2018-01-01から1ヶ月間の記事一覧

日本の無戸籍者

タイトルが示す通り、日本において無戸籍の人が被る問題とその原因、そして戸籍とは何か、なぜ戸籍で差別が起きるのか、それから、蓮舫氏で話題になった多重国籍や重婚の問題まで、幅広く論じられている。特に印象に残るのは、樺太から引き揚げてきた人の苦…

復刻版教科書 帝国地理 大正7年

タイトルにもある通り、大正7年に刊行された文部省検定済の中等教育程度の地理教科書をほぼそのままの形で復刻したもの。中身は日本の地誌が中心だが、朝鮮、台湾、樺太も含まれる。順序としては、まず帝国の中心の関東地方に始まり、続いて奥羽(東北)、…

消えたシモン・ヴェルネール

フランス映画で、フランスの高校生たちが主たる登場人物。タイトル通り、まずシモン少年が失踪し、続いて、何人かの生徒も消えてしまい、クラスメイトたちはその謎について語り合う。「桐島、部活やめるってよ」的な話かと思ったが、そういうわけでもなかっ…

デザインド・リアリティ

われわれが生きる「デザインされた世界」を、店員によるオーダー処理や、コスプレ、プリクラ、童貞などをテーマにして心理学的に考察する。

統計学の日本史

名著「基本統計学」などで知られる統計学者が、歴史の方へと歩みを進めた。福沢諭吉、大隈重信、杉亨二、阪谷芳郎などが論じられるが、中でも、森鴎外が加わった、「統計」という用語法に関する論争が詳しく紹介されていてとても面白い。

ヴァナキュラー・モダニズムとしての映像文化

早稲田大学の長谷正人教授による映像論集。書き下ろしがないのが残念ではあるが、著者が各所で書いた17本の論文・エッセイがほぼそのままの形でまとめられている。ヴァナキュラー(土着的な)モダニズムというのは、元はミリアム・ハンセンの用語法だそう…

変貌する法科大学院と弁護士過剰社会

著者は弁護士かつ、愛知大学の法科大学院の教授を勤める。その経験から、法科大学院がいかに失敗したのか、そして、どのように改革すればよいのか、説得力のある提案が語られる。しかし、中坊さん(弁護士会長時代に法曹人口増加に舵を切った)って、功より…

枕草子のたくらみ

この本は素晴らしかった。清少納言といえば、知的で天真爛漫といったイメージを私は持っていたが、本書で描かれる清少納言はまったく違う。何よりもまず中宮定子を支えるために枕草子を執筆、著者が精緻に読み解くところでは、清少納言は有名な歌人の家系に…

平成30年となりました。本年もakehyon-diaryをよろしくお願いします。