2013-08-01から1ヶ月間の記事一覧

美術手帖 2013年6月号

特集が「初音ミク」なので手に取った。完成度の高い作品でないと、もはや視聴数も伸びないのだという。だんだんと二次創作の敷居も高くなっているのかもしれない。

おお、「テクネ 映像の教室」のDVDが出る。

地域情報化で地域経済を再生する

熊本大学の山中守教授による、地域情報化関連の論文集。地域情報化で地域経済を再生するのは、実際のところはなかなか困難なのだけれど、山中教授はこの課題に果敢に挑戦している。使われている経済学や心理学の理論はさほど難しいものではいので、実務家や…

『現代思想』8月臨時増刊号 総特集 フォン・ノイマン

まさに総特集で、フォン・ノイマンに関係する記事しか載っていない。よって、雑誌というよりむしろ単行本的であろう。また、第一部にフォン・ノイマン自身の論文と、ゲーデルとの往復書簡が掲載されているほかは、すべて日本人の論文であることもちょっと感…

研究する大学

岩波の「シリーズ大学」の一冊(第4巻)。目次は以下の通り。序論 1.研究をめぐる競争的環境 2.研究成果の公共性と私的権利 3.社会の中の研究 4.文系と理系の間 5.人文学の使命序論において、大学史を振り返る中で、大学の教師が「研究者」となっ…

これが物理学だ!

インターネットに講義を公開して大変な評判を得た、MITの物理学教授ウォルター・ルーウィン氏の著作。冒頭は物理の話ではなく、ユダヤ系として生まれ、親族がヒトラーに虐殺された悲しい生いたちのことから始まる。著者の「体を張った教室での実験」は、まさ…

地図の読み方大事典

「地図の読み方」というタイトルがついているけれど、いわゆる「読図の仕方」を教える本ではないので注意が必要。まあ、地理・地誌の雑学事典。「板門店」は、高麗時代には旅館がポツンとあるだけの寒村だった、とか、対馬はもともと一つだったのに、167…

ロジャー・アクロイドはなぜ殺される?

アガサ・クリスティの名作の一つである「アクロイド殺し」。このミステリの叙述トリックは賛否両論話題を呼んだ。社会学の東大教授である内田隆三氏は、なんとこの作品一作を詳細に論じることで、分厚い学術書を書いてしまった。 副題に「言語と運命の社会学…

タモリ論

タモリ論とあるが、たけしやさんまにまで手を伸ばしたため、随分と中身の薄い本になってしまっている。タモリは絶望している、さんまはもっと絶望しているなどと言うのだが、それがどうしたの?という気になる。86ページに、90年代にコージー富田が出て…

私たちはなぜ税金を納めるのか

副題にあるように、租税の経済思想史を振り返るもの。最大の読みどころは第三章の、米国の租税が関税中心から、所得税などを中心としたものへと転換していった歴史を描いたところだろう。関税で税金を賄えるなら良いではないか、と思う人がいるかもしれない…

放送批評の50年

放送批評懇談会の50周年を記念する出版物。同懇談会は、1967年から雑誌『放送批評』(1997年には『GALAC』と改名)を出してきたが、その中から100本の記事を選んで再録したもの。分厚い。1000ページ近くあるのだが、通読することで、日本の…

戦争の映画史

PART1の「映画と戦争」においては、ヴィリリオなどの映画論を援用しながら、戦争と映画、さらには国家などとの共犯関係を論ずる。現在、死体の映像はほぼタブーだが、歴史的には必ずしもそうではなく、戦争に対する知覚を麻痺させるためなどにそうした「シ…

袋小路

ポランスキーの代表作の一つ。何ら予備知識を持たずに見たのだが、最初はなかなか状況が掴めなかった。体調の悪そうな男が車に乗っていて、その車を巨漢が後ろから押している。下は砂地で、どうもタイヤがめり込んで動けなくなったらしい。ほどなく、車は杭…

吉野葛・蘆刈

谷崎潤一郎の名作。「吉野葛」は、昭和6年に『中央公論』に発表されたもの。ただの奥吉野への紀行文のように見えるが、実は巧緻に構成された小説である。『蘆刈』は翌昭和7年に発表されたもの。両者とも、男のもつ「母」への思いが、モチーフの根底に流れ…

はなれ瞽女おりん

篠田正浩監督の名作。主人公の「はなれ瞽女おりん」を演じるのは、もちろん岩下志麻。ずっと目をつぶったまま演技するのは大変だったろうと思う。舞台は明治の日本海沿い。小浜で盲目に生まれたおりんは、瞽女の師匠のところに預けられ、三味線などを習うも…

神山町、一度行ってみたいものだ。時事通信社ニュースより。 テレワークで「脱都会」=山間、海辺にIT企業が続々―徳島 2013年8月24日(土)5時18分配信 時事通信 デスクワークの合間に農作業で一息。通勤前にはサーフィン。徳島県の山間部や海辺にオフィスを…

傑作ドキュメンタリー88 観ずに死ねるか

原一男や平田オリザから成海璃子まで多数の著者が、自らの勧めるどきゅめんたりー映画を熱く語った書。

虚構のアベノミクス

超金融緩和策による円安、物価上昇を目指す「アベノミクス」で、なんとなく景気が良くなった気がしているが、多少輸出企業(特に大手自動車メーカー)の企業利益が上がろうと、株価が上がろうと、経済全体から見るとむしろプラスよりマイナスの方が大きいこ…

セブンとイオン

セブン・ホールディングスとイオングループの経営戦略を、関係者への取材から追ったジャーナリスティックな著作。そういえば昨日は、イオンがダイエーを買収するというニュースが出た。本書は2009年の出版なので、データとしてはやや古くなっているけれ…

その夜の侍

轢き逃げ事件で妻を失った男(堺雅人)が、出所後もさっぱり行動を改めずに暴行事件などを繰り返す轢き逃げ犯(山田孝之)に対して、5年目の妻の命日に復讐をしようとする物語。山田孝之の粗暴な悪者ぶりも、小さな町工場の経営者をしながら復讐の機会を伺…

ブニュエル、ロルカ、ダリ

ブニュエル研究の第一人者が、ブニュエル、ロルカ、ダリがともに青春時代を過ごしたマドリードの「学生館」時代から、その後の交流(ブニュエルとダリとの対立関係も含めて)まで、詳細な資料を基に書かれた著作。天才たちが火花を散らす青春群像。

夢売るふたり

西川美和監督作品。小料理屋を火事で失ってしまった夫婦(阿部サダオ、松たか子)の二人が、結婚詐欺をしながら新店の開店資金を稼ごうとするのだが・・・というストーリー。

心中天網島

篠田正浩監督作品で、当然のように岩下志麻がヒロイン(それも、女郎の小雪と女房のおさんの二役)を演じる。舞台的な演出がなされており、多数の「黒子」が登場するという奇抜な手法。中村吉右衛門演じる主人公・紙屋治兵衛のだらしなさには苛立つが(笑)…

アフタースクール

内田けんじ監督の作品は好きで、PFFで入賞した「WEEKEND BLUES」を始め、「運命じゃない人」「鍵泥棒のメソッド」も佳作だと思うけれど、この作品は上記の3作品と比べるとやや落ちるように思う。事件の展開がダラダラしているためだろうか?あまりにもあり…

つながりを探る社会学

「社会学」とついているが、これは学術書というよりは、例えば人間関係に悩む人に対して、スピリチュアリティを使って救済を行う「実践の書」と思った方がよいだろう。

ニーチェ A嬢の物語

「アリアドネの歎き」を中心に、ニーチェの詩を詳細に読み解く。第三章において、『サルペトリエール写真図像集』で有名なヒステリー患者のオーギュスティーヌが出てくる。こうした「精神病者の写真」の存在は、私にとって謎の一つであったので、その実態に…

日本の原郷 熊野

梅原猛による熊野論。もう二十年以上前の本。ああ、また熊野に行きたい。

マルクスの三つの顔

『自省録』のマルクス・アウレリウス、『資本論』のカール・マルクス、そして喜劇映画のスターだったグラウチョ・マルクスなどのマルクス兄弟・・・。単に同名というつながりしかないように思われるこの3つを、強引とも言うべき論理で結びつけ論ずる、四方…

放送批評の50年

放送批評懇談会の設立50年を記念して、『放送批評』およびその後継誌の『GALAC』に掲載された文章(1967−2012)から、代表的なものを選んで一冊とした。すごく重い(笑)。

これでいいのか 兵庫県神戸市

「日本の特別地域」というシリーズだが、もう47冊目だそうだ。といっても、対象地域はかなり首都圏(の東京特別区)に偏っていて、関西では「大阪市」に続いて2冊目。記述は、神戸市民なら大抵は知っていることが書かれていて、あまり新味はないのだが、…