2009-01-01から1ヶ月間の記事一覧

互助社会論

副題に「ユイ・モヤイ・テツダイ」とあるように、日本の伝統的な助け合い、支えあいの制度について再考した社会学書。これもとにかくデータが細かい。どこどこのどんな集落では、こんな助け合いの制度があるといった記述が、本文にも注釈にも山ほどあふれて…

名も知らぬ遠き島より

種子島・屋久島・トカラ列島の旅行記。著者は種子島生まれで、航海士を経てライターとなった人物。当初の企画は「島の食事」をメインにする予定だったそうで、巻末には特別附録として「島の料理」のレシピが付いている。

祭祀と空間のコスモロジー

著者は慶應大学教授の民俗学者。対馬と、八重山をフィールドとして、その風俗習慣などを記述するものだが、とにかくその内容が細かくて読み進めるのが大変。波照間島の民俗方位(実際の方位とはずれている)の話が面白い。

作者と主人公

ミハエル・バフチン著作集の第2巻。「作者と主人公」というタイトルだが、中身は主人公論が中心。

闘う政治

民主党のエースの一人、長妻昭議員の著書。日本の「官僚支配」のありさまを、豊富なデータから実証する。天下りの例として挙がっている、小林実・元自治事務次官や、正木馨・元社会保険庁長官の、定年後の「わたり」とそこから得ていた報酬の多さに、読者は…

奇妙な国字

国字のうち、「炬燵」の「燵」と「纐纈」の「纐」をとりあげ、この2つの、訓のない国字がどのように成立したのかを推理する。特に後者の場合、いくつもの仮説を立てて検証するなど、ちょっとしたミステリー仕立てでおもしろい。

地図で読み解く日本の地域変貌

日本の主要都市や特徴ある地域111ヶ所について、明治や大正の古い地図と最近の地図とを比較対象しながら、その変化について解説する大型本。 若松と戸畑のあいだ、現在は埋め立てられている場所に以前、中島(かば島)という島があったそうなのだが、その…

漢和辞典に訊け!

著者の円満字氏は、元漢和辞典編集者。中身は基礎的なものだが、漢和辞典への愛があふれた一冊。特に「革新的な漢和辞典よりも、伝統的な、古色蒼然とした、性格の曖昧な漢和辞典の方に、より魅力を感じる」(p.51)というのはよく分かる。巻末に、主要な漢和…

The Death of Cinema

本文は、左ページに映像、右ページにテクストという、断章的な構成。映画の製作本数は決して減ってはいないが、観客を得られずにお蔵入りしたり、保存状態も悪いなど、映画という文化の「死」が目前に迫っていることを警告する。著者のウサイ氏は、ジョージ…

時事通信ニュースより 初の映画専門単科大設置へ=11年度から、川崎市に 学校法人神奈川映像学園(佐々木正路理事長)が、運営している専門学校「日本映画学校」(川崎市)を4年制の映画専門単科大に移行し、「日本映画大学」(仮称)を設置することが2…

「場所」論

元グローコムの丸田一氏の著書。現実空間とウェブ空間との絡みを主題にした本。いろいろと面白い細部があるが、西田哲学まで出てきて話は拡散する。最後の着地点は、「帰るべき郷土」をこの両空間を基に作ることを提唱。

21世紀の国富論

シリコンバレーに渡りベンチャーキャピタリストとなった著者が、あるべき経済の姿を語る。短期的な投資に走ってしまった資本市場のあり方を厳しく批判、技術に基づいた長期的な投資、数字に振り回されない投資を提唱する。パソコンの時代は終わり、新たにP…

時事通信ニュースより JR東海会長、新幹線が最適=米カリフォルニアに売り込み 【ロサンゼルス27日時事】「安全性、効率性などの点で新幹線が最適」−。JR東海の葛西敬之会長は26日、ロサンゼルスで開かれた環境問題に関する国際会議でカリフォルニア…

CIA秘録 下

数日前上巻を読んだ続き。相変わらずCIAは失敗続き。反政府組織を援助し、それが後に反米に走るなど、自ら紛争の種を蒔いて歩いている。9.11テロは防げずビンラディンは捕まえられない。笑えない。

プルーストとイカ

ちょっと変わったタイトルだが、プルーストはあの「失われた時を求めて」で描かれる記憶の想起を、イカは最近のイカの神経系から得られた研究結果を、表しているものらしい。人間が文字を読むとはどういうことなのか、文化的な観点と、脳神経学的な観点から…

種子島

種子島に関する本は存外少ない。その数少ない一冊。歴史の話が中心。人口は屋久島より多いけれど、島としての魅力はあまり・・・

京都の大山崎山荘(アサヒビール所蔵)へ、山口晃展を見にはるばる出かける。

はそもそもデタラメである

宮台真司氏が、ダヴィンチに連載していた映画評論をまとめたもの。600ページ弱というボリュームで1890円という価格はお買い得だろう。個々の映画を論じているのだが、「実存批評」との言葉通り、宮台氏のこれまでの経験や、思想的な変遷が、たっぷり…

CIA秘録 上

ニューヨーク・タイムズの記者が、豊富な資料を基に描き出したCIAの歴史。CIAと言えば、おそろしい諜報機関の代名詞であったが、その内実はまさにいい加減で、別の意味でおそろしい組織だったことが暴かれる。さまざまな作戦は失敗の連続で、共産主義…

骨単

骨に関する解剖学用語の和英対照本。主として医学生を対象としたものだが、一般人が読んでもおもしろい。 第一に、図版が丁寧に作られていてきれいだ。人間の身体の神秘、精巧さを実感できる。 第二に、その専門用語の語源を詳しく解説している。欧米の学問…

Cinematic Mythmaking

MITの哲学の教授であり、これまでも映画に関する著作をいくつも出しているIrving Singerの哲学的映画評論。タイトルから分かるように「神話」が一つのテーマ。あらすじを延々紹介している退屈な個所もあるけれど、ところどころで興味深い指摘もある。私が特…

戦後日本スタディーズ 3

全3巻で戦後日本を捉えなおすシリーズ。第3巻は80・90年代。論文もさることながら、私にとっては堤清二や三浦雅士へのインタビューが興味深かった。 佐藤俊樹氏の階層社会論は、「平等意識が強いからこそ階層意識が強まる」という「階層化社会の二重底…

地図に訊け!

著者は元・国土地理院の技官。まあ初心者向け。

ゼロ年代の想像力

著者の宇野氏は、1978年生まれの評論家。もう東浩紀は、若手ではなく大家らしい(別に皮肉な意味ではなく)。 本書は、主として2000年以降(ゼロ年代)の文芸・映画・マンガなどの作品を論ずるもの。著者は、1995年前後に、社会が変わったという…

探偵小説は「セカイ」と遭遇した

笠井潔氏の推理小説論集。笠井氏は「脱格系」の推理小説を高く評価するのだが、その系統の作品を私はほとんど読んでいないので、その説の当否はよく分からないが、清涼院流水の小説(大説?)はくだらないと思う。 三部構成の第二部はまるごと、「容疑者xの…

学問とは何か

羽入辰郎氏の「マックス・ヴェーバーの犯罪」は、ヴェーバーがプロ倫で犯していた不誠実な資料改竄を暴露して「ウェーバー学界」に激震をもたらしたが、それに対して折原浩氏がヴェーバーを擁護する立場で出したもの(の一冊)が前者、それに羽入氏が反批判…

学問の未来

夕食は妻と近所のカレー屋へ。ちょっと食べすぎた。

テレビの憲法理論

授業準備の一環として読んだ。17年前の本だが、もちろん使える部分もある。

賓の謎

「歩」と同じように、旧字体に「步」の下の部分が含まれている漢字には、「賓」があります。しかしこの「賓」の字源については、各論者で意見が割れています。 白川説では「宀」+「万」+「貝」 藤堂説では「宀」+「豕」+「貝」 加藤説では、下の貝を除い…