候補の一人、仁礼泰子の父親である文七は、父親の仕事…

統計学が日本を救う

売れっ子統計家の西内啓氏による新書。少子化対策や幼児教育などに予算を割き、増え続ける高齢者医療費にメスを入れよというのが全体の趣旨。言いにくいこともあえて言う男気が感じられる。

ミクロ動機とマクロ行動

2005年にノーベル経済学賞を受賞したトーマス・シェリングの学術的エッセイ集。特に第2章の「椅子とりゲームの数学」はとても面白く有益で、高校の国語の教科書に抜粋して掲載したらよいのではないかと思う。さまざまな具体例から、加速度原理などを説…

Surveillance and film

監視を扱った映画を対象として映画論で、デヴィッド・ライアンやウィリアム・ボガードなどの監視論も援用されている。ヒッチコックの「裏窓」などに始まり、監視映画が意外と多数あることに驚かされる。著者のMacgregor Wiseはアリゾナ州立大学の教授。

ハーバード大学は「音楽」で人を育てる

ハーバードを初めとして、米国の一流大学が、いかに音楽を重視するカリキュラムを組むようになったか(また、「音楽院」のような音楽専門の大学でも、単に演奏するだけではなく、リベラル・アーツをいかに重視しているか)のレポート。二物も三物も与えられ…

愛、アムール

ミヒャエル・ハネケ監督作品。ハネケの作品は好きで、ほとんど見ている。 冒頭から、老女がベッドで亡くなっているネタバレ的な場面で、音楽家の老夫婦が死に向かっていくさまが静かに描かれる。妻の手術が失敗し、半身不随となり、夫が面倒を見るのだが、病…

京都国立近代美術館で開催された、「動態論的メディア研究会」に参加してきた。ゲストは、メディア・アーティストとして世界的に活躍している藤幡正樹氏。私も質問してみた。午後5時からであったので、行きに、普段あまり乗ることがない京阪電車に乗り、淀…

人種神話を解体する 2 科学と社会の知

「人種」(race)という概念は、人類に多大な災厄をもたらしてきた。現在の科学では生物学的実体をもたないことが明らかになっているが、一部の地理の教科書などには、まだ便利という理由で掲載されている。本書は、人種概念を振り返り、かつ、今後科学的な装…

政策実施の理論と実像

「政策実施研究」の論文集で、同志社大学の真山教授の指導生たちの共著だが、中身は玉石混交で、中には何の意味も見いだせないようなものもある。

自殺の歴史社会学

デュルケーム『自殺論』にみられるように、自殺は社会学の中でも重要なテーマの一つであった。現代日本について、歴史社会学の観点から、「厭世自殺」「生命保険と自殺」「過労自殺」「いじめ自殺」「自殺への対策」などを章ごとに扱うのが本署。 自殺の統計…